最近、若年層や子育て世代から、従来のスタイルにとらわれない二拠点生活(デュアルライフ)という新たな生活スタイルが注目を集めています。
その拠点となる住まいの1つにセカンドハウスがあります。
「セカンドハウスって、別荘のことでしょ?」と思われた方もいるでしょう。
セカンドハウスは、別荘と違い税制優遇が受けられる場合があります。
今回は、セカンドハウスと別荘の違いや、税制優遇についてご紹介していきます。
セカンドハウスと別荘の違い

「セカンドハウスと別荘って同じじゃないの?」という方も多いかもしれません。
しかし、セカンドハウスと別荘は別物です。
では、どう違うのか見ていきましょう。
セカンドハウスは「第二の生活の拠点」
セカンドハウスは、「週末に住むため」や「平日の通勤のため」の家のことを指します。
普段の生活に欠かすことのできない、「第二の生活の拠点」であるため、生活必需品とみなされます。
そのため、セカンドハウスには税制優遇があります。
税制優遇があることにより、別荘よりも気軽にセカンドハウスを考えることができると言えます。
平日は、通勤や生活に便利な都会で過ごし、週末はセカンドハウスで田舎暮らしをする、
セカンドハウスなら都会と田舎暮らしのいいとこどり生活ができるのではないでしょうか。
別荘は「非日常的な贅沢品」
一方で別荘は、避暑などの目的で短期的に過ごす「非日常的な贅沢品」とされています。
夏休みなどの長期休みの時に、過ごしたりするイメージの人が多いのではないでしょうか?
余暇を過ごすイメージの強い別荘では、保養のための贅沢品のため、税制優遇等の措置もありません。
セカンドハウスの魅力

続いては、セカンドハウスの魅力についてご紹介していきます。
都会と田舎両方を体感できる
都会にも田舎にも、それぞれ住む上でのメリットがあります。
都会に住めば、交通の利便性や商業施設なども多く、便利な生活を送ることができます。
一方、田舎に住めば、自然豊かな環境のなかで、ゆったりと暮らすことができますよね。
都会に住んでいる人も、田舎に住んでいる人も、もう一方の地域にセカンドハウスを持てば、普段の生活の中で都会と田舎、両方の魅力を体験することができます。
メインの住宅とは別の地域にセカンドハウスを持つことで、暮らしの幅が広がります。
働き盛り世代でも手にしやすい価格帯に
近年、ITの発展により場所にとらわれない働き方(リモートワーク・テレワーク)が浸透してきたため、「二拠点もしくは多拠点に居住空間を持つ」というライフスタイルに注目が集まっています。
この新しいライフスタイルに特に注目しているのが、30~40代の働き盛り世代です。
こういった背景に加えて、バブル期にリゾート地に建てられた物件が、築年数の経過により値下げされ、リノベーションされた上で再販されています。
セカンドハウスとして利用するのにぴったりな物件が、働き盛り世代も購入しやすい手頃な価格帯になっています。
これまでセカンドハウスは、資金に余裕のあるシニア層のためのものと考えられてきました。
しかし最近では、働き方の変化やリゾート地の物件の値下がりにより、働き盛り世代からのセカンドハウスの人気が高まってきています。

セカンドハウスの税制優遇について

セカンドハウスは税制上、居住用財産に含まれます。
住宅として認められているセカンドハウスなら、税制上の軽減措置を受けることができます。
ここでは、代表的な税制上の軽減措置をご紹介します。
固定資産税
固定資産税は土地・家屋や償却資産にかかる地方税で、毎年1月1日時点の所有者に課税されます。
固定資産税の計算方法は以下のとおりです。
固定資産税=課税標準 × 1.4%(標準税率)
土地の課税標準額は売買実例価格などを基に算出されますが、宅地については地価公示価格などの7割が目安です。
「住宅用地に係る特例」が適用されると、次のとおり課税標準額がさらに減額されます。
- 小規模住宅用地(200m2以下の部分):課税標準額 × 1/6
- 一般住宅用地(200m2超の部分):課税標準額 × 1/3
※その他、一定条件を満たした新築住宅や認定長期優良住宅の建物の場合にも別途軽減措置が受けられる場合があります。
なお、地方税のため、自治体によっては異なる税率が適用されることがあります。
そのため、セカンドハウスを建設した場所の自治体に確認してみてください。
都市計画税
市街化区域内の土地・家屋には、固定資産税にあわせて以下のような都市計画税が課税されます。
都市計画税:課税標準 × 最高0.3%(制限税率)
特例適用後の課税標準額の減額割合は次のとおりです。
- 小規模住宅用地(200平方メートル以下の部分):課税標準額 × 1/3
- 一般住宅用地(200平方メートルを超える部分):課税標準額 × 2/3
固定資産税と同じく課税主体は自治体で、市町村によって税率が異なります。
ただし、制限税率のため上限の0.3%を超えることはありません。
不動産取得税
不動産取得税は、売買や贈与、新築や増築などで発生します。
固定資産税や土地計画税のように毎年課税されるものではなく、取得後半年から1年半の間に都道府県から課税される地方税です。
不動産取得税:固定資産の評価額(課税標準税額)×4%(標準税率)
「住宅・住宅用地の特例」が適用されると、土地・建物それぞれに次のとおり減額されます。
<土地>
下記のいずれか大きい額に税率を乗じて得た額を減額・150万円・床面積の2倍の面積(200平方メートルまで)に相当する土地の価格
<建物>
- 新築:固定資産税評価額から1,200万円を控除
- 中古:住宅の新築時期により固定資産税評価額から最高1,200万円を控除
なお、2024(令和6)年3月31日までに取得した不動産に関しては、さらに次のような軽減措置が適用される可能性があります。
- 不動産取得税の税率の特例:4%→3%に軽減・住宅用地
- 商業地等の特例:固定資産税評価額(課税標準税額)を1/2に圧縮
要件などはセカンドハウスがある都道府県に確認してください。
税制上のセカンドハウスの要件

前述で、セカンドハウスにどのような優遇が受けられるかをご紹介しましたが、税制優遇を受けるには以下の要件があります。
- 居住用の家屋であること
- 特定の人の利用であること
- 年間を通じて毎月1泊2日以上の利用があること
なお、優遇措置を受けるには以下のような手続きが必要です。
- 取得後60日以内に所在地の都道府県税事務所へ申請する
- 毎月1泊2日以上の滞在を市区町村役場に提出する
また、軽減措置を受けるには、マンションや一軒家を購入し、それがセカンドハウスとして認められなければなりません。
申請方法や必要書類などは自治体によって異なるため、セカンドハウス購入の前に確認するようにしましょう。

セカンドハウスを持つ際の注意点

セカンドハウスには税制上の軽減措置が受けられることをご説明してきました。
しかし、セカンドハウスの取得は税制面がクリアできれば良いというわけではなく、取得する上で注意しておきたい点が他にもあります。
魅力いっぱいのセカンドハウスを取得する前に、下記のことにも注意して購入を進めましょう。
維持費がかかる
セカンドハウスで暮らすとなると、所有する家が2軒になるため、光熱費や維持費などがかかります。
「セカンドハウスでの田舎暮らしに憧れてはいるけど、費用面が心配…。」という方は、サブスクで気軽に二拠点生活体験ができるサービスもありますので、そういったものを使って田舎暮らし体験をしてみるのもおすすめです。
毎月行く必要がある
前述の税制上のセカンドハウスの要件でもあったように、セカンドハウスで税制優遇を受けるには月に一回以上生活をするという条件があります。
子供が小さいうちに田舎暮らしを体験させたいと、セカンドハウスの購入を決める方もいらっしゃると思いますが、子供の進学などでなかなか毎月行くのが大変な時期もあるかと思います。
そのようなときに毎月セカンドハウスに行く方法を事前に考えておく必要があります。
メンテナンスなども考えて購入しよう
魅力いっぱいのセカンドハウスですが、メンテナンスは必要です。
メインの居住地と同様に、掃除などの家事もしなくてはなりません。
快適な生活のためにセカンドハウスを購入したのに、かえって生活の負担が増えてしまったら、元も子もありません。
そんな事態を避けるためにも、セカンドハウスを購入する際には、新たにかかる費用や労力などを考慮しておくことが大切です。
まとめ
今回は、セカンドハウスと別荘の違いや税制優遇についてご紹介しました。
- セカンドハウスは、裕福なシニア層だけではなく、若年層も注目している
- 別荘と違い、セカンドハウスは税制上の軽減措置が受けられる
- セカンドハウスで、都会と田舎のいいとこどりデュアルライフを!
