田舎暮らしや二拠点生活が注目を集め、別荘やセカンドハウスを購入、または借りる人が増えています。
都会での生活と、自然豊かな場所での生活を両方楽しむことができるというのは、とても贅沢な暮らし方と言えるでしょう。
しかし、この時期は別荘・セカンドハウス所有しているたくさんの方が頭を悩ませる問題があります。
「お気に入りの家具やインテリアがカビだらけになっていた!」
今回は別荘やセカンドハウスでのカビ取り方法を素材別にご紹介します。
正しいカビ除去で快適に過ごしましょう。
カビの発生原因

空中に漂っているカビ菌は、条件次第ですぐに繁殖します。
カビの発生しやすい条件
カビ菌は空気中のどこにでも漂っており、条件が揃うと繁殖し広がります。
カビが繁殖しやすい条件は主に以下の通りです。
- 60%以上の湿度(80%以上で一気に繁殖)
- 15~30度の気温
- 栄養分(食品の食べカス、ホコリ、汚れ、ダニなど)
特に、これら3つの条件の中でも「湿度」と「気温」は重要な要素になります。
「室温が20~30度」「湿度75%以上」の状態が続くと、カビが繁殖しやすくなります。
日本は1年中カビに注意が必要
一般的に、室内の快適な湿度は40%〜60%と言われています。
しかし、2020年の東京で40%〜60%の湿度だったのは2月のみ。
また、近年では住宅の気密性も良くなっているため、冬でも室内は温かく、窓に結露ができるくらいの湿度がある住宅が多くなっています。
そのため、現代ではほぼ1年中カビのシーズンといっても過言ではありません。
別荘はカビの条件が揃っている

通常の住宅でもカビが1年中発生しやすくなっている中で、別荘やセカンドハウスにおいては、その利用頻度や環境により更に発生しやすいと言えます。
①密閉状態で湿気がこもっている
普段誰もいない状態の別荘やセカンドハウスは換気が一切されないので、湿気がこもってしまいます。
カビは60%を超えたあたりから活動を始めますが、その湿度は高ければ高いほど繁殖する速度が速くなります。
例えば、別荘の多い長野県軽井沢町は年間の平均湿度が80%前後で、東京よりも10%以上高いです。
このように湿度の高い場所で換気も除湿もしない期間が続くと、カビの発生リスクが高くなってしまいます。
②カビの栄養源がたくさんある
誰もいない別荘は長期間掃除をされないため、埃などが溜まっていきます。
すると、カビはそれを栄養源にして繁殖していきます。
そして厄介なのが、カビは少量の栄養源でも繁殖できてしまうということです。
こうしてカビは栄養源を吸収しながら増えていってしまうのです。
③自然の場所にはカビが多い
別荘やセカンドハウスと言えば、自然豊かな場所を選ぶ方がほとんどだと思います。
しかし、自然豊かな場所というのは、実はカビが発生しやすいとも言えます。
というのも、土壌にはたくさんの微生物が生息していて、その中にカビもいるからです。
自然が多い場所にはカビの胞子がたくさん飛んでいるため、その近くの建物はカビが生えやすい傾向にあります。
そのため、別荘は他の建物と比べてカビが生えやすくなってしまうのです。
カビが体に与える影響

カビの胞子は常に空気中に漂っていますが、増殖して漂う胞子の量が増えると、感染症、アレルギーなどを引き起こす恐れがあり、注意が必要です。
具体的なカビによる疾患には次のようなものがあります。
アレルギー性鼻炎
鼻の粘膜に異物がつくと、それを排除するために、鼻水、鼻づまり、くしゃみなどの症状が出ます。
花粉症が広く知られていますが、カビも同様です。
夏型過敏性肺炎
アレルギーが原因で発症する肺炎のひとつを過敏性肺炎といい、特に夏に見られるのが夏型過敏性肺炎です。
症状は咳、発熱、倦怠感などで、診察を受けても風邪と間違われやすいことが難点です。
エアコン内部で増殖したカビが原因になることも多いので、注意しましょう。
気管支肺アスペルギルス症
アスペルギルスというカビが体内に入って肺で増殖し、呼吸を妨げるのが気管支肺アスペルギルス症です。
免疫力が低下していたり、アスペルギルスにアレルギーがあったりすると発症しやすく、咳や痰、息切れ、微熱といった喘息と同じような症状が出ます。
シックハウス症候群
建材や家具に含まれる化学物質、建材や家具に発生したカビなど、ビルや住宅で見られる健康被害を総称してシックハウス症候群といいます。
主な症状は、倦怠感や頭痛、めまいなどです。
上記のように私達の体に良くない影響を与えるため、カビの除去が必要です。
【素材別】おすすめのカビ取り剤と使い方

部屋の中には、布製のカーテンや木製の家具、革張りのソファなど、さまざまな材質のものがあるかと思います。
カビ取りをする場合には、素材が傷んだりしないようそれぞれの材質に合ったカビ取り剤を選びましょう。
ここではそれぞれの材質別に、おすすめのカビ取り剤と使い方をご紹介します。
布製品(カーテン、ラグ)
布製品のカビには、水洗いができるものかどうかで薬剤を使い分けます。
水洗いできる:塩素系漂白剤、酸素系漂白剤
カーテンやラグなどの布製品は、繊維の中にカビ菌が入り込んでしまいやすいものです。
水洗いのできるものは塩素系や酸素系の漂白効果のある市販のカビ取り剤を使い、使用後はしっかりと洗って乾かすことをおすすめします。
◎おすすめのカビ取り
・オキシクリーン 酸素系漂白剤(界面活性剤不使用)
界面活性剤配合タイプもありますが、界面活性剤は新たなカビの栄養になってしまうため、部屋の中のカビ取りには使わない方が良いでしょう。
水洗いができない:エタノール、ベンジン
マットレスなどの水洗いのできない大物布製品や、シルクやウールなどで水洗いができない繊維製品についてしまったカビには、エタノールがおすすめです。
◎おすすめのカビ取り
・健栄製薬 消毒用エタノール
カビに有効なアルコール濃度76.9〜81.4vol%を含有し、原液のままカビ取りをしたり、水で薄めて日常的な除菌に使ったりすることができます。
エタノールでの布製品カビ取り方法
①清潔な布にエタノールを含ませる
②カビ取りしたい箇所に布で叩き込む
③カビをつまみ取る
木材製品(フローリング、木製家具)
木材製品のカビ取りにはエタノール、次亜塩素酸水、乳酸系カビ取り剤。
木材につくカビは、基本的には表層面よりも内部に侵入することはありません。
しかし、カビ以外の原因で内部まで黒ずんでいるものを、カビだと思って塩素系漂白剤などの入った市販のカビ取り材を使うと、かえって色を悪くさせたり、木材そのものを傷めたりしてしまいます。
◎おすすめのカビ取り
・ジアウォータープラス 次亜塩素酸水
出典:Amazon
弱酸性のため木材製品を傷めずにカビ除去ができます。
長時間浸透させることで、黒カビの色素にも一定の効果があります。
次亜塩素酸水での木材製品カビ取り方法
①水溶液を作る
②カビ取りしたい箇所に刷毛等で塗り込む
③色素がなくなるまで数時間置きに塗り込む
④水拭きしてしっかり乾かす
アズマ 乳酸カビトリーナー
非塩素系のため塩素臭がなく、漂白作用がないので色落ちが気になる場所にも使用できます。
乳酸系カビ取り剤での木材製品カビ取り方法
①カビ部分に乳酸カビ取り剤を吹きかける
②商品に記載の時間だけ放置する
③カビ取り剤を拭き取る
④干せるものは天日干しまたは陰干し
革製品(ソファ)
革製品のカビ取りには革専用のカビ取りクリーナー。
鞄や小物、ソファなどの革製品は、できるだけ色や手触りを損ねずにカビを除去したいものです。
革製品は、カビにとっての栄養となる有機物(動物性タンパク質)でできています。
そのため革製品は雨や湿気などの水分を得ると、たちまちカビの生えてしまう素材です。
◎おすすめのカビ取り
・エスケー カビ取り&クリーナー
プロ仕様の革専用カビ取りドライクリーナーです。
カビ取り後は、革の種類に合わせた保護クリーム等でしっかりと栄養を与えてください。
カビ取りクリームでの革製品カビ取り方法
①清潔な布に含ませる
②カビを拭き取る
畳
畳のカビ取りにはエタノール。
畳にカビが生えても、適切な方法で対処すれば元の状態に戻すことができます。
畳の素材イ草には高い吸湿能力があるので、空気中の湿気や埃を吸収して部屋を快適な状態に保ちます。
しかし、湿度の高い状況が続くと、イ草はそのぶんの湿度も吸収するためカビが繁殖しやすくなります。
◎おすすめのカビ取り
・健栄製薬 消毒用エタノール
カビに有効なアルコール濃度76.9〜81.4vol%を含有し、原液のままカビ取りをしたり、水で薄めて日常的な除菌に使ったりすることができます。
エタノールでの畳カビ取り方法
①エタノールを畳に吹き付ける
②20分ほど放置したあと、乾いた雑巾でよく拭き取る
③再度①~②を行う
カビを正しく除去するステップ

カビは非常に拡散しやすく、付着した先に栄養になるものがあると一気に増殖します。
そのためカビを正しく除去して再発を防ぐには、以下の手順でカビ除去を行いましょう。
STEP1 部屋の換気をする
カビを正しく取り除く最初のステップは、カビ取りをする部屋の換気です。
なぜなら、カビの発生している箇所を中心にその部屋全体にカビの胞子が大量に浮遊している可能性があるからです。
換気をして空気を入れ替えながらカビ除去を行いましょう。
換気は、カビ取りを始める前から、薬剤の浸透時間を含めた作業終わりまでずっと行い続けます。
カビ取りをする際の換気は、以下のように行います。
・窓を開ける
窓を開けることで、取りたいカビのある部屋の空気を入れ替えます。
カビ除去を行う場合は、できるだけ晴れた日の日中に、乾燥した空気を取り込みながら行うことが大切です。
・換気扇を回す
窓のない部屋で換気扇がある場合は、換気扇を利用して空気の入れ替えをします。
空気の入口と出口を確保することで換気効率が良くなるため、ドアを開け、隣接する部屋の窓を開けることで、きれいな空気が通るようにします。
・扇風機を回す
クローゼットなど換気扇のない空間では、扇風機を回して風を送りながらカビ除去を行います。
その際、カビの生えている箇所に直接風が当たらないよう、角度を調整してください。
カビの生えている辺りに扇風機の風が当たると、カビの胞子を撒き散らすことになってしまいます。
STEP2 部屋全体を掃除する
カビの除去に取り掛かる前に、カビのある部屋を全体的に掃除します。
カビは目には見えない胞子を放出するのですが、この胞子はほこりや汚れに付着することで、そこで栄養を得て成長し、急速に増殖していきます。
カビの生えている場所だけを掃除しても、それ以外の場所の掃除ができていなければ、カビは移動するだけでまた発生してしまいます。
そのためカビの栄養を残さないよう、部屋全体からカビの栄養となるほこりや汚れをなくします。
特に、窓際の結露など水分が多くある場合は、しっかりと拭き取りましょう。
STEP3 カビを死滅させる
換気をし、掃除が終わったら、ここでようやく薬剤を使ってのカビ取りを行います。
表面カビは薬剤による拭き取りで取り除くことはできますが、長い期間放置し、素材の内部まで侵入したカビは、十分な浸透時間を置くことが必要です。
素材の内部まで侵入したカビを死滅させるためには、以下のようなやり方で充分な浸透時間を取ってください。
・キッチンペーパーを使う
壁などの垂直面や天井では、液ダレを防ぐことで浸透時間を長くすることができます。
液ダレを防ぐには、カビの生えている範囲を十分にカバーできる大きさのキッチンペーパーを用意し、薬剤を含ませてからカビの生えている箇所に貼り付けます。
・ラップを使う
ラップで覆うことで、薬液をじっくり浸透させることができます。
カビ取りしたい範囲とその周辺に薬液をつけたら、ラップで全体を覆います。
薬液をじっくりとカビに浸透させるだけでなく、カビに酸素を与えないため、死滅効果を狙うことができます。
・ペーストを作る
粉末状のものは水を加えたり、液体状のものは重曹を加えることで、ペーストを作ることができます。
ペースト状にすることで、溝などの垂直面のある隙間や天井にもしっかり薬剤が止まり、浸透時間を長く取ることができます。
STEP4 死滅後のカビを取り除く
カビを死滅させたら、しっかりとその死骸を取り除きます。
死骸が残っていると、死骸そのものがまたカビの栄養源になってしまうためです。
部屋の中に生えたカビの死骸は、以下のような方法で取り除きます。
・柔らかいブラシを使う
凹凸のある場所に残った、カビの死骸を含んだ汚れは柔らかいブラシまたは刷毛などを使って掻き出します。
硬いブラシでゴシゴシこすると、素材の表面に傷がついてカビの隠れ家を作ってしまいますので、ブラシは必ず柔らかいものを選んでください。
・水またはアルコールで拭き取る
水洗いできない場所や大きな物などは、水またはアルコールを含ませた清潔な布でカビの死骸を拭き取ります。
・掃除機で吸い取る
掃除機でカビの死骸を吸い取りましょう。
また、吸い込んだ後は、掃除機のお手入れを必ずしてください。
集じん紙パック式掃除機の場合は、ゴミがいっぱいになっていなくても紙パックを捨てます。
そのまま使い続けると紙パック内のゴミを栄養にカビが繁殖する可能性があるためです。
サイクロン式掃除機の場合はダストケースからゴミを捨て、水洗いできる部品は水洗いします。
水洗い後は十分に乾かしてから本体にセットしましょう。
自分でやるのはちょっと、、、そんな時は

今回、カビ取り方法をご紹介してきましたが、限られた滞在期間でカビ取りを行うのはなかなか大変なものです。
せっかくの滞在中はのんびりしたり、レジャーを楽しみたいですよね。
そこで、プロのハウスクリーニングへ依頼をして時間を有効活用しましょう。
プロの道具と技術でいったんカビ菌を根こそぎきれいにしてもらえば、そのあとはカビが生えづらくなります。
ハウスクリーニング相場
- ハウスクリーニング 30,000円〜60,000円(2LDK・3LDK)
- 水回りクリーニング(お風呂+換気扇+トイレ+キッチン+洗面所) 30,000円〜
- 家事代行(1時間) 3,000円〜4,500円
サービス内容や費用は、業者によって様々ですので、何社か見積りを取ることをおすすめします。
まとめ
今回は別荘やセカンドハウスのカビ取り方法をご紹介しました。
- 素材によって適したカビ取り剤がある
- カビ取りを行う前にしっかり換気と掃除をする
- プロに依頼して時間を有効活用するのも◎
