二拠点生活は、都会と地方の良さをいいとこどりできる魅力的なライフスタイルです。
平日は都会で働き、週末は自然豊かな地方でのんびり家族と過ごす、など理想のライフスタイルとして描かれることも多いですよね。
しかし、二拠点生活には様々な課題があり、思い描いていた生活とは異なるギャップを感じてしまうことも少なくありません。
これから二拠点生活をしたい人にとっては、二拠点生活によくありがちなトラブルは気になることかと思います。
今回は、二拠点生活後にできるだけ後悔しないように、二拠点生活にありがちなトラブルとその解決方法についてご紹介します。
二拠点生活とは新しいライフスタイル

二拠点生活とは、2つの地域に生活拠点を持ちながら暮らすことを指します。
都会→田舎といった環境の違う場所でメリハリのある充実した日々を過ごすといった新しいライフスタイルはここ近年で注目を集めるようになりました。
二拠点生活が注目されるようになった背景には、コロナ禍以降リモートワークが普及したことで、パソコンとインターネットがあればどこでも仕事ができる人が増えたことによります。
そのため、必ずしも職場に近い都市部に住まなくても良いという風潮が広まりました。
しかし、都市部は交通利便性や公共サービスの充実などメリットも多く、仕事もフルリモートワークで行っている人は少なく、出社とリモートワークを組み合わせたハイブリット型の勤務形態が大半となっています。
そのため完全な移住とは異なり、仕事や住まいはそのままにもう一つの拠点を持つというのが二拠点生活の最大のメリットと言えるでしょう。
国・自治体も二拠点生活を推進

二拠点生活は今や国、地方自治体も推進しているライフスタイルとなっています。
地方の活性化には地域づくりの担い手となる人材の確保が必要ですが、人口減少が進む日本では特に地方の定住人口を増やすことが困難となっています。
そこで国が新たに進めている施策が、定住人口ではなく「関係人口」を増やすという取り組みです。
そういった背景から、二拠点生活の促進法と言われている「改正広域的地域活性化基盤整備法」が2024年11月に施行されました。
改正広域的地域活性化基盤整備法の概要は以下の通りです。
- 二地域居住促進のための市町村計画制度の創設
- 「住まい」、「なりわい」、「コミュニティ」の活動に取り組む指定法人制度の創設
- 二地域居住促進のための協議会制度の創設
具体的に、市町村を主軸に指定された法人と連携し、あき家の改修や利活用、シェアハウスやテレワーク用の共同オフィスの立ち上げなどの環境整備を行い、それに対し国が支援するという制度です。
こういった制度が積極的に活用されることで、二拠点生活をしたいと考えている側にも住環境やテレワーク環境が整うなどメリットが多くなると言えるでしょう。
二拠点生活にありがちなトラブル

トラブル①地域コミュニティ
二拠点生活のよくあるトラブル1つ目は、地域コミュニティのトラブルです。
二拠点生活は週末だけ、長期連休だけといった利用が多く、近隣の人とのコミュニケーションを取る必要はないと考える人は多いかもしれません。
しかし、そこに住んでいる人から見たら「地域住民の一人」であるため、ある程度のコミュニケーションは必要と言えるでしょう。
地域によっては、地元コミュニティや自治会への参加・協力を求められることもあるでしょう。
そこに定住しているわけでもないため、地域コミュニティに積極的に参加することは難しいのですが、参加しないことでゴミ集積所にゴミを捨てることを拒まれたというケースもあります。
トラブル②住環境
二拠点生活のよくあるトラブル2つ目は、住環境に関するトラブルです。
これは都市部と地方の自然環境や、街の整備の違いによるものです。
都市部から離れた地方は自然が身近にある分、豪雨や土石流などの自然災害のリスクが都市部より高くなる傾向があります。
また災害まではいかなくても、海沿いでは塩害、山間部では積雪の影響など、住宅への影響は大きく定期的なメンテナンスが必要になります。
特に都市部での住まいがマンションの場合、建物の管理やメンテナンスはマンションの管理会社が行っているため、二拠点生活を始めてギャップに驚く人も少なくありません。
他にも、庭がある住居の場合、自然豊かな地域は庭木や雑草の成長が早いため、道路や隣の敷地へ越境してトラブルになったということも多く聞かれます。
トラブル③家計管理
二拠点生活のトラブルで一番多いのは、予算管理をしっかりとせず家計を圧迫してしまう家計のトラブルです。
二拠点生活は住居費、光熱費、交通費などの費用が1.5倍~2倍の生活コストになると言われているため、きちんと予算管理ができていなかった場合、生活が続けられなくなってしまいます。
田舎暮らしに憧れて、「自給自足に近い形で暮らすため費用をかけない」という方もたまにいますが、ほとんどの人はエアコンなどの冷暖房設備は必須ですし、インターネット環境も必須です。
一年を通して過ごすことになるため、夏・冬に合わせた住環境を整える必要もあるため費用がかかります。
また、山間部の寒冷地の場合は暖房費用が多くかかるため、都市部での生活を基準に計画をせず、きちんとその地域にあった生活環境での予算を立てましょう。
トラブル④拠点への移動
二拠点生活のよくあるトラブル4つ目は、移動に関するトラブルです。
二拠点生活は2つの拠点を移動するため、当然移動時間とその費用がかかってきます。
移動時間がかかればかかるほど、二拠点生活先で過ごす時間が短くなりますし、リフレッシュするはずが疲労だけが残ってしまいます。
また、当初は車での移動を想定していたが、実際に二拠点生活を始めてみたら公共交通機関やタクシーを使うことが多かった、という話もよく聞きます。
「長時間の運転が思ったより大変だった」
「降雪地帯のため冬の期間は車で移動ができない」
「家族の予定の都合でそれぞれが公共交通機関で来る(もしくは帰る)」
といったケースです。
車移動の場合、家族一緒に移動することが多いと思いますが、公共交通機関を利用する場合は人数分の費用が掛かってきます。
そのため、想定以上に費用がかさむということが出てきてしまいます。
トラブル⑤家族との関係
二拠点生活のよくあるトラブルの最後は、意外と見落とされがちな家族関係のトラブルです。
二拠点生活は「どこで何をしたいか」が明確であるほど良いのですが、家族全員が同じ意見とは限りません。
二拠点生活はやりたい人が理想の生活に対する期待が大きく、家族にもその理想を押し付けてしまいがちです。
また家族全員が賛成であっても、二拠点生活を続けていく中で、子供の成長や家族のライフステージの変化などで予定が合わず二拠点生活を続けることが難しくなるケースもあります。
家族の誰かが我慢するような環境が続けば、不和が生じてしまい、家族の関係が悪化してしまうこともあるでしょう。
知っておけば安心!トラブル解決方法

解決方法①移住者、二拠点生活者の多いエリアを選ぶ
都市部から地方で二拠点生活をする場合、地域コミュニティに馴染めなかったり、参加したくてもタイミングが合わなかったりということがあります。
また、その地域特有の慣習があり、どうしてもうまくいかないといったケースもあるでしょう。
このような地域コミュニティに関するトラブルの解決方法としては、移住者や二拠点生活者が多く住むエリアを選ぶのがおすすめです。
昔から別荘の多いエリアや、昨今都会からの移住先として人気のあるエリアであれば、同じ環境にある住民も多いため、程よい距離間でコミュニティに馴染みやすいと言えるでしょう。
また同じ二拠点生活をしている先輩からの情報を聞くことで、新たな発見やより充実した二拠点生活ができるかもしれません。
せっかく新しい地域で暮らすのですから、新たな人間関係を築くのも良いでしょう。
解決方法②管理業者が近くにあるのか確認
住環境によるトラブルを解決するには、まずは自治体のハザードマップを確認することが重要です。
災害時にどのような被害が想定されるのかを知っておくのは、いざという時に役立ちます。
また、塩害の多い地域、積雪の多い地域は住宅や敷地の管理やメンテナンスも必要になってきますので、対応可能な業者が近くにいるかを確認すると良いでしょう。
庭木や雑草の処理は自身で出来る場合は大丈夫ですが、造園業や草刈り業者に頼むことで身体的な負担も少なく、時間も有効的に使えるでしょう。
不在がちになる場合は、建物や敷地の管理を行ってくれる業者が近くにあると心強いです。
解決方法③予算管理をしっかり行う
二拠点生活をする上で重要なのは、費用の予算管理をしっかり行うことです。
予算管理がしっかりしていないと、生活費が予想以上に膨れ上がり続けることが難しくなるからです。
住居の維持費や光熱費、交通費をシミュレーションし、それに加えて予備費用も想定しておくことで、予定外の出費にに悩まされることがなくなります。
更に、工夫次第で費用を抑える方法はいくつかあります。
- 中古物件や空き家で住宅費用を抑える
- なるべく自炊する
- 家具・家電は中古品や使っていない物を利用
無理のない予算立てをし、費用を抑えることで二拠点生活を継続して楽しむことができるようになるでしょう。
解決方法④移動時間、手段を考える
移動によるトラブルで挙げたように、「車での移動を想定していたのに、実際には公共交通機関を利用する方が多かった」ということ十分にあり得ます。
こういった場合を想定して、公共交通機関の費用もシミュレーションして予算に組み込んでおくと良いでしょう。
また、移動で一番大きいのが移動時間です。
二拠点生活をする上では、自宅からあまり離れすぎない1~2時間程度の距離がおすすめです。
他にも渋滞しやすい時間帯や、迂回路を調べておくと良いでしょう。
解決方法⑤家族の希望、ライフステージについて話し合う
家族間によるトラブルの解決方法としては、まずは二拠点生活を始める前に家族でよく話し合うことです。
どこでどんなことをしたいのか、どのくらいの頻度で行くのか、家族は一緒に同行するのかなど、よく話し合うと良いでしょう。
また子供の進学や習い事、家族の介護などライフステージは変わっていくものです。
その都度話し合い、家族間でコミュニケーションを取ることが大切です。
まとめ
今回は二拠点生活にありがちなトラブルと、その解決方法についてご紹介しました。
- 二拠点生活は昨今、国や自治体も推進している
- ありがちなトラブルは、人間関係や費用、移動に関するものが多い
- 二拠点生活のトラブルは解決方法を知っておけば安心