日本人のおよそ3人に1人が何かしらのアレルギーをもっていると言われています。
国民病とも言われている花粉症をはじめ、食物アレルギーや喘息、アトピー性皮膚炎など様々なアレルギーが私たちを悩ませています。
アレルギーの原因となる物質「アレルゲン」は、私たちの身の回りに多く存在しており、それは家の中にも存在しています。
もちろん別荘やセカンドハウスも同様です。
別荘から足が遠のく理由で、意外と多いのが「子供がアレルギー症状で行くのを嫌がるようになった」です。
家族と楽しく余暇を過ごすために購入した別荘が、家族にとって辛い場所にならないようにしたいものです。
そこで今回は、別荘・セカンドハウスのアレルギー原因と、今からできる対策方法についてご紹介します。
アレルギーとは

アレルギーとは、体の免疫系が本来無害な物質を「異物」として反応し、攻撃してしまうことです。
アレルギー反応の原因となる物質をアレルゲンと呼び、一般的に空気中に浮遊する花粉やハウスダスト、ペットの毛などがあります。
他にも、食品や、薬物、虫刺されなど、さまざまな形で存在します。
免疫系は、アレルゲンを検出すると、体内に過剰な反応を引き起こす抗体や細胞を産生し、これによりアレルギー症状が発現します。
典型的なアレルギー症状には、くしゃみ、鼻水、かゆみ、じんましん、喘息などがあります。
これらの症状は、免疫系の反応が引き起こすものであり、個人によって症状の強さや現れるアレルギーの種類は異なります。
アレルギーは遺伝的な要因や環境の影響を受けることがあり、特定のアレルゲンに対する過去の接触が、後にアレルギー反応を引き起こす可能性があります。
アレルギー症状を軽減するためには、アレルゲンを遠ざけること、抗アレルギー薬の使用が一般的です。
代表的なアレルギー症状

以下は、代表的なアレルギーの一例です。
花粉症
花粉症は、春や夏に植物の花粉が空気中に広がることによって引き起こされるアレルギーです。
スギ花粉が代表的で、日本人の4〜5割が花粉症にかかっているとも言われており、国民病となっています。
花粉に対する免疫系の過剰な反応が、くしゃみ、鼻水、目のかゆみ、喉のかゆみなどの症状を引き起こします。
食物アレルギー
食物アレルギーは、特定の食品に対する免疫系の異常な反応によって引き起こされます。
代表的なアレルゲン食品には、卵、牛乳、小麦、大豆、ナッツ、魚、甲殻類などがあります。
食物アレルギーの症状は、蕁麻疹、腹痛、嘔吐、下痢、呼吸困難などが含まれ、一部の重症な場合にはアナフィラキシーショックと呼ばれる重篤な症状が現れることもあります。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、かゆみのある湿疹を主な症状とした、良くなったり悪くなったりを繰り返す皮膚疾患です。
おもな症状としてはかゆみ、乾燥、発疹、ただれなどが見られます。
遺伝的要因や環境の影響が関与しており、アレルギー反応が皮膚で起こることが特徴です。
喘息
喘息は、気道が狭くなり、呼吸が困難になる症状を引き起こすアレルギー性の疾患です。
花粉、ハウスダスト、ペットの毛などのアレルゲンやたばこ、気温や気圧の変化など、さまざまな刺激が原因で、気道の炎症や収縮が起こります。
喘息発作では、咳、ゼーゼーとした呼吸音、胸の痛みなどが現れます。
薬物アレルギー
薬物アレルギーは、特定の薬物に対する免疫系の異常な反応によって引き起こされます。
例えば、抗生物質、鎮痛剤、抗炎症薬などがアレルゲンとなることがあります。
薬物アレルギーの症状は、発疹、かゆみ、蕁麻疹、腫れ、呼吸困難などが含まれます。
重症な場合にはアナフィラキシーショックが発生することもあります。
アレルギー体質の子供が増えている

なんとなく、最近の子供はアレルギー体質の子が多いと感じていませんか?
厚生労働省のアレルギーに関する調査によると、アレルギーを持っている人の割合で0~19歳が最も多いという結果が出ています。
アレルギー患者における19歳以下の子供の割合は以下の通りです。
(全年代を100%としての割合)
- 喘息 38%
- 花粉症などのアレルギー性鼻炎 43%
- アトピー性皮膚炎 36%
厚生労働省「アレルギー疾患の現状等(2016年)」
また、全体としてもアレルギーを持っている人は全年齢で増加傾向にあります。
その原因については以下のようなものが考えられています。
①アレルゲンの増加
スギ花粉アレルギーを起こすアレルゲンの量が昔より増加しています。
特にスギ花粉とダニが顕著です。
スギ花粉については、2040年には現在よりも25%増加すると言われています。
また、家の中のダニについては住環境がよくなったことで、ダニも住みやすくなり30年前の3倍にまで増えています。
②食生活の変化
肉中心の食事食生活の欧米化で、アレルゲンとなるたんぱく質の摂取量が増えています。
また、肥満によって自律神経のうちの副交感系神経が優位になりることで、IgE抗体の量が増えアレルギーが悪化する傾向にあります。
③環境汚染
車の排気ガス体にアレルゲンが入ってきたときに、免疫反応を強くする触媒のような働きをする物質があります。
たとえばディーゼル車の排気ガスや環境ホルモンなどが挙げられます。
④ストレスの増加
ストレスを感じると交感神経でアドレナリンが多く作られます。
このアドレナリンがTh1の働きを抑えるため、Th2優位となり、結果としてアレルギー体質になるといわれています。
⑤衛生仮説
手を洗う子供衛生仮説というのは、現代型の生活環境において細菌や寄生虫の感染症が減ったことによりアレルギーが増えたという仮説です。
別荘など室内で発生するアレルゲン

別荘など室内で発生するアレルゲンは、主にハウスダストやペットのアレルゲン、カビなどが関与しています。
以下に、家の中で起きる代表的なアレルギー原因をご説明します。
ハウスダスト
家のアレルゲンで一番に思い浮かべることが多いハウスダスト。
ハウスダストは、家の中に存在するダニの死骸、ダニの糞、ペットの皮屑、カビの胞子などが集まったものを指します。
これらが室内空気中に浮遊し、アレルギー症状を引き起こすことがあります。
ハウスダストアレルギーの症状には、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、咳、皮膚のかゆみなどがあります。
ペットの毛やアレルゲン
ペット(特に犬や猫)の皮屑や唾液に含まれるタンパク質が、アレルギー症状を引き起こすことがあります。
これらのアレルゲンは家中に広がりやすく、特に毛皮のある動物を飼っている場合にアレルギー症状が現れることがあります。
動物のアレルギー症状には、くしゃみ、鼻水、目のかゆみ、気管支ぜんそく、じんましん、アトピー性皮膚炎などがあります。
カビ
カビは湿度の高い環境や通気の悪い場所で繁殖しやすく、カビの胞子が室内に飛散することでアレルギー症状を引き起こすことがあります。
気密性の高い最近の住宅や、長期間使用していない別荘・セカンドハウスはカビが発生しやすい傾向にあります。
カビアレルギーの症状には、くしゃみ、鼻づまり、目のかゆみ、呼吸困難などがあります。
別荘でのアレルギー対策

家の中で起きるアレルギーは、主にハウスダストやペットのアレルゲン、カビなどが関与しています。以下に、家の中で起きる代表的なアレルギー原因をいくつか挙げて説明します。
いきなり掃除機はNG
ハウスダストなどのアレルゲンは人が動くだけで舞い上がります。
その為、いきなり掃除機をかけるのはNGです。
掃除機からの排気でハウスダストはほとんど空中に舞い上がり、床掃除の効果が激減します。
また、ハウスダストを効率よく取り除くには、朝に掃除がおすすめです。
ハウスダストは軽いため、人が活動している日中は空中を浮遊しています。
しかし、夜に寝静まると空中からゆっくりと床に落ちてきます。
そのため、床にハウスダストがたまっている朝に除去しましょう。
床クリーナーやモップで床を拭き、それから掃除機で静かに吸い取ります。
その際、窓を開けたりエアコンをつけたりすると、ハウスダストが舞い上がってしまうので注意してください。
空気清浄機を使う
空気中に浮遊するダニの死骸・フンの除去に活躍するのが空気清浄機です。
空気清浄機はダニの死骸やフン、ハウスダスト、花粉などさまざまなアレル物質を吸い込むことができ、アレルギー対策に効果を発揮します。
特にハウスダスト除去に特化した空気清浄機を選ぶ場合は、HEPAフィルターを搭載しているものを選ぶと良いでしょう。
HEPAフィルターは、0.3μm以上の粒子をキャッチできるため、1mm以下のハウスダストはもちろん、花粉やウイルスも捕集します。
布団などは乾燥機にかける
ダニは50度以上の熱を20~30分与え続けると死滅します。
そのため、布団などは乾燥機にかけ、全体を高温で乾燥させるのが効果的です。
布団を天日干しが良いという方もいるかもしれませんが、天日干しでは日光があたる面のみ温度が上がり、中綿に潜むダニは温度の低い裏面へと逃げてしまいます。
一方、乾燥機は布団全体に熱が広がりダニの逃げ場がなくなるため、天日干しと比べて高い効果が期待できます。
また、洗濯乾燥機では布団のほこりなどをフィルターがキャッチしてくれるため、ダニの死骸やフンも除去できます。
防ダニシートを使う
ハウスダストの原因であるダニを駆除するアイテムとして、防ダニシートを使うこともおすすめです。
防ダニシートは、布団や衣類を収納している押し入れや、じゅうたんなどの床に置いておくだけで効果を発揮するものです。
防ダニシートは、置いておくだけで良いので、簡単かつ、長期的な効果を期待することができます。
市販の薬を使う
ハウスダストによるアレルギー性鼻炎の場合は、市販の薬で症状を改善することができます。
薬局の薬剤師に相談しながら、内服薬と点鼻薬を上手に使いこなしましょう。
また、普段から使用しているアレルギー薬がある場合は、別荘に行く際も持っていくと安心です。
日頃から換気などの予防が大切

ハウスダストによるアレルギーを発生させないための対策を、前述でご紹介してきました。
しかし、ハウスダスト除去をきちんとしてもゼロにすることはかなり難しいです。
ここではハウスダストの予防策をご紹介します。
予防策
- 布製品など、ハウスダストのたまりやすい素材を避ける
- 室内の湿度が上がりすぎないよう換気を行う
- 風の強い日は窓を開けない
- 外からのホコリや花粉を持ち込まないようにする
ソファ、カーテン、カーペットなどのこまめに洗えない布製品は汚れもたまりやすいためハウスダストが発生しやすいと言えます。
防ぐ方法としては、カーテンをブラインドに、ソファを革張りに、ホットカーペットを床暖房に代えるという方法があります。
特にポリエステルのような静電気が発生しやすい製品は、ハウスダストを誘引する性質もあるため、アレルギーのある方は寝具選びに気をつけると良いでしょう。
また、湿度が上がるとカビが生えやすく、ダニの発生も増加してしまいます。
そのダニのフンや死骸がハウスダストとなってしまうため、こまめな湿度管理は大切となってきます。
別荘・セカンドハウスのように閉め切った状態が続く場合には、除湿器や空気清浄機の活用や、別荘管理会社の清掃サービス等を利用すると良いでしょう。
ハウスダストが少ない綺麗な別荘で、家族とのんびり過ごしたいですね。
まとめ
今回は、別荘・セカンドハウスのアレルギー原因と、対策方法についてご紹介しました。
- アレルギーは子供に多い
- アレルギー物質は家のあらゆるところに存在
- 正しい掃除方法と予防でハウスダストを除去
