二拠点生活の住まいを「リーズナブルに購入したい」という場合に、空き家を検討する人も増えています。
また、昨今ではDIYの人気もあり、空き家を購入して、理想の住まいにリフォーム・リノベーションすることが注目されています。
国も2023年度に、空き家の税制優遇見直しをまとめると発表しており、これから更に空き家購入等の情報が手に入りやすくなるかもしれません。
そこで今回は、空き家を購入する際のメリット・デメリットについてご紹介します。
空き家に関する国や自治体の取り組み

まず初めに、空き家の現状についてお話します。
総務省の「住宅・土地統計調査」によれば2013年の空き家の数はおよそ820万戸という統計が出ています。(引用:総務省統計局 住宅・土地統計調査)
そのため、国は空き家問題に対して、平成27年5月に「空家等対策の推進に関する特別措置法」を施行し、空き家の活用促進や税制優遇措置等の法整備を積極的に進めています。
「空家等対策の推進に関する特別措置法」とは
「空家等対策の推進に関する特別措置法」とは、所有者に空き家を放置させないための法であり、以下のように定められています。
- 空き家の実態調査
- 特定空き家に対する助言・指導・勧告・命令が可能
- 空き家跡地の活用促進
- 特定空家に対して罰金・行政代執行を行うことが可能
簡単に言いますと、空き家を悪い状態で放置すると所有者にリスクが発生するということです。
空き家を購入する側としては、空き家所有者が放置し続けることが難しくなるため、売却する機会が増えると想定され、購入者にとって選択肢も増えると考えられます。
空き家整備を自治体がサポート
各自治体は「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づいた活動の他、「空き家バンク」という空き家を賃貸・売買したい所有者と、空き家を利用したい人を繋ぐなど、空き家問題の解決に取り組んでいます。
民間企業も参入
昨今は空き家問題を受けて、民間企業も対策へ取り組む流れが増えてきています。
民間企業は空き家対策への取り組みとして、以下のようなサービス展開を行なっています。
- 空き家活用のコンサルティング
- 賃借人の空き家管理サポートサービス
- 空き家管理代行サービス
こうした空き家に関する様々な取り組みが国や民間でも積極的に行われており、空き家購入が今後しやすくなると考えられます。
空き家購入3つのメリット

空き家を購入するメリットについてご紹介していきます。
メリットは以下の3つが挙げられます。
①安く購入することができる
まず何といっても、空き家は安く購入できるというメリットがあります。
空き家は新築物件と比較すると半値以下、中古物件よりも安い価格で売りに出ていることもよくあります。
また、低価格であるために同じ予算であれば、面積の広い物件を購入できる、というメリットもあります。
ただし、安く売りに出しているにはそれなりの理由がありますので、気になることは事前に確認することが重要です。
②自分好みにリフォームできる
新築で自身の理想の住まいを建てる場合、かなりの高額になることが予想されますが、空き家を安く購入できれば、その分リフォームやリノベーションにも費用をかけられます。
昨今では古民家再生など、昔ながらの日本家屋を生かしたリノベーションも人気となっています。
③実は立地条件が良い
空き家は築年数が古い物件が多いですが、住宅として長く建っているということはその分立地条件がよいとも言えます。
不動産においては、駅に近いなど、立地条件のよい土地ほど先に家が建てられている場合が多いからです。
そのため、空き家には好立地な物件が多くあります。
◆空き家情報を探せるサイト
・atHome空き家バンク

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空き家購入3つのデメリット

前項でメリットをご紹介しましたが、もちろんデメリットもあります。
空き家購入する上では、デメリットも考慮した上で検討する必要があります。
①そもそも空き家の情報が見つけにくい
空き家を所有している人は「古くてボロボロだから売れるわけがない」と考え、空き家の処分や活用を考えていないことが多くあります。
また、売却しようと査定を受けた場合、取引事例や比較対象物件が少ないために査定価格が低めに出てしまい、売却を取りやめるケースもあります。
同様に、賃貸するにも大幅なリフォームやメンテナンスが必要なため、高額な費用を考えると取りやめてしまうケースが多いのです。
このように、売ることも、貸すこともなく、ただ放置されている空き家が多くなっているのです。
ただし、この点については「空家等対策の推進に関する特別措置法」によって徐々に動きが活発になることが期待されます。
②購入後に発生するコストが高くなる場合も
空き家は築年数がかなり経過していることが多いため、建物の状態に難点がある場合があります。
建物は換気しないままの状態が続くとカビや結露が発生したり、使用せずに放置していると傷みが激しくなってしまうものです。
さらに、設備が古かったり、水回り、給湯器の交換が必要な場合もあります。
このように、老朽化によるメンテナンス費用が高額になることがデメリットといえるでしょう。
また、既存住宅売買瑕疵保険に加入する場合、建物が新耐震基準を満たしている必要があります。
そのため、購入した空き家が、耐震補強工事が必要となる可能性があり、その費用がかかる場合もあります。
このように、空き家ならではのコストが発生するリスクがありますので、売買契約前に想定されるリフォーム工事などの見積もりを取ったうえで、資金計画を立てましょう。
③空き家は傷むペースが早い?
空き家は建物が古いため、生活してから次々と不具合が発生する可能性もあります。
また、建物の表層部分だけでなく、目視できない部分に不具合や劣化があると、傷むのが早くなります。
そのため、売買契約前に建築士などの検査を受けることも検討しましょう。
国や自治体のリフォーム支援制度

空き家を購入して、自身の理想にリフォームやリノベーションをしたい人もいるでしょう。
その場合、リフォーム工事やリノベーション工事に対して、国や自治体からさまざまな補助金が出ることがあります。
例えば、千葉県銚子市では、「銚子市住宅リフォーム助成事業」があり、住宅の機能の維持・向上を目的とした改修工事に要する費用負担軽減として、100万円以上の補助対象リフォーム工事費の場合に10万円を助成金として支給しています。
また、国土交通省が行っている「長期優良住宅化リフォーム」という補助金制度もあります。
他にも、空き家バンクに登録した上で利用できる「空き家バンクリフォーム補助」では、リフォーム工事費用補助(1/2、最大50万円)があるため、購入したい地域の自治体に制度があるか確認してみましょう。
ただし、このような制度を利用する場合は、一定の要件を満たす必要がありますので、制度に詳しいリフォーム業者へ相談することをお勧めします。

まとめ
今回は、空き家購入についてのメリットデメリットや支援制度についてご紹介しました。
- 今後、空き家情報が増えてくると予想される
- メリットデメリットを考慮して費用計画を立てる
- 国や自治体の支援制度を活用して理想の住まいにリフォームを
