現在、テレワークが普及し、働き方や生活様式が大きく変化しました。
通勤時間の削減や柔軟な勤務時間など、テレワークには多くのメリットがありますが、一方で評価の機会が少ない、孤独を感じやすいといった課題もあります。
そんな今こそ、自分の強みを活かせる資格を取得することで、さらなるスキルアップを目指しましょう。
資格取得は、自分の専門性を高め、キャリアアップに繋げるだけでなく、新たな仕事や副業機会を得るための手段にもなります。
テレワーク環境で、時間と場所に縛られない働き方をしたい方、自分の能力を活かして新たな挑戦をしたい方におすすめです。
今回は、テレワークに特におすすめの8つの資格と、資格を活かせる職種などをご紹介します。
現在のテレワークの実施率

東京都が行った2024年3月の都内企業のテレワーク実施状況調査で、従業員30人以上の企業のテレワーク実施率は43.4%と依然高い傾向を示しています。
また、都市部以外の地方に関するテレワーク実施率は、国土交通省が行った令和5年度の「テレワーク人口実態調査」において16.3%と、東京に比べ低い傾向ではありますが、コロナ禍当初の2020年の実施率が15.9%だったことから、ほぼ横ばいとなっており、全国的にテレワークが働き方の一つとして定着しているとみて取れます。
現在のテレワークは、在宅と出勤のハイブリット型が定着しており、前述の東京都の調査ではテレワークの実施回数は、週3日以上の45.6%と週の半分以上テレワークをしていることが伺えます。
このように日本ではテレワークと出社を組み合わせた働き方が浸透しており、通勤の便を考えて都会に住むという暮らし方から、地方への移住や二拠点生活を考える人も多くなっています。
<出典>
テレワーク時代における資格の重要性

テレワークは会社への通勤時間や場所の制約がなくなり、ワークライフバランスの向上や地方移住など、働き方改革にも大きく貢献しています。
しかし、テレワーク環境では、会社での勤務とは異なる課題も生まれます。
コミュニケーション不足
対面でのコミュニケーションが減ることで、意思疎通の誤解やチームワークの低下といった課題が出てきます。
また、人事評価の部分においても上司との直接的なコミュニケーションが取れていた頃に比べ、実績ベースでの評価になるため、明確な評価ができない業務においては不利になるケースもあります。
モチベーション維持の難しさ
周囲の目がなく、自覚と自律性が求められるため、モチベーション維持が難しい場合があります。
こうした課題を克服し、テレワーク環境で成果を上げるために、「スキルアップ」が必要になってくるでしょう。
そこで、「資格」を取得することで、以下のメリットを得ることができます。
①専門性の証明
資格は、特定の知識やスキルを持っていることを証明するものであり、転職や昇進にも有利に働きます。
②スキルアップ
資格取得のための勉強を通して、新たな知識やスキルを習得することができます。
③信頼性の向上
資格を持っていることは、周囲からの信頼を得ることにつながります。
特に、30~40代といった現役世代は、キャリアアップや転職の際に、資格が重要な役割を果たす可能性があります。
テレワークに適した仕事例

テレワークは、場所や時間に縛られずに仕事ができる働き方です。
テレワークに適した仕事の具体例としては、以下のようなものがあります。
- データ入力
- 資料作成
- 経理
- 総務
- 人事
- システムエンジニア
- プログラマー
- Webデザイナー
- Webディレクター
- ライター
- 編集者
- デザイナー
- イラストレーター
- マネジメントコンサルタント
- 人材コンサルタント
- ファイナンシャルコンサルタント
上記に挙げた職種は、基本的にパソコンを使って作業できるため、オフィス勤務と比べてテレワーク化しやすいという特徴があります。
また、近年では、オンライン会議ツールの普及により、営業職や人事職など、これまでテレワークが難しいとされてきた職種でも、テレワークが導入され始めています。
テレワークにおすすめ資格【IT系】

MOS
MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)とはエクセルやワードなどの、事務職・会計経理に不可欠なパソコンスキル「マイクロソフト オフィス」のスキルを証明する資格で、Word、Excel、PowerPoint、Outlookなどの主要なソフトについて幅広く学習することができます。
MOS試験の難易度は、試験科目と受験者のスキルレベルによって異なります。
一般的に、エキスパートレベル > アソシエイトレベル > マスターレベルの順に難易度が高くなります。
また、WordやExcelなどの基礎的なソフトよりも、Accessなどの専門的なソフトの方が難易度が高くなります。
独学で合格を目指す場合は、過去問や模擬試験を活用し、自分の弱点克服に重点的に取り組むことが重要です。
MOS資格は、ほとんどの職種で役立てることができます。
特にエクセル、ワード、パワーポイントを使った表・資料作成において生かせるでしょう。
ITパスポート
ITパスポートは経済産業省が認定する国家試験であり、初心者向けのIT資格です。
ITパスポート試験は、IT業界を目指す方だけでなく、ビジネスパーソン全般にとって役立つ資格です。
ITに関する基礎知識を身につけることで、仕事の幅を広げたり、キャリアアップに繋げたりすることができます。
テレワークが進む中で、ITに関する知識はますます重要になってきています。
在宅ワーク以外でもインターネットやパソコンを日常的に使うことが当たり前の時代ですので、ITに関する基礎的な知識はさまざまなシーンで役に立ちます。
ITパスポート試験は、情報処理技術者試験の中で最も易しい試験と位置づけられています。
合格率は例年50%超えと、比較的高い水準です。
ITに関する基礎知識がある程度あれば、独学でも十分合格を目指すことができます。
パソコンを使った業務であれば幅広く生かせるスキルですが、特にIT関連の知識がいる職種において生かされるでしょう。
- テクニカルサポート
- IT企業の営業職
WEBライティング技能検定
WEBライティング技能検定は、一般社団法人日本クラウドソーシング検定協会が主催する、WEBライティングに関する基礎知識とスキルを証明する資格です。
指定の「WEBライティング技能検定講座」を購入した方が対象の技能検定となります。
合格の特典として、日本クラウドソーシング検定協会が提携する「CROWD」「Lancers」「サグーワークス」などにWEBライターとして登録すると、優先的に案件を紹介してもらえたり、求人しているクライアントに宣伝してもらえるというメリットがあります。
そのため、フリーランスとして転職や副業を考えているという人におすすめの資格です。
WEBライティング実務士試験は、比較的易しい難易度の試験とされています。
合格率は例年60%前後と、情報処理技術者試験などの他のIT系資格と比べると高い水準です。
- WEBライター
- WEB書籍などの編集者
- WEBマーケター
ウェブデザイン技能検定
一般社団法人日本情報処理推進機構(IPA)が主催する、Webデザインに関係する資格の中で唯一の国家検定です。
検定に合格すると、国家資格である「ウェブデザイン技能士」の肩書きが与えられ、履歴書や名刺などに記載できるようになります。
等級は3級から1級の3段階があり、3級であれば実務経験やWebデザインに関連した学習歴の制限はなく、誰でも受験できます。
1、2級は受験資格に実務経験が必要ですが、現在ウェブデザインを実務でやっているという人はスキルアップや転職のために取得するのも良いでしょう。
ウェブデザイン技能検定の難易度は、試験区分によって大きく異なります。
平均の合格率としては、3級が60~70%、2級が30~40%、1級が10~20%となっており、等級が上がるにつれて合格率が下がっていきます。
3級の場合は合格率60~70%と比較的高く、試験の難易度は低めです。
そのため、ウェブデザイン未経験者や初心者などは、まず3級からはじめると良いでしょう。
WEBサイトやバナー、ロゴデザインなど、幅広い分野で生かせるでしょう。
- Webデザイナー
- グラフィックデザイナー
- UI/UXデザイナー
- Webディレクター
テレワークにおすすめ資格【ビジネス系】

日商簿記
日商簿記は一般社団法人 全国経理教育協会が主催する、基本的な複式簿記や経理の知識を証明するための資格です。
日商簿記は3級、2級、1級があり、仕事で使うなら最低2級以上は取得しておくことで、スキルの証明になります。
そのため、経理職の在宅ワークをしたい人におすすめです。
日商簿記検定は、ビジネスマンにとって非常に実用的な資格であり、就職・転職活動でも有利に働きます。
日商簿記で学んだスキルは確定申告の際にも役に立つでしょう。
日商簿記の合格率は簿記3級が40~50%、簿記2級が20%程度、簿記1級が10%程度です。
級によって合格率や難易度が大きく異なり、簿記3級は難易度が比較的低いのに対し、簿記1級は難関資格として知られています。
- 経理職
- 財務職
- 税理士
- 公認会計士
ファイナンシャルプランナー(FP)
金融に関する幅広い知識と専門知識を活かして、個人のライフプランに基づいた資産形成や保険、税金などのアドバイスを行う資格です。
ファイナンシャルプランナーの資格を取得することで、金融分野の専門的な知識を活かした在宅ワークができます。
近年、高齢化社会の進展やライフプランの多様化により、FPの需要はますます高まっています。
FP資格を取得することで、独立してFP事務所を開業したり、企業でFPコンサルタントとして活躍したりすることができます。
3級、2級、1級と分かれており、仕事に活かす場合は、2級以上を取得するのがおすすめです。
合格率は、FP3級が80%程度、FP2級が25~40%程度と、国家試験の中では合格しやすい試験です。
ただし、FP1級では10%前後と特に学科試験の難易度が高くなります。
- FP事務所
- 銀行
- 保険会社
- 証券会社
- 不動産会社
テレワークにおすすめ資格【士業系】

行政書士
国家資格の一つであり、行政手続きに関する専門知識と技能を有し、個人や法人の申請、届出などの代理業務を行う専門家です。
取得することで、身近な街の法律家として活躍できます。
また、独立して行政書士事務所を開業したり、企業で法務担当者として活躍することができます。
業務の中心となる書類作成は在宅でできるので、在宅ワークで働く人も多くいます。
行政書士試験の難易度は、合格率は約20%と比較的難関とされています。
合格するためには、幅広い科目の知識を習得する必要があります。
- 行政書士事務所
- 法務事務所
- 企業の法務事務
- 金融機関
社会保険労務士(社労士)
社会保険労務士は、国家資格の一つであり、社会保険や労働保険に関する専門知識と技能を有し、労働者や企業の代理人として、社会保険や給与計算、就業規則、人事評価、年金の相談などを行う仕事です。
社会保険労務士が行う仕事は独占業務でもあるので、独立して社会保険労務士事務所を開業したり、企業で人事・労務担当者として活躍したりすることができます。
そのため、現在では自宅を事務所として、在宅で働くケースも増えています。
社会保険労務士試験の合格率は約6~7%と、国家資格の中では上位の難易度です。
- 社会保険労務士事務所
- 企業の人事部・労務部
- 金融機関
- 労務コンサルタント
資格取得の注意点と勉強方法

資格取得は、キャリアアップやスキルアップを目指す上で有効な手段の一つですが、闇雲に勉強を始めても合格は難しいでしょう。
ここでは、資格取得を成功させるための注意点と効率的な勉強方法についてまとめてご紹介します。
①目標とする資格を明確にする
まず、なぜ資格を取得したいのか、どのような目標を達成したいのかを明確にしましょう。
漠然と「スキルアップしたい」という気持ちだけでは、モチベーションを維持するのが難しくなってしまいます。
具体的な目標を設定することで、必要な知識やスキルを明確にし、学習計画を立てやすくなります。
②自分のライフスタイルに合った資格を選ぶ
仕事や家事など、忙しい毎日の中で資格取得に取り組むには、自分に合った資格を選ぶことが重要です。
学習時間や難易度、試験日程などを考慮し、無理なく続けられるものを選びましょう。
また、資格によっては実務経験など受験条件があるためしっかりと確認しましょう。
③独学と通信講座のメリット・デメリットを理解する
資格取得には、独学と通学・通信講座の主に2つの方法があります。
それぞれにメリットとデメリットがあるので、自分に合った方法を選びましょう。
独学
- メリット: 費用が安い、自分のペースで学習できる
- デメリット: モチベーション維持が難しい、わからないことがあってもすぐに解決できない
通学・通信講座
- メリット: プロの講師による指導を受けられる、教材が充実している、モチベーションを維持しやすい
- デメリット: 費用がかかる、自分のペースで学習できない
④学習計画を立てて計画的に勉強する
試験までにどのくらいの期間で学習すればよいか、何をいつまでに学習するのかを計画的に立てましょう。
計画を立てることで、学習の進捗状況を把握しやすく、モチベーションを維持しやすくなります。
⑤自分に合った勉強方法を見つける
人によって、集中できる時間帯や勉強方法などは異なります。自分に合った勉強方法を見つけて、効率的に学習を進めましょう。
- 過去問を解く
- 問題集を活用する
- 参考書を読む
- オンライン講座を受講する
- 勉強仲間を見つける
まとめ
今回は、テレワークに特におすすめの資格と活かせる仕事などをご紹介しました。
- テレワークは評価がしづらい、モチベーション維持が難しい
- 資格取得でスキルアップによる評価の向上や、新しい仕事への挑戦が可能に
- 資格勉強は自分にあった方法で、計画的に進めよう