地方移住をしたいと思ったら、まず気になるのが移住先での仕事ではないでしょうか。
「今の仕事を続けるか、転職するか」
「せっかくの地方移住。地方ならではの仕事をしたい」
新しく仕事を探す場合、どのように地方では探せば良いのでしょうか。
都会とは違った仕事の事情を抱えている地方だからこそ、探し方や職業に特徴があります。
今回は地方移住先での仕事の探し方や、地方だからこそできる仕事をご紹介します。
地方移住で働くメリットは

都会在住の方に人気の地方移住。
また、今は都会で仕事をしていても、いずれは田舎に戻ろうと思っている地方出身者も多いのではないでしょうか。
ここでは地方移住での仕事のメリット・デメリットをご紹介します。
地方移住で働くメリット
- 通勤ラッシュのストレスがない
- 渋滞などの混雑がない
- 物価や家賃が安い
- 豊かな自然があり、アウトドアが気軽に楽しめる
- 大好きな土地や地方で暮らせる
地方へ移住して仕事をするメリットとしてまず挙げられるのが、通勤ラッシュがないことです。
地方では車通勤の場合も多く、電車やバスを利用するとしても、都会の通勤ラッシュのような混雑はありません。
その結果、ライフワークバランスも整い、都会に住んでいた頃よりも快適な生活ができると感じる人も多いでしょう。
地方移住で働くデメリット
- 雇用が少ない
- 給料が安い
- 徒歩圏内の店が少ない
- 快適に暮らすには車が必須
- 地域によっては気候や自然災害に注意
地方は都市部に比べて求人数が少なくなります。
そのため、これまで従事していた仕事をやりたくても、希望する職種が見つからないということも少なくありません。
また、働き方や業種にもよりますが、都市部にいた頃よりも年収が下がってしまう可能性もあります。
移住前に仕事を探しておこう

地方移住する際、まずは生活が落ち着いてから仕事を探そうと考えている方もいるかもしれません。
しかし、移住する前に仕事を決めてしまった方が良い場合が多いのも事実です。
ここでは移住前に仕事を決めておいた方がいい理由をご説明します。
①移住支援制度を活用できる
移住支援制度とは、地方移住をサポートする自治体などの制度です。
支援事業の内容は自治体によってさまざまですが、例えば以下のような支援があります。
- 通勤費の一部を補助
- 就職のための資格取得で就職祝金を交付
- コワーキングスペースの利用料無料
こういった支援制度を備えている自治体を中心に移住先探し・仕事探しをすれば、経費の削減にも繋がります。
東京23区内に在住、または首都圏から23区内に通勤している方は、地方に移住して就業するだけで移住支援金が交付される制度もありますので、ぜひ活用しましょう。
②移住後の収入が確保できる
移住前に仕事が決まっていると、移住後の収入が確保できるため安心です。
実際に移住してから仕事探しをするとなると、基本的には貯金を切り崩しながら生活することになるため、安心感が違います。
③移住先に早くなじめる
移住とともに職に就くことで、職場のコミュニティーを通じて移住先に早くなじめるメリットもあります。
地方では人との繋がりが生活の上でも重要なため、早くなじめることの恩恵を感じる場面が多いでしょう。
特に地元企業や店舗、役所などに所属して働けば、地域の方からの信用も得やすいでしょう。
地方ならではの仕事探し事情

地方移住で仕事を探す時に、地方ならではの事情を知っておくと良い場合があります。
人手が不足している
地方は都会と比べて、人手が不足しているため常に求人を出している事業者も少なくありません。
地方の課題の中には人口流出のほかに地域住民の高齢化があります。
すでに70歳を超えている方でも、再任用や業務委託といった形式で働かなければならないといった事情を抱えている地域も少なくありません。
特に深刻なのは第一次・第二次産業や、伝統産業などのあまり人を雇わず職人としてやっていく産業です。
国も地方自治体も深刻な課題として受け止めており、移住支援制度でセットで支援している自治体もあります。
求人情報の収集に注意
仕事を探し始めるとわかることですが、地方は求人情報をインターネットで集めようと思ってもあまり情報が出てこないことが多くあります。
これは第一次産業など地域の主要産業が、インターネットでの募集に慣れていないことが多いためです。
第一次産業は特に家族で継承する事業形態をとっている事業者も少なくないため、実際に現地に足を運んだり、組合に問い合わせたりしないと出てこない求人もあります。
インターネットと合わせ、ハローワークや自治体の移住定住窓口に問い合わせたりすることをおすすめします。
収入が都会と比べて高くない
地方は公共交通機関などを除いて全体的に物価が安いと感じることもあるでしょう。
しかし、その分給料は低く設定されており、都市部で同じ仕事をするよりも収入が減ることも珍しくありません。
移住する場所によっては光熱費や固定費がかかるため、支出が増えてしまうこともあるのでシミュレーションはきちんと行いましょう。
中には都市部より収入がいいものもありますが、求人数としてはごくわずかです。
また、第一産業・第二次産業の中には試用期間と見習い期間中は給料が低く設定されていることも少なくありません。
事前に給料に関しては確認をとり、自分が生活できる収入であるかどうかの確認をしておきましょう。
移住先での仕事の見つけ方

地方での仕事探しは、東京や大阪などの大都市圏と比べると、求人数が極端に少なく感じられるかもしれません。
しかし、働き手を欲している地方もたくさんあります。
ここでは、移住先で仕事を見つける方法をご紹介します。
自治体の就労支援等を活用する
東京にはふるさと回帰支援センターなど、大都市には移住相談ができる窓口があります。
ここで移住に関すること以外に、就職情報なども質問できるので、就労支援について尋ねてみましょう。
一方、住みたい地域がすでに決まっている場合は、各都道府県が設置した相談窓口から問い合わせると話が早く進みます。
オンラインで相談できる自治体も近年増えているので、気軽に問い合わせてみましょう。
求人情報サイトを利用する
都市圏の仕事探しと同じく、求人情報サイトを使うのも良いでしょう。
ほとんどのサイトは働く場所を入力できるので、移住を考えている地域に絞って検索することで移住候補地に限定した仕事探しが可能です。
また、移住に特化した求人スカウトサービス「SMOUT」や、居住先も見つかる住み込みの求人「スミナビ」のようなサイトもあるので、自分に合った方法で仕事探しをしてみましょう。
地方インターンシップ制度を利用する
地方のインターンシップ制度というと、主に学生に対して行われる地方創生インターンシップ事業が有名ですが、社会人向けにインターンシップ制度を設けている自治体もあります。
実際に移住先に住んでみて、働いてみてわかることも多いので、このような制度を利用してみるのもおすすめです。
就業体験イベントに参加する
田舎暮らし体験で地元の人と交流したり、農業などの職業体験イベントなどに積極的に参加することで、仕事探しに繋がることがあります。
地方の求人の多くは、求人サイトに募集を出していない場合が多く、人から紹介(リファラル)が多いという特徴があります。
その為、移住を希望している土地に足を運んで、地域のイベントに参加することで仕事風景を見るだけでなく、実際に仕事が決まるきっかけになったという話も聞きます。
地方だからこそできる仕事9選

移住先では、都会ではなかなかできないような地方ならではの仕事をしようと思っている人は少なくないでしょう。
ここでは、地方だからこそできる仕事を紹介していきます。
①農業・林業
自然豊かな土地で、農作物を作って暮らす生活に憧れる人もいるのではないでしょうか。
農業は人手不足に陥っている地域もあり、移住して農業に従事する人に対して国や自治体から支援金などが付与される施策もあります。
また、森林は日本の国土の7割を占めていますが、林業に従事する人口は年々減少傾向にあります。
そのため求人も多く、未経験者も多く参入しています。
農業と同じく就業支援制度などがあります。
②漁業
世界有数の魚の消費国である日本では、漁業は重要な産業の一つです。
太平洋や大西洋など世界の海へ出て漁を行う遠洋漁業に関しては、高収入が見込める場合も。
漁業の協同組合や会社に就職するほか、自治体で漁業の研修を実施しているところもあります。
③医療・介護
全国各地で人材不足が叫ばれている医療・介護・福祉職は、地方でもニーズの高い職種です。
医師や看護師といった医療職は資格が必要ですが、医療に携わる事務職などは資格なしでも働けるため、挑戦しやすいでしょう。
特に人手が不足しがちな介護職については、資格取得を支援する制度もあります。
一度資格を取ってしまえばどこでも働けるため、移住とともに資格取得を検討する価値は大きいでしょう。
④地域おこし協力隊
地域おこし協力隊とは、地域外の人材を受け入れて地域の協力活動を行ってもらい、定住・定着を図る制度をいいます。
地域おこし協力隊を募集している地域に応募し、おおむね1〜3年の期間、地方自治体の委嘱を受けて、その地域で生活しながら各種の地域協力活動を行います。
仕事内容はさまざまで、農業・林業などの地場産業からSNSや動画を使った情報発信まで、多種多様な職種があります。
⑤起業
移住先で就職するのではなく、自分で起業するという方法もあります。
地域の特性を活かしたビジネスに挑戦するのも良いでしょう。
起業は初期投資が必要なことも多く、都会よりも地価が安く経費が抑えられる地方での起業は始めやすいとも言えます。
国や自治体からの起業支援金もあるため、自分で事業をやりたいという方は起業という選択肢も良いかと思います。
⑥事業承継
地方では、経営者が高齢化し、その担い手不足が課題となっています。
事業承継は、起業するよりもリスクが低く、その地域に根付いた事業を受け継いで貢献できる、魅力的な選択肢の一つです。
興味がある人は、各都道府県に設置されている事業引継ぎ支援センターなどに行って相談してみましょう。
⑦民宿やゲストハウス
移住先の空き家を借りて、民宿やゲストハウスを営むのも人気の仕事です。
地方では、少子高齢化などにより、住む人がいない空き家問題が深刻化しています。
国や地方自治体が空き家問題を解決するため、さまざまな支援を行っており、安く空き家に住むことも可能です。
空き家を活用して、その土地に訪れるさまざまな人と交流できるやりがいのある仕事です。
⑧現在の仕事をテレワーク
近年、テレワークが可能な会社は増加しており、日本全国どこからでも仕事ができるという会社もあります。
現在働いている会社がテレワーク可能な会社なら、移住先でも引き続き仕事ができますし、テレワーク可能な会社に転職してから移住をするというのも一つの方法です。
⑨ウェブ系のフリーランス
プログラマーやライター、デザイナーに動画編集者など、パソコンがあれば仕事ができるフリーランスも、地方に移住しても仕事ができます。
移住先でなかなか仕事が見つからないという時も、クラウドソーシングなどを利用して全国から仕事を探せることが利点です。
活用したい!仕事にまつわる支援制度

国や自治体が支援している制度の中には、仕事に関する支援制度もあります。自分が利用できるものがあれば、ぜひ積極的に活用していきましょう。
地方創生移住支援事業
東京23区の在住者、または首都圏から東京23区内に通勤している者を対象に、所定の地域への移住と就業で最大100万円の移住支援金を支給しています。
就業は、移住先地域の中小企業などへの就業のほか、移住前の仕事をテレワークなどで続けたり、移住先で起業したりすることも含まれています。
農業次世代人材投資資金
新たに農業を始める就農者を支援する制度で、準備型と経営開始型があります。
準備型は就農前の研修を支援するのが目的で、交付の対象になれば年間で最大150万円が最長2年間交付されます。
経営開始型は、就農後の経営を安定させるための支援で、最長5年間、年間で最大150万円が給付されます。
起業支援金
地域の課題解決に貢献する社会的事業を起業する人を対象として、最大200万円を支援します。
都道府県が選定する執行団体が、計画の審査や事業立ち上げに向けた伴走支援を行い、起業に必要な経費の2分の1に相当する額を交付します。
まとめ
今回は地方移住先での仕事の探し方や、地方だからこそできる仕事をご紹介しました。
- 仕事探しはネット以外に現地の体験もオススメ
- 地方だからこそできる仕事がある
- 人手不足の地域では仕事の支援やサポートがある