別荘の困り事で多いのが、カビと害虫。
特に、「虫が大の苦手」という家族がいるだけで別荘への足が遠のいてしまうものです。
自然豊かな環境を選ぶことが多い別荘やセカンドハウスは、どうしても虫が多くなってしまいますが、その中でも害虫は見た目が苦手というだけでなく、人体や建物への被害もあるため、対策をしておきたものです。
では、虫対策はいつからどのように始めればいい良いのでしょうか。
今回は、別荘の害虫対策を始める時期と、害虫毎に効果的な対策をご紹介します。
別荘は虫が発生しやすい

虫は湿度の高い環境を好むため、森林や水辺に生息しています。
地域や標高によって違いますが、別荘やセカンドハウスを所有する方の大半が自然豊かな場所を選択しているため、都市部に比べ環境的にどうしても虫の発生は多くなります。
都会ではなかなか見られないカブトムシやクワガタなどの昆虫もいるため、虫が好きなお子さんや家族がいる場合にはまさに遊びの宝庫とも言えるでしょう。
しかし好きな方ならいざ知らず、10センチ近いクモが出てびっくりしたという話や、自然環境での虫のサイズの大きさに驚く方が多いようです。
このような環境は、どちらかというと「虫が生息している場所に私たちが入っている」いうことになりますので、完全に虫を排除することは不可能なわけです。
しかし、中には「害虫」と言われる有害な虫も多くいますので、別荘ではなるべく遭遇したくないのが本音です。
できるだけ遭遇しないよう、または刺されないよう対策をとることが大事です。
害虫対策は4月中がおすすめ

寒い冬が終わり、暖かくなってくると外出をする機会が増えたりと活動的になる人が増えてきます。
しかし、人間と同じく越冬した害虫も活動し始める時期になります。
害虫が増える最盛期の6~8月を迎える前に、害虫対策をすることがおすすめです。
例えば、ゴキブリは梅雨に繁殖期を迎えます。
そして蚊は3〜4月に雨水が溜まると卵が孵化します。
アリは春〜初夏にかけて繁殖期を迎えると、一斉にオスアリが巣から飛び立つので、侵入を防ぐための対策が必要になります。
気温が高くなってくる4月中に虫の侵入を防いで繁殖させないための虫対策を始めるようにしましょう。
害虫対策をしないとどうなる?

「虫がそんなに苦手ではないから、事前の対策はいらない」と考える方もいるかもしれませんが、害虫は単に不快なだけでなく衛生面・健康面で悪い影響が出てきます。
衛生面での害
衛生面の害としては、ゴキブリが挙げられます。
ゴキブリはいわゆる不快害虫ではなく立派な害虫です。
雑菌を食べ物に付着させ、食中毒や体調不良を引き起こすリスクがあります。
健康面での害
ムカデやダニといった虫は健康面での害があります。
ムカデには毒性の物質があり、噛まれると激しい痛みに襲われるだけでなく、噛まれたところが赤く腫れ上がります。大人なら軽症で済むかもしれませんが、子どもの場合は病気を併発するリスクがあります。
室内に出る代表的な害虫

ハチ【危険度★★★】
日本に生息するハチのうち人を刺すのは、主にスズメバチ、アシナガバチ、ミツバチの3種類です。
その中でもっとも危険なのがスズメバチです。
スズメバチは大型のハチで、警戒心が強く攻撃的です。
そのため巣をつくられた場合は、個人で対応するのは危険なため専門の駆除業者を呼びましょう。
ハチによる害
うっかり巣に近づいたり、寄って来たハチを手で払いのけようとしたりすると、攻撃と勘違いして刺されることがあります。
刺された場所はハチ毒によって腫れて痛みますが、重いアレルギー症状であるアナフィラキシーショックを起こす危険性もあるので、刺されないように注意が必要です。
蚊【危険度★★】
蚊は世界中で約3,500種類以上存在すると言われており、その中で、日本に生息する蚊は約100種類と言われています。
しかし、そのうち吸血するものは半分と言われ、更に生息域が狭いものや、積極的に吸血しないものを除くと、人を刺す蚊は凡そ8種類に絞られると言います。
蚊による害
蚊に刺されるとかゆみを生じます。
これは、吸血の際に、抗凝血作用物質(血が凝固することを防止するためのもの)を含んだ唾液を注入され、この唾液によってアレルギー反応を起こすためです。
しかし、蚊の被害で最も恐ろしいのは蚊に刺されることにより、感染症にかかってしまうことです。
日本では2014年に国内でデング熱の感染が確認され、大きく取り上げられたことで、蚊による感染症が広く知られることとなりました。
ムカデ【危険度★★】
ムカデはかまれると痛い虫のひとつです。
屋外では庭の落ち葉や石の下、植木鉢の陰に潜んでいることがあります。
屋内には、排水口を通じてキッチンや洗面台、浴室などに入り込むことがあるので注意が必要です。
ムカデによる害
積極的に人間に向かってくることはありませんが、毒を持っており、刺されると強い痛みが生じて患部が腫れあがります。
人に致命的なダメージを与えるほどの毒量はありませんが、複数回刺されるとまれにアナフィラキシーショックが起こるリスクもあります。
ダニ【危険度★】
家の中で人を刺すダニは主に「イエダニ」です。
イエダニは主にネズミや野鳥などを宿主とします。
ネズミやツバメなどの野鳥は軒先や屋根裏などに巣を作るため、ダニが大繁殖して巣からあふれ出ると、家の中に侵入し人を刺すことがあります。
ダニによる害
吸血されると、激しいかゆみや炎症を起こすことがあります。
我慢できずにかきむしってしまうと、湿疹化して長くかゆみが続いたり、色素沈着を起こすることがあるため、かゆみ止めやステロイド入りの軟膏などで対処すると良いでしょう。
アリ【危険度★】
アリは巣で集団生活を営む、社会性の高い昆虫です。
繁殖力が強く、いったん巣ができると駆除しにくい虫といえます。
近年は、外来種のアルゼンチンアリ、ヒアリも国内で見つかっています。
アリによる害
小さい体のアリが群れて食べものにたかると、つまみ出すのは容易ではなく、付いた食品を廃棄することになってしまいます。
また、ヒアリは毒性が強く、かまれるのと同時にお尻にある毒針で毒を注入されるとアナフィラキシーショックを起こすこともあるため注意が必要です。
ゴキブリ【危険度★】
害虫の中でも、その見た目と素早さから苦手な人が多い虫です。
ゴキブリは下水やゴミ置き場など屋外に住み着き、配管を通って家の中に侵入します。
また、植え込みの下など家のまわりにいて、玄関などから堂々と屋内へ侵入するケースもあります。
室内では家具の隙間などに潜み、エサを求めてキッチンの流し台や浴室などに現れます。
ゴキブリによる害
一番の害は大きな不快感を与えるということでしょう。
また、ゴキブリは下水やゴミ置き場など不衛生な場所に営巣しているため、足や体にさまざまなウイルスや菌を付着させているおそれがあります。
不衛生な状態で屋内を徘徊し、食品や食器などに触れることで、消化器系感染症の病原細菌や、ポリオウイルス、赤痢アメーバなどを媒介するリスクもあります。
クモ【危険度なし】
クモも見た目から苦手な人が多い虫です。
巣を張ってエサになる虫を待つクモと、巣をつくらずに歩き回って他の虫を捕食する徘徊性のクモに大別されます。
そして、ハエやゴキブリなどの虫を捕らえて食べます。
そのため、エサになる害虫が多いところに好んで巣をつくったり、徘徊したりします。
クモによる害
毒をもつ外来種のセアカゴケグモなどを除いて、クモは害をなす虫ではありません。
特に室内に発生するクモは害虫を食べるため益虫とされています。
しかし、大人の手のひらほどになる「アシダカグモ」は、その大きさからびっくりする方が多く、家の中を徘徊していると不快感をもつことがあるでしょう。
害虫毎の対策方法

ハチ対策
ハチは集団で行動し軒先などに巣を作るため、対策優先度が高い害虫です。
しかしミツバチやクマバチは人を襲うことは滅多にないため、ここではスズメバチやアシナガバチの対策をご紹介します。
①防虫剤や防虫ネットを設置
ハチの被害に遭わないためには、巣を作らせないことが重要です。
特に危険なスズメバチは4月~6月の上旬ごろに巣を作り始めます。
巣を作り始めるのは女王蜂1匹のため、その段階で巣が作りにくい環境を作ることです。
防虫剤には忌避効果もあるため、巣を作られやすい軒下や屋根裏などに撒いておくと良いでしょう。
②ベランダや庭先の掃除をする
蜂は空き缶やに残ったジュースの香りや、伸びきった植え込み、樹木の枝などを好みます。
家の周り、庭先、ベランダなどはできるだけキレイにしておきましょう。
③こまめにチェックをする
こまめに家の周りや細部をチェックし、巣を作られる前や巣が小さいうちに対処することが重要です。
しかし、別荘やセカンドハウスなどはその性質上、こまめに確認することは難しいと思いますので、近所の人に頼む、別荘管理会社や業者に点検を依頼するのも良いでしょう。
蚊対策
家のまわりに発生する蚊の発生源は水たまりです。
庭やベランダに置いてあるバケツや植木鉢の受皿など、水が溜まっている場所に卵を産みつけ、そこで蚊の幼虫であるボウフラが発生します。
蚊の大量発生を防ぐには、ボウフラを駆除することが先決です。
①錠剤・粒剤タイプの殺虫剤を使う
排水溝など水の流れがあるところには、ボウフラに効く錠剤・粒剤タイプの殺虫剤で対策しましょう。
産みつけられた卵はおよそ3日でボウフラになり、およそ2週間で成虫になります。
そのためボウフラを駆除することが、蚊を予防する重要な対策となります。
②室内には蚊取り線香や殺虫剤
室内に入り込んだ蚊には、蚊取り線香や、置き型・スプレータイプの殺虫剤がおすすめです。
最近では、空間に1回スプレーするだけで長時間効果が続くものなどさまざまな商品が出ています。
ムカデ対策
ムカデは冬の間は冬眠しており、活動時期は春から秋にかけてです。
基本的に落ち葉の下など屋外にいることが多いですが、夜になるとエサを求めて室内に侵入することがあります。
①ムカデのエサとなる害虫対策を行う
ムカデの餌となるのはゴキブリやダニ、ネズミです。
そのため、ムカデの餌となるゴキブリやネズミが住みやすい環境をつくらないように心掛けることで、ムカデの発生を抑えることができます。
②侵入経路を塞ぐ
害虫は小さな隙間から侵入してきます。
網戸の破損場所や通気口、畳の間、換気扇などはもちろん、住宅のひび割れや亀裂などからも侵入します。
塞ぐことが難しい場所もありますが、できるだけ侵入を許さないように塞いでおきましょう。
ムカデがエサとする、ねずみの対策にもなります。
③忌避剤による予防
忌避剤を使ってのムカデ対策もおすすめです。
住宅周りに撒く忌避剤や、忌避効果のある殺虫剤スプレーを侵入経路に撒くと効果があります。
1つ注意点として、ムカデは住宅に発生する害虫の中でも生命力が強いため専用のものを使用する必要があります。
蚊や他の害虫の殺虫スプレーや忌避剤では効果がない場合があるため、気をつけましょう。
ダニ対策
ダニは家の天井裏や軒下などに住みつくネズミや、家のまわりに巣をつくるツバメを介して家の中へと侵入します。
イエダニがおもに寄生するクマネズミは、換気扇やエアコンの室外機、屋根や瓦の隙間などから侵入します。
①ネズミの駆除・侵入を防ぐ
家の中にネズミがいる場合、同時にイエダニも生息しているおそれがあります。
そのため、まずは宿主となるネズミを駆除する必要があります。
駆除する方法には、「ネズミ捕り器」、「粘着シート」、「忌避剤」などがあります。
毒エサもありますが、殺してしまうと寄生していたイエダニがいっせいに出てくる可能性もあるため、殺すよりも追い払う方が良いでしょう。
家からネズミを追い払う場合は、専門業者に任せるのもおすすめです。
②こまめに掃除する
イエダニは宿主であるネズミから離れて、室内に侵入してくることもあります。
ホコリや人の皮脂、アカ、フケなどはダニのエサになるため、できる限り室内をきれいに保つように心がけましょう。
③部屋を換気する
害虫の多くがそうであるように、イエダニも高温多湿の環境を好みます。
定期的に寝室やリビングなどの窓を開けて、家の中に風を通して室内の湿気をとるようにしましょう。
アリ対策
アリは食料を求めてわずかな隙間からも侵入してきます。
一度、室内に侵入すると駆除が大変なため、現れてたアリを駆除するとともに、巣ごと駆除するのが一番です。
①蟻の侵入経路に毒餌を置く
室内への侵入防止、または侵入した蟻を退治するためには、蟻の侵入経路に毒餌を置くことがおすすめです。
巣に持ち帰って効くタイプであれば、巣ごと駆除することが可能です。
②殺虫剤で巣を駆除する
庭にアリの巣がある場合は繁殖を防ぐために、殺虫剤で巣ごと駆除する方法もあります。
③蟻の侵入口をふさぐ
家の外壁などに破損箇所があり、隙間がある場合は蟻の侵入口になる可能性があるため注意が必要です。
床板や壁紙の隙間や、コンセントの周りなどは特に注意しましょう。
ガラスサッシの隙間もしばしば蟻のとおり道になります。
もし蟻の侵入が見られる場合は、市販のシーリング材やパテなどを使い、隙間を埋めることで室内に侵入する蟻を減らすことができます。
ゴキブリ対策
ゴキブリは繫殖力が高く、多湿を好みます。
ゴキブリは見るのも不快だという人が多いため、繁殖する前に対策をしましょう。
①繁殖期前に燻煙剤を使う
ゴキブリは梅雨時期に繁殖期を迎えるため、その前に燻煙剤で対策すると良いでしょう。
燻煙剤を使用する理由は、家の中で見かけるクロゴキブリは冬の期間も活動が低下するだけで、壁の隙間や家電製品の裏に潜んでいるためです。
そのため、潜んでいるゴキブリを駆除するために燻煙剤を使用しましょう。
また、羽化する前の卵には効果がないため、燻煙剤を使用後2~3週間置いてから再度使用するとより効果が高くなります。
②水まわりを清潔に保つ
室内に潜むゴキブリは、湿気のあるところやエサのあるところに集まります。
水や油、皮脂や髪の毛なども、ゴキブリのエサになります。
キッチンや浴室などを使用した後はきれいに掃除をして、しっかりと乾燥させておきましょう。
③ダンボールは処分する
ダンボールは、ゴキブリにとって絶好の住かになります。
産卵場所にもなりやすいため、用の済んだダンボールは早めに処分しましょう。
クモ対策
室内に出るクモの中で、その大きさから苦手な人が多いのが「アシダカグモ」です。
大きなものは、おとなの掌ほどの大きさにもなるため、不快に感じる人も多いでしょう。
しかし、アシダカグモは家の中に出てくるゴキブリやハエなどをエサにするため益虫と言われています。
また、バイ菌を持ち込む衛生害虫でもなく、毒性はないため、身の危険を感じて噛んできた場合でも危険はありません。
①駆除の必要はない
害虫を捕食するアシダカグモは益虫であり、基本的には家の中で見かけたとしても駆除する必要はありません。
②餌となる害虫を駆除する
とは言え、見た目が苦手という方は多いので、その場合にはアシダカグモの餌となるゴキブリやハエなどが住みにくい環境にすることで、寄り付きにくくなることが期待できます。
別荘で行う害虫対策一覧

前項で害虫毎の対策を挙げましたが、全体的にどのような対策を別荘で行えばよいのかをまとめました。
- 網戸とサッシの隙間を埋める
- 換気扇にフィルターを付ける
- 定期的な換気と掃除
- 害虫が住みやすい、侵入しやすい箇所に予防のスプレーを吹きかける
- 排水管と床の隙間を埋める
- 布団は天日干しをする
- 排水口の掃除をする
別荘やセカンドハウスは日常的に使う住まいでないため、こまめな換気や掃除が難しい場合があると思いますが、そういった場合は別荘管理会社の清掃サービスや、ハウスクリーニングの会社に清掃を依頼すると良いでしょう。

まとめ
今回は、別荘の害虫対策を始める時期と、害虫毎に効果的な対策をご紹介しました。
- 害虫の予防対策は4~5月がおすすめ
- 家の周りの点検と室内清掃で予防
- 殺虫剤や忌避剤で害虫からの被害を防ごう

不在がちな別荘の
カビ対策・防犯強化に