地方移住をする人の中には、農業や自然に関わる仕事を希望している方も多いです。
しかし、未経験で農業を始めるにはかなりハードルが高く感じるのも事実です。
農業をしたい場合は、技術や経験が必要です。
また農業をする上で欠かせない農地の取得についてもルールがあります。
今回は、地方移住などで農業を始めたい人に、就農のステップとおすすめ求人サイトをご紹介します。
合わせて、農業に向いている人の特徴もご紹介していますので、参考にしてみてください。
農業の魅力

農業は私たちが生きていく上で欠かせない食料を生産し、新鮮で安全な食べ物を供給する重要な役割を担っています。
そんな農業の一番のやりがいは、自分の手で一から農作物を育て、その成長を日々感じられることでしょう。
また、自分が育てたものを消費者に喜んでもらえること、さらには自然とともに生活する喜びを感じることができることも、大きな魅力の一つといえます。
他にも、体を動かす仕事のため、健康的な生活ができるというメリットもあります。
また、農林水産省発表の2023年農業構造動態調査結果では団体経営体のうち法人経営体数は3万3,000経営体で、前年に比べ2.5%増加、これは年々増加傾向にあるという事です。
農業は高齢化や人手不足と言われていますが、農業に興味を持つ20~30代は増えていると言われているため、農業法人が増えることで若い世代や40~50代の現役世代も就農しやすくなるでしょう。
農家には2種類ある

農家と言うと「自分で農地を取得して耕す個人事業主」というイメージが強いかと思います。
しかし実際には、独立以外の就農方法もあります。
独立就農
就農のスタイルには、大きく分けて独立就農と雇用就農の二つがあります。
独立就農は、自分が経営者となって農業を営む方法です。
農地を見つけるところから始まり、作物の選定・栽培、販路の開拓、出荷までを全て自分の裁量で決定することとなります。
アイデアが豊富な人であれば、ユニークな商品やブランド野菜を作ることも可能でしょう。
自分に実現したい企画がある人には、向いている働き方だといえます。
一方で、農地の取得、農業機械や設備をそろえるために、ある程度の資金が必要となります。
さらに技術の習得などで専門の学校に通うとなればさらに費用がかかります。
こうした初期投資が必要なことから、若い世代がいきなり独立就農に踏み出すには多少のハードルがあると言えます。
雇用就農
雇用就農は、農業法人の従業員として働く方法です。
法人の規模はさまざまで、家族だけというものから、数百人の従業員を抱える法人まであります。
農作業だけではなく、畜産や加工や商品化の部門を持つ法人もあり、多様な人材が必要とされています。
メリットとしては、就農初期の多額の準備費用は必要なく、一般企業に勤める会社員と同じように、毎月決まった収入があるの点です。
さらに、働きながら農業の技術を身につけることができるので、その経験を生かし、将来独立するケースも珍しくありません。
兼業農家という方法も
兼業農家とは、農業以外の仕事からも収入を得ている農家を指します。
ほかの収入源が確保されているため、農業の不振が生活に直結しないのがメリットです。
国が副業や兼業を後推ししていることもあり、別の仕事をしながら農業を営む人も増えています。
市民農園やシェア畑などの農地を提供するサービスもあり、兼業農家のハードルは高くありません。
兼業農家で成功するポイントは、農作物のサイクルに合わせ、適切に管理を行うことです。
忙しくても農業に十分な時間や手間をかけられる人でなければ、兼業農家として成功するのは難しいでしょう。
農業が合っているのはこんな人

農家は肉体的・精神的な負荷が大きく、向き不向きがあります。
どのような人が農家に向いているのか見てみましょう。
自然や植物が好き
農家に向いているのは、自然や植物が好きな人です。
農家になれば、基本的に毎日屋外で働くこととなります。
繁忙期には、早朝から夕方まで畑仕事に従事する場合もあるでしょう。
また、作物を育てるには、雑草を抜いたり水をやったりといった作業が必須です。
ときには害虫駆除なども必要となり、楽しいことばかりではありません。
そのため、植物が好きな人なら、作物が育っていく様子そのものが農作業のモチベーションとなるでしょう。
地道な作業が苦にならない
農家には、忍耐強さも必要です。
状態のよい農作物を作るには、土の状態を見ることや、適切な水やりが必須です。
季節や天候に関係なく、まめに畑に足を運び、農作物の世話をしなければなりません。
また「早く稼ぐ、大きく儲ける」という人は、あまり向いていないかもしれません。
自然のものですから、一生懸命世話をしても、収穫物の質や量に満足できない場合もあります。
収入が安定するには時間がかかる傾向があり、収入だけをモチベーションにするのは危険です。
「コツコツ働いて、少しずつ利益を上げる」という堅実な経営ビジョンを持つ人の方が、向いていると言えるでしょう。
農業を始めるには?ステップで解説

ステップ1 農業を学ぶ
農業を学ぶ方法には、学校に行く・体験や研修に参加するといった方法があります。
学校に通う
農家になって商品となる農作物を作るためには、農業に関する専門的な知識を学ぶことが必要です。
学習効率を考えるなら、大学や専門学校で学ぶ方が早いでしょう。
農家に必要な知識は幅広いですが、農業概論や農業生産学は必要です。
独立就農の予定なら、経営に関わる農業簿記や農業経営学も学んでおいて損はありません。
安価な学費で効率的に農業を学びたい人は、各都道府県に設置されている農業大学校がおすすめです。
週末のみ・夜間のみのコースを設定している場合もあり、社会人が働きながら学びやすいシステムが整っています。
農業体験や研修に参加する
多くの自治体やJAが、農業研修を開催しています。
必要な知識を実地で学びたい人・就農したい地域が決まっている人は、参加してみましょう。
研修の内容は地域によって異なりますが、多くの研修が基礎研修と実践研修で構成されています。
基礎研修で農業に関する基本的な知識やスキルを、実践研修で農作業の実務や実践的な技術を習得できます。
他にも研修に参加するメリットは、先輩農家や地域の人とつながりができる点です。
農業に関する人的ネットワークを広げることで、独立就農のハードルも下がります。
ステップ2 就農方法を選択
就農には、独立就農と雇用就農の2つの方法があるとお伝えしました。
アイディアや計画があって、自分で経営したい場合には独立就農を、経験を積みながら安定的な収入を得るには雇用就農がおすすめです。
洗濯したら就農に向けて準備を行っていきますが、独立就農についてはこの後のステップに記載しますので、ここでは雇用就農について説明します。
雇用就農には、一般企業の雇用と同様に、正社員、契約社員、パート、派遣社員などがあります。
求人は就農専用の求人サイトの他、一般の求人サイト、ハローワーク、地域おこし協力隊で探すことができます。
他にも、就農したい地域がある場合、その地域の自治体に問い合わせして求人を探すこともできます。
インターネットに不慣れな農家も少なくないので、その自治体ならではの独自の求人に出会うことができるかもしれません。
自治体によっては、就農への移住によって補助金や住宅提供等のサポートを受けることができる場合もあるので、確認をしてみて下さい。

ステップ3 農地の取得(独立就農の場合)
独立就農の場合は、まず農地を取得する必要があります。
農地を取得する際には、法律に則った手続きが必要です。
まず、農地を購入することは原則として農業者でなければできません。
しかし、農地を耕作する意志がある場合、農業委員会が認定すると農業者以外でも購入が可能になります。
購入申請書を提出し、審査に合格することで農地を取得することができます。
その際、農地の価格や立地に注意しましょう。
生産性の高い土地は価格も高くなりますが、長期的な利益を見越して投資を考えるべきです。
立地に関しては、市場や水源に近い土地の方が作物の育成や販売に有利な条件を持っています。
農地を取得した後は地目変更の手続きも必要になることがあるため、事前に確認しておくことが大切です。
ステップ4 農業委員会での届出手続き(独立就農の場合)
独立就農をするためには、地域の農業委員会での届出が欠かせません。
まず、農業委員会に入会するための入会届出書を提出します。
これには、新たに農業を始める人の個人情報のほか、計画する農業の種類や規模などを詳細に記入する必要があります。
さらに、耕作地が確保できた場合、その地の所有権や利用権などを証明する書類の提出が求められます。
手続きを進める上で、農地中間管理機構などの支援を受けることで、スムーズな進行が期待できるので、活用すると良いでしょう。
届出後は、農業委員会から耕作計画に対する指導や助言を受けることができます。
作物の栽培方法や販路の開拓に関する様々な指導を受けることができ、農業をしていく上で助けになるはずです。
就農に関する求人・相談サイト

ここでは、雇用就農に関する専門求人サイトをご紹介します。
専門サイトでは相談窓口やオンラインでの相談イベントもあるため、活用してみてください。
あぐりナビ
「あぐりナビ」は、農業求人サイトでは日本最大級の求人掲載件数のサイトです。
全国で4,000件以上もの農家が利用しているうえ、掲載数は常時1,300件を超えており、豊富な求人の中から選ぶことができます。
求人の中には農業体験や見学を可としているところもあるので、比較的手軽に利用できる点も特徴です。
また、専任アドバイザーがサポートがあるのも魅力で、農業への就職や転職に不安がある人でも利用しやすいサイトとして人気です。

農家のおしごとナビ
「農家のおしごとナビ」は未経験から始められる求人が多く、これから始めたい人向けです。
また、求職者は会員登録が必須で、農家も料金を支払って求人掲載していることから、本気度の高いマッチングを期待できます。
他にも求人情報以外に、オンラインの就農相談イベント情報も掲載されており、体験や働く前に話を聞いてみたい、相談してみたいという場合にも活用できます。
JAグループの農業求人ポータルサイト
「農業といえば、JA(農業協同組合)」という人も多いのではないでしょうか。
農家が組織した団体であるJAでは、組合員の求人情報を掲載しています。
掲載件数はそこまで多くありませんが、地域に密着した農家の求人情報を見ることができます。
また、同じJAグループの「Nツアーアグリ人財バンク」では、短期のアルバイトやパートの求人をメインに取り扱っているため、現場経験を積みたいという人におすすめです。
まとめ
今回は、地方移住などで農業を始めたい人に、就農のステップとおすすめ求人サイトをご紹介しました。
- 就農スタイルには、独立就農と雇用就農がある
- 農業は自然が好きで、地道な作業が好きな人に向いている
- 就農専門の求人サイトや自治体では就農相談もおこなっている