2つの地域に生活拠点を置く「二拠点生活(デュアルライフ)」というライフスタイルが再注目されています。
二拠点生活と聞くと、「お金持ちや、定年退職した人しかできないこと」と考える人も多いかもしれません。
しかし、最近ではテレワーク等の働き方の変化により、子育て世代の30~40代で「会社や住まいは都心部だが、テレワークや休日を使って地方で田舎暮らしをする」という生活の形を手に入れている人もいます。
若い世代に再注目され始めている二拠点生活とはどのようなものでしょうか。
二拠点生活(デュアルライフ)とは?

二拠点生活とは、2つの地域に生活拠点を持ちながら暮らすことを指します。
主に、都会と田舎といった拠点を持つことが多く、メリハリのある充実した日々を過ごす方が、ここ数年の間に増えています。
二拠点生活のライフスタイルは人によってさまざまで、平日は都会、休日は地方で過ごす「週末田舎暮らし」をしている人もいれば、スキーやサーフィンなど趣味のために2~3ヶ月を地方で過ごす人もいます。
子どもがいる場合は学校の長期休暇に合わせて拠点を変えるケースもあり、仕事や家庭の事情に合わせた柔軟なライフスタイルを選択可能です。
移住とは異なり、仕事や住まいを変える必要がないところが二拠点生活のメリットです。
都会と田舎を行き来しながら、自分らしい暮らしを楽しむことができる二拠点生活は、新しいライフスタイルとして定着しつつあります。
なぜ、再注目?二拠点生活の実態

ひと昔前まで、都会から地方へ移住する人や二拠点生活をする人の多くは、仕事をリタイアした人というイメージでした。
しかし、最近では都心部で働きながら、田舎暮らしを満喫するという若い世代も増えています。
二拠点生活の理由は「ゆとりのある暮らしをしたい」
国土交通省の「社会情勢の変化に応じた二地域居住推進施策に関する検討調査(2012年)」によると、二拠点生活を始めた理由のトップが「ゆとりのある暮らしをしたい」で、全体の約4割を占める結果となりました。
かつてのライフスタイルは、子育てのために都心ではなく、自然豊かな郊外のニュータウンや住宅地を選ぶ家族が多くを占めており、平日は都心部まで長時間通勤、週末は緑の多い住宅地でのんびり過ごすというものでした。
しかし今は、都心部での共働き世帯は年々増えており、夫婦の通勤利便性等を優先して、都市部に住まいを選ぶ傾向が高まっています。
都市部は仕事面や買い物などの生活に関する利便性がよい反面、自然を感じられる機会が少なく、目まぐるしい変化に晒されて疲れたり、孤独を感じやすいという面もあり、心のゆとりがもてる環境が欲しいということで、二拠点生活を考え始めるきっかけとなるようです。
二拠点生活者は子育て世代が中心
リクルート住まいカンパニーが2018年に行ったアンケート調査の結果によると、二地域居住を開始する人は近年増加傾向にあり、2018年は年間17万人以上と推計されています。
また、「将来したい」「興味がある」など、二地域居住を前向きに考えている「意向者」の割合は全国の20〜60代で14%に達し、人口にすれば約1100万人という計算になります。
実際にしている人の属性を見てみると、年代は30代(29.1%)がもっとも多く、以下20代(27.9%)、40代(16.5%)と続いています。
そして家族構成は、「既婚、子どもあり」が4割を超えており、若い子育て世代を中心に二拠点生活をしていることがわかります。
二拠点生活を始める人は年々増加
前述の心理的背景と、昨今の「パソコン1台あれば、仕事ができる」ということで、テレワークを導入した企業が増加したことにより、場所や時間に縛られることなく、働ける時代になったことで二拠点生活を始める人は年々増えています。
また、自治体によるお試し移住体験などの支援施策や、拠点の取得方法が多様化しコストを抑えて始められる等、二拠点生活をする上で、様々な選択肢がとれるようになったことも増加の後押しとなっています。

二拠点生活のここがイイ!メリット3選

二拠点生活のメリットをご紹介します。
自然豊かな環境でのんびりできる
やはり多いのが、都心部にはない自然豊かな環境で過ごせるという点です。
その土地ならではの魅力も多く、釣りや登山などのアウトドアレジャーを楽しんだり、ガーデニングや農業を始めたりと、家族でのんびりと過ごすことができます。
完全移住と違い、気軽にスタートできる
住みたいと思っている地域があっても、都会と田舎のギャップに馴染めなかったらどうしよう、という方もいるかもしれません。
また仕事や就学の都合で拠点を変えることができないという人も多いかと思います。
二拠点生活の良い点は、住居はそのままに別の拠点を持つため、気軽にスタートできることです。
戸建てを持ちやすい
都心部で戸建てを取得するのは、費用面でのハードルが高く難しい場合があります。
しかし、自然環境豊かな地域は土地が安く、取得しやすいというメリットがあります。
場所によっては畑付きの戸建てもあり、農業を楽しむという方もいます。
リーズナブルに始めている人が、実は多い

前述の国土交通省の調査によると、実際に二拠点生活をしている人の「二地域居住の必要資金」に、約3割の人が100万円以下と回答しており、費用を抑えて始めている人が多くいることがわかります。
住居選択は多様化
二拠点先の住居で最も多いのは「集合住宅を借りて住む」、次に「空き家を借りて住んでいる」で全体の約4割となっています。
対して、新築で建てる、購入する人は約2割と、借りて二拠点生活をしている人が多いことがわかります。
安い賃貸であれば、地域によっては月2万円で借りられるところあります。
他にも、コンドミニアムのような滞在型の宿泊施設でも場所によっては1泊3,000円程で泊まることができたり、ファミリー向けのシェアハウスや、サブスクリプションでいろんな提携宿泊施設に泊まり放題など、様々なサービスも増えてきています。
中には、古い空き家を100万円台で購入して、自分好みにDIYをするという人もいます。
それ以外にも費用を抑えるコツ
二拠点生活をする上で重要にもなるのが「移動」です。
週末利用の場合、移動にかかる費用(公共交通機関や高速代・ガソリン代)も決して負担が少なくない項目です。
二拠点生活をしている人のほとんどが、1~2時間の移動圏内と言われており、住まいのある拠点から近場で費用を抑えて滞在する傾向が見てとれます。
二拠点生活を始める際は、交通にかかる費用についても念頭におかれると良いと思います。
まとめ
今回は、再注目されている二拠点生活をどんな人が、どのように始めているのかをご紹介しました。
- 二拠点生活は、30~40代の子育て世代で増えている
- 移住に比べ、気軽に自然豊かな環境を楽しめる
- 賃貸という選択肢でリーズナブルに始められる