別荘やセカンドハウス用の住宅を中古で購入するという方が増えてきています。
新築に比べて、中古で別荘を購入して自分好みにリフォームした方が安くなることも多いため、人気が高まっているという背景があります。
しかし、一般的なリフォーム費用の相場はいくらくらいか気になりますよね?
今回は、別荘をリフォームする前に知っておきたいことや、リフォーム箇所毎の費用相場をご紹介します。
別荘リフォームをする前に

中古物件の別荘を自分の好みにリフォームするという人は多いかと思います。
ここでは別荘リフォームの前に、知っておきたいポイントや確認点は何かをご紹介します。
①設備の耐用年数を確認
一般的に一定の時期しか使うことのない別荘は設備の使用頻度も低くなり、その結果、劣化や故障に気づきにくいことも多いものです。
あまりにも劣化や故障がひどい場合には、部品交換ではなく設備ごと交換しなければならないこともあり得ます。
ですので、まずは設備類がしっかりと使えるかを確認しましょう。
また、陶器製のトイレ本体は半永久的に使えますが、温水洗浄便座部分は一般的に10年〜15年が寿命と言われています。
このように、設備の部位によって耐用年数が異なるものもあるため、それぞれの耐用年数についても確認するようにしましょう。
②耐震性・断熱性の確認
別荘の築年数を確認すると共に、耐震性能を推察することも忘れずに行いましょう。
住宅を建てる時は、建築基準法で定められた水準を満たす設計内容で建築確認を申請し、許可を受ける必要があります。
1981年に大きな変更があったことから、この年よりも前の基準は「旧耐震基準」、後の基準は「新耐震基準」と呼ばれています。
新旧の違いについては以下の通りです。
【旧耐震基準】中規模地震(震度5強程度)の揺れで建物が倒壊しない強度
【新耐震基準】大規模地震(震度6〜7程度)の揺れで建物が倒壊しない強度
上記を踏まえると、1981年以前に建てられた別荘は、リフォームの際に耐震診断も併せて行ったほうがよいでしょう。
耐震診断の費用は木造住宅1棟あたり約10万円〜20万円となっています。
さらに、旧耐震基準で建てられた別荘の場合、経年による断熱性能の劣化がないかも忘れずに確認したいところです。
主に避暑目的で使われる別荘の場合は、寒さの対策が不十分なことが多く、断熱性が低い可能性があります。
また、冬は氷点下になったり雪が積もるため、結露等によって木材が傷みやすくなります。
耐震リフォームをする場合は壁を剥がしますから、断熱リフォームも一緒に行ったほうが効率的です。
築年数から耐震リフォームを考えている場合は、断熱リフォームもあわせて検討しましょう。
③近くに施工会社があるか確認
リフォーム費用を抑えたいのであれば、地場の工務店がおすすめです。
有名な別荘地では、周辺に別荘の新築からリフォームまで請け負っている工務店等の施工会社がいくつもあることが多いです。
地場の施工会社に依頼するメリットは、費用を抑えることができる他にも、近くにあるため対応が早いという点です。
そのほか、地場の施工会社であれば積雪や凍結、塩害、動物や虫による被害といった、その地域特有の問題対処に慣れているため安心です。
一方で、競争の激しい都市部の施工会社より知識や技術レベルが劣る場合もあります。
得意な施工・デザインも違うため、見積もりで金額や工事内容を比較することは当然ながら、可能な限りその施工会社が建てた住宅等を見学させてもらい、その上で依頼先を決めると良いでしょう。
【箇所別】別荘リフォームの費用相場

ここでは別荘リフォームにかかる費用の相場をご紹介します。
ただし、使用する建材や設備のグレード、施工する面積によって大きく変わるため、あくまでも目安の費用となります。
水回りのリフォーム
キッチン、お風呂などの水回りのリフォーム費用の目安は下記の通りです。
水回りのリフォーム費用の相場
リフォーム箇所 | 費用相場 |
---|---|
キッチン | 70万~120万円 |
お風呂 | 60万~140万円 |
トイレ | 10万~30万円 |
洗面所 | 20万~90万円 |
施工範囲や建築面積、設備のグレードによって変わってくるため、上記費用はあくまで目安となります。
内装のリフォーム
床や壁などの内装リフォーム費用の目安は下記の通りです。
内装のリフォーム費用の相場
リフォーム箇所 | 費用相場 |
---|---|
壁のリフォーム(クロス張替) | 1,000~2,000円/ ㎡ |
床のリフォーム | 1~2万円/㎡ |
窓サッシの交換 | 10万円前後/箇所 |
ドアの設置 | 10万~20万円/箇所 |
間仕切り壁の撤去・増設 | 10万~15万円/箇所 |
例えば、約10畳のリビングの床や壁を張り替えるのみであれば、約25~30万円くらいでしょう。
しかし、使用する床材やクロスの種類によって価格が大きく異なるため、あくまでも目安となります。
屋根・外壁塗装のリフォーム
屋根の葺き替えや外壁塗装の費用の目安は下記の通りです。
屋根・外壁塗装の費用の相場
リフォーム内容 | 費用相場 |
---|---|
屋根・葺き替え | 140万~200万円 |
屋根・重ね葺き | 80万~120万円 |
屋根塗装 | 40万~80万円 |
外壁塗り替え | 70万~120万円 |
外壁張り替え | 200万~400万円 |
別荘は森の中や海の近くなど、劣化の早い自然環境に建てられている場合が大半です。
そのため、屋根リフォームや外壁塗装をすることで、紫外線や雨雪、雨漏りなどのダメージを防ぐことができます。
雨漏りが発生してしまうと、建物内にカビが発生したり、建物自体の腐食や劣化が早まるなど、別荘の建物寿命を短くする原因となります。
こうした問題は、屋根リフォームや外壁塗装によって予防することができます。
断熱・耐震改修のリフォーム
断熱・耐震工事については、建物の築年数や大きさによって変動します。
住宅の状態によって必要になる工事内容が違うため、一概にいくらとは言えません。
耐震工事の相場は100万~200万円とも言われておりますが、壁を取り壊したりするので、同時に断熱リフォームや、内外装のリフォーム等も行うため、費用が大きくなりがちです。
500万円~1000万円の工事となるケースも多いため、購入する物件費用とのバランスが重要です。

別荘のリフォームに使える補助制度は?

リフォームに関する税金の優遇措置や補助金制度は、「日常的な居住のための住宅」に対しての制度となっています。
対して、別荘は保養目的として一時的な利用の住居とされているため、税金の優遇措置や補助金制度は使えません。
セカンドハウスに適用される制度もある
別荘の場合は補助金制度が使えない場合が多いのに対し、セカンドハウスの場合は制度が利用できる場合があります。
セカンドハウスは、「週末に居住するため郊外などに取得、また遠距離通勤者が平日に居住するために職場の近くに取得するもので、かつ毎月1日以上居住の用に供するもの」としており、セカンドハウスは居住用なので、税制の軽減措置を受ける事が可能です。
①固定資産税
固定資産税は土地・家屋や償却資産にかかる地方税で、毎年1月1日時点の所有者に課税されます。
固定資産税の計算方法は以下のとおりです。
固定資産税=課税標準 × 1.4%(標準税率)
土地の課税標準額は売買実例価格などを基に算出されますが、宅地については地価公示価格などの7割が目安です。
「住宅用地に係る特例」が適用されると、次のとおり課税標準額がさらに減額されます。
- 小規模住宅用地(200m2以下の部分):課税標準額 × 1/6
- 一般住宅用地(200m2超の部分):課税標準額 × 1/3
※その他、一定条件を満たした新築住宅や認定長期優良住宅の建物の場合にも別途軽減措置が受けられる場合があります。
なお、地方税のため、自治体によっては異なる税率が適用されることがあります。
そのため、セカンドハウスを建設した場所の自治体に確認してみてください。
②都市計画税
市街化区域内の土地・家屋には、固定資産税にあわせて以下のような都市計画税が課税されます。
都市計画税:課税標準 × 最高0.3%(制限税率)
特例適用後の課税標準額の減額割合は次のとおりです。
- 小規模住宅用地(200平方メートル以下の部分):課税標準額 × 1/3
- 一般住宅用地(200平方メートルを超える部分):課税標準額 × 2/3
固定資産税と同じく課税主体は自治体で、市町村によって税率が異なります。
ただし、制限税率のため上限の0.3%を超えることはありません。
③不動産取得税
不動産取得税は、売買や贈与、新築や増築などで発生します。
固定資産税や土地計画税のように毎年課税されるものではなく、取得後半年から1年半の間に都道府県から課税される地方税です。
不動産取得税:固定資産の評価額(課税標準税額)×4%(標準税率)
「住宅・住宅用地の特例」が適用されると、土地・建物それぞれに次のとおり減額されます。
<土地>
下記のいずれか大きい額に税率を乗じて得た額を減額・150万円・床面積の2倍の面積(200平方メートルまで)に相当する土地の価格
<建物>
- 新築:固定資産税評価額から1,200万円を控除
- 中古:住宅の新築時期により固定資産税評価額から最高1,200万円を控除
なお、2024(令和6)年3月31日までに取得した不動産に関しては、さらに次のような軽減措置が適用される可能性があります。
- 不動産取得税の税率の特例:4%→3%に軽減・住宅用地
- 商業地等の特例:固定資産税評価額(課税標準税額)を1/2に圧縮
要件などはセカンドハウスがある都道府県に確認してください。
別荘リフォームをする上ので注意点

理想の住まいを実現するためにリフォームをしたいという人は多いものです。
しかし別荘ならではのリフォームの注意点もあるため確認が必要です。
風土や素材によっては耐用年数に注意
別荘は自然豊かな地域を選ぶ方が多い傾向にあります。
一般的な都市部の住宅街とは環境が大きく違うため、特に外壁や建物の外側の耐用年数が変わってくることがあります。
例えば海の近い地域では、塩害によって外壁材が腐食し、穴が開いたり雨漏りが起こったりすることがあります。
外壁塗装が劣化してしまうと、家自体の腐食につながることもあるため、できるだけ早い段階でメンテナンスを行う必要がでてきます。
また、自然豊かな環境にマッチするということで天然素材を使用されたいという方もいるでしょう。
しかし自然素材の問題点として、劣化しやすいものが多いという点が挙げられます。
特に外装に自然の木材を採用するようなケースでは、リフォーム直後はよくても、数年でかなり劣化が進んでしまうケースが多いものです。
複数の業者に見積りをとる
リフォームをする上で、必ず複数の業者に明確な見積りを出してもらいましょう。
できれば最低3社くらいは見積りを依頼しておきたいところです。
数社で見積りを取ることで、リフォームにかかる相場を知ることができます。
また、自身であらかじめ調べておけば「相場より高い費用がかかっていた!」ということも防げるでしょう。
事前に明確な見積もりをもらったら、費用とリフォーム内容を比較して、自分の希望にあった業者を選ぶようにしましょう。
別荘は点検が重要
別荘に限らず、住宅は定期的に点検を行い、必要に応じてメンテナンスをしないとどうしても傷んできてしまいます。
頻繁に訪れることができる場合は良いのですが、避暑を目的とした寒冷地の別荘などでは足が向かない時期もあるかと思います。
管理棟などがある別荘区画であれば依頼することも可能ですが、それ以外の別荘の場合は、管理してくれる会社を見つけて管理を依頼することをおすすめします。
別荘地での管理は、地場の工務店等が管理も請け負っている場合あるため、もし地場の工務店にリフォームを依頼する際は、あわせて管理も可能か相談してみると良いでしょう。
まとめ
今回は、別荘をリフォームする前に知っておきたいこと、リフォーム箇所毎の費用相場をご紹介しました。
- リフォームをする前に建物全体、設備の劣化、故障などを確認する
- 人気のリフォーム箇所は「水回り」、次いで外壁塗装などの「外装」
- リフォームは必ず数社に見積をとり、納得のいくリフォームを
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