アメリカ発祥の「タイニーハウス」
大きな家が良いとされていた価値観の変化により、ミニマルな暮らしをしたいという人に人気があります。
日本ではコロナ禍以降に生活様式が変化し、二拠点生活のセカンドハウスなどで人気が高まりました。
しかし、「狭い」、「ファミリー向きではない」という意見も多く、住んでみたいけど迷っているという方も多いのではないでしょうか。
今回は、タイニーハウスの宿泊体験ができる施設を関東甲信エリア、関西エリア別にご紹介します。
タイニーハウスとは?

タイニーハウスとは、直訳すると「tiny(とても小さい)」、「house(家)」となります。
明確に何㎡であれば「タイニーハウス」という定義はありませんが、日本では10~20㎡くらいの広さをタイニーハウスと呼んでいる場合が多いようです。
10㎡は約4.5畳のワンルーム、20㎡は6畳のワンルーム(どちらもユニットバス付)相当になります。
総務省統計局の2018年土地統計調査によると、日本の戸建ての平均的な広さは92.06㎡となっているため、比較するとかなり小さいことがわかります。
そのため、ファミリーで快適に滞在する別荘というよりは、1~2人で利用するコテージや小屋に近い形になります。
国内外で注目を集めている理由
タイニーハウスの発祥はアメリカと言われています。
アメリカでは古くからトレーラーハウスやキャンピングカーで生活をする人は珍しくなく、タイニーハウスの認知度がもともと高かったのですが、リーマンショック以降に「大きな家」ではなく「小さな家」に住むという選択をする人が増えたことで一気に広まりました。
その背景には、サブプライムローン問題で家を失った人や、ハリケーンによる大規模な自然災害が続き、本当に必要な物だけを持ち、シンプルに暮らすという考え方が少しずつ浸透していきました。
日本でタイニーハウスが注目されるようになったのは、ここ10年ほどと言われ、特にコロナ禍以降に注目を集めていると言われています。
日本でも地震などの災害、そしてコロナ禍によるワークスタイルの変化によって暮らし方が多様化しました。
地方移住や二拠点生活をしたい人や、テレワーク用の仕事部屋や趣味の部屋を持ちたいなど、幅広いニーズでタイニーハウスが注目を集めています。
タイニーハウスの種類

ここではタイニーハウスの種類についていくつかご紹介します。
①プレハブ住宅
プレハブ住宅とは以下のように定義されています。
プレハブとはプレファブリケーション(Pre-fabrication)の略称で、現場で組み上げる前にあらかじめ部材の加工・組立をしておくことを意味しています。
一般社団法人プレハブ建築協会
可能な限り工場で生産、加工、組み立てを行うため、現地での組み立ては最短1日で終わるものもあます。
メリットとしては、工場で生産・加工しているため品質が安定しており、組み立ても熟練の職人を必要としないことから費用を抑えることができます。
デメリットとしては、標準化・規格化された部材をベースにデザインされることになるため、デザインの自由度は低くなります。
また、耐久性・耐火性の面では木造よりも低いとされています。
②スモールハウス
スモールハウスは特定の工法を指すものではなく、タイニーハウス専門の住宅メーカーやタイニーハウスのシリーズとしての建物を呼ぶ場合に使用していることが多いです。
また、「タイニーハウス=スモールハウス」という意味で使われることも多く、どちらも1~2人暮らしや趣味部屋としての用途を想定しているのが一般的です。
メリットとしてはデザインの自由度が高く、セルフビルド用のキットも販売されているため、自身で家を建てることもできます。
デメリットとしては、自由度が高い分、使う目的を明確にしないと使いづらい単なる小屋になってしまう点です。
③コンテナハウス
コンテナハウスは貨物コンテナを使ったタイニーハウスのことです。
市場に流通しているコンテナをそのまま住宅にできる上、コンテナの独特な風合いも人気の一つでです。
メリットとしては、建築用コンテナの再利用であれば、100万円未満で購入でき費用を抑えることができる点です。
しかし、日本の場合、地震が多く厳格な建築基準法があるため、通常流通しているコンテナは住宅用の規格を満たさないものがほとんどです。
そのため、日本では専用のコンテナで作られた「コンテナハウス」が販売されています。
日本では建築用コンテナとなるため、先ほどメリットとして挙げた費用が抑えられるという点は必ずしも当てはまらないところが注意です。
また、建物構造上は「重量鉄骨造」となるため、固定資産税がかかる点も注意が必要です。
④トレーラーハウス
トレーラーハウスとは「移動可能な家」という意味合いを持つ、あくまでも車両(「被けん引自動車」)を指します。
タイニーハウスの中では、最も歴史が古いのがトレーラーハウスと言われています。
似たような形状としてキャンピングカーがありますが、違いはエンジンがついていて自動車として自走可能かどうかです。
キャンピングカーは自走が可能であり、トレーラーハウスはタイヤがついていますがエンジンがなくけん引されることで移動が可能となっています。
トレーラーハウスは車両にあたるため固定資産税はなく、住宅建設に必要な建築確認や基礎工事が不要というメリットがあります。
しかし、車両か否かの判断はトレーラーハウスの構造や各自治体の判断によるため、車両として認められない場合には固定資産税が発生する場合もあるため注意が必要です。
ファミリー向けのタイニーハウスはある?

タイニーハウスはその名の通り「小さい家」という意味ですが、ファミリーでの利用は可能でしょうか?
前述のとおり、一般的にタイニーハウスは10~20㎡を指していますが、この広さの場合は1~2人が妥当でしょう。
しかし、タイニーハウスといっても明確な規格があるわけでなく、15坪(約50㎡)の平屋もタイニーハウスと呼んでいる場合もあります。
そのため、ファミリーでの利用も十分可能と言えるでしょう。
また、2段ベッド、伸縮テーブルなど、設置する家具を工夫することによって、スペースを有効活用することも可能です。
他にも、庭にウッドデッキを設置してタイニーハウスと繋げれば屋外リビングとして活用することもできます。
BBQグリルやコンロなどのキッチン用品もウッドデッキに設置して、非日常を楽しむという方もいます。
工夫次第でタイニーハウスもファミリーで楽しむことができるでしょう。
タイニーハウスが欲しい!その前に

ミニマルなライフスタイルに憧れ、いざタイニーハウスを購入したけど、後悔したという話もあります。
後悔しないためにも、以下のことを確認しましょう。
物が多い、趣味の物を置きたい
スペースが限られたタイニーハウスはシンプルな暮らしに向いているため、物を多く置きたい人や道具の多い趣味の部屋には向かないでしょう。
また、間取りによってはベッドを置くことも難しいため、折り畳みベッドやロフトベッドなど置く家具への工夫も必要となるでしょう。
家族の変化に対応しづらい
例えば10㎡のタイニーハウスの場合、大人2人に小さな子供1人くらいであれば大丈夫ですが、子供が増えた場合や成長して大きくなった時には狭いと感じるでしょう。
このようにタイニーハウスには、家族構成や成長による変化に対応しづらいという点があります。
しかし、敷地にスペースがある場合は、セルフビルドの小屋を建ててスペースを増やすという方法も良いかもしれません。
人を招くのに向いていない
中には友人や親族を招いて庭でバーベキューをしたいという人もいるかもしれませんが、タイニーハウスではスペースが限られているため、宿泊するための部屋が確保できないということが多いでしょう。
上記のように、自分のライフスタイルと合わない場合は「後悔した!」となってしまいます。
そういったミスマッチを防ぐためにも、体験宿泊施設などでイメージを掴むと良いでしょう。
タイニーハウスに泊まれる宿泊施設[関東・甲信エリア]
タイニーハウスを購入する前に、タイニーハウスに泊まれる宿泊施設で体験するのもおすすめです。
ここでは関東エリアでタイニーハウスに泊まれる宿泊施設をご紹介します。
木のぬくもりを感じる『TINY HOUSE VILLAGE』(千葉・木更津)

音楽プロデューサーの小林武史氏がプロデュースする、サステナブルなファーム&パークの「クルックフィールズ(KURKKU FIELDS)」内にある、宿泊施設TINY HOUSE VILLAGEは可愛らしいトレーラー型となっています。
広大な敷地には畑や酪農、養鶏があり、自然の営みを身近に感じられます。
夕方にはスタッフの案内によるファームツアーが開催され、日によっては旬の野菜やハーブの収穫も体験できます。
世界的建築家とSnowPeakが手掛ける『住箱』(栃木・鹿沼)

世界的建築家の隈研吾氏とスノーピークが手掛けるモバイルハウス『住箱』は、タイニーハウスとして発注することはもちろん、全国各地のキャンプ場などで宿泊体験をすることが可能です。
関東では「スノーピーク鹿沼キャンプフィールド & スパ」で体験することができます。
キャンプ場内には、露天風呂やサウナなどを備えた温浴施設や、地元の方が上南摩そばを提供する蕎麦屋「竜がい」などテイクアウト専門店も併設しています。

ウッドデッキ檜風呂で贅沢体験『Solana軽井沢別邸』(長野・軽井沢)

タイニーハウス・トレーラーハウスの一棟貸しを行っている「SolanaResort」
その中でも、ラグジュアリー内装にこだわった軽井沢別邸は、コンパクトながら洗練されたタイニーハウス体験ができます。
ウッドデッキには檜風呂があり、わんちゃん用のお風呂もあります。
また、軽井沢別邸では出張シェフサービスもあり、一流レストランのシェフによるオリジナルメニューも楽しめます。
きがる・じっくり体験できる『タイニーハウス・こすげ』(山梨・小菅)

タイニーハウス・こすげは山梨県の小菅村にある一棟貸しの宿です。
全てが揃った小さな家できがるにミニマルライフを体験できる「きがる棟」と、持たない暮らしをじっくりと体験する「じっくり棟」があります。
美肌の湯とも呼ばれる「小菅の湯」に隣接した宿で、宿泊される方は割引価格で温泉を楽しむことができます。

タイニーハウスに泊まれる宿泊施設[関西エリア]
タイニーハウスを購入する前に、タイニーハウスに泊まれる宿泊施設で体験するのもおすすめです。
ここでは関西エリアでタイニーハウスに泊まれる宿泊施設をご紹介します。
京都の町家一棟貸し『Kanon House』(京都・七条)

Kanon House(カノンハウス)は、30㎡のワンルームタイプの一棟貸しの宿泊施設です。
七条駅から徒歩約4分、三十三間堂まで徒歩3分の観光利用にもぴったりなロケーション。
近隣には飲食店も多く、食事にも困りません。
こちらの施設の特徴は、宿泊者のために自転車が2台用意されていることです。
電車での利用の場合は、自転車があると周辺の観光エリアにアクセスしやすく行動範囲が広がります。

志摩オートキャンプ場の『キャンピングハウス』(三重・志摩)

志摩オートキャンプ場内にあるキャンピングハウスはトレーラーハウス型。
他にもバンガロータイプもあり、気軽にタイニーハウスの暮らしを体験ができます。
キャンプ場内の施設が充実しているため、初めてという方も安心して過ごせます。
ロケーションも良く、プライベートビーチのようなあづり浜へは徒歩3分、道中には伊勢神宮や志摩スペイン村・鳥羽水族館など観光施設も多数あり、ファミリーで楽しむことができます。

ヨーロッパ調の家具がかわいい『グランパスinn白浜』(和歌山・白浜)

こちらはホテルからキャンプ区画まである高規格キャンプ施設です。
南紀白浜の中でも白い砂浜が魅力な「白良浜」まで歩いて行ける絶好のロケーション。
敷地内には天然温泉もあります。
トレーラーハウスは広くて快適なコンフォートキャビンと、ヨーロッパ調の家具がかわいいタンゴの2種類があり、どちらも最大4人まで宿泊可能です。
他にも、ムーンロッジや遊牧民のテントを模したパオといった宿泊施設もあります。
まとめ
今回はタイニーハウスの宿泊体験ができる施設を関東甲信エリア、関西エリア別にご紹介しました。
- タイニーハウスとは10~20㎡程度は「小さな家」のこと
- ミニマルでシンプルな暮らし方をしたい人に人気がある
- タイニーハウス宿泊施設でイメージをつかもう
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