「都市部での働き方を見直し、自然や人とのつながりを感じながら暮らしたい」
今、20~30代若者の地方移住希望者が増えていると言われています。
とはいえ、移住を現実にするうえで最大の課題は「仕事」です。
地方に行っても安定した収入が得られるのか、キャリアが途切れないかなど、不安を感じる方も多いでしょう。
今回は、30代が地方移住で仕事を探すコツやおすすめの仕事、各自治体の支援制度についてご紹介します。
30代が地方移住を考える理由と背景

キャリアの転機とライフスタイルの変化
30代はキャリアの節目であり、結婚・出産・子育て・家の購入など、人生の大きな決断が重なる時期です。
「このまま都市で働き続けるのか」、「家族との時間をもっと大切にしたい」、「自然のある環境で暮らしたい」こうした思いから地方移住を検討する人が増えています。
また、コロナ禍を機にリモートワークが定着し、「地方に住みながら都市の仕事を続ける」ことも一般的になりました。
30代は経験と柔軟性を兼ね備えている世代であり、キャリアを活かしつつ新しい暮らし方に挑戦しやすいタイミングでもあります。
移住とキャリアを両立するという選択
「地方へ移住するとキャリアが途切れるのでは?」という不安を抱く30代も多いですが、近年はリモートワークや地域副業の拡大により、キャリアを維持したまま移住するケースも増えています。
大切なのは、仕事の選び方と情報収集の仕方です。
自分のスキルや希望に合った働き方を整理し、現実的な選択をすることが成功のポイントです。
地方で見つかる30代におすすめの仕事・働き方

では30代におすすめの仕事や働き方はどんなものがあるか見ていきましょう。
①リモートワーク・フリーランス
IT、Webデザイン、ライティング、マーケティングなど、パソコン1台で完結する仕事は地方移住後も継続可能です。
もし現在の職場がリモートワークが可能な場合は、転職せずに移住することができるでしょう。
また、フリーランスであれば場所を縛られることなく仕事ができる点が魅力です。
また、地方企業も都市部の人材をリモートで採用する動きが広がっており、「移住=転職」ではなく「移住+リモート勤務」という選択肢も現実的です。
②地域密着型の仕事(観光・農業・地域おこし)
観光業や農業など、地域資源を活かす仕事も人気です。
「地域おこし協力隊」に参加すれば、地域の課題解決に関わりながら給与を得ることができます。
30代の移住者も多く、3年間の任期後に起業・定住するケースも少なくありません。
例:
- 地域ブランド野菜の販路開拓
- 空き家をリノベーションしたカフェ運営
- 地域イベント・観光PRの企画運営 など
③教育・医療・福祉関連
地方では、医療・介護・教育分野の人材が慢性的に不足しています。
特に30代の子育て世代は、教育・保育の現場での再就職がしやすく、家庭との両立を図りながら働けます。
自治体によっては、保育士や介護職の資格取得支援を行っているところもあります。
地方移住で仕事を探す方法

一般的には大手転職サイトや求人サイトを使うのが一般的ですが、地方求人はなかなか見つけにくいことも。
ここでは、地方ならではの仕事を探す方法を紹介します。
自治体の移住支援サイトをチェックする
各自治体では、「移住支援」や「地域おこし協力隊」など、仕事と住まいをセットで紹介する取り組みを行っています。
特に30代世代は、家族構成や将来設計に応じて支援を受けやすい傾向があります。
まずは移住先の候補地を絞り、自治体サイトでどんな求人や支援策があるか確認しましょう。
地域特化型求人サイト・転職エージェントを活用
「地方転職」、「地域特化型エージェント」など、地域に密着した求人サイトの利用も有効です。
UIターン希望者向けの求人はもちろん、「テレワーク可」「副業OK」「地域限定正社員」といった柔軟な働き方も見つかります。
30代の転職市場では、都市部での経験を地域に還元できる人材が特に求められています。

ネットワーク・コミュニティを活用する
SNSやオンライン移住イベント、地域交流会なども情報源として活用できます。
実際に移住した30代の先輩たちの声を聞くことで、求人情報だけではわからない「地域でのリアルな働き方」を把握できます。
地方移住・仕事支援制度の具体例

国や地方自治体は地方創生として積極的に移住支援を行っています。
ここでは、移住や仕事探しに使える主な支援制度をまとめました。
地方創生移住支援金制度(全国対応)
都市部から地方へ移住して就業・起業した場合、単身で最大60万円、世帯で最大100万円が支給される制度です。
東京都23区からの移住や、東京圏に在住・通勤していた人が対象で、全国約1,300の自治体が参加しています。
対象例:
- 地方の中小企業に就職する
- テレワークで東京の仕事を続けながら地方に移住する
- 移住先で起業する(起業支援金最大200万円の併用可)
参考リンク:移住支援金-地方創生
地域おこし協力隊(総務省)
地域活性化に貢献する仕事をしながら、報酬(月16〜20万円+住宅支援など)を得られる制度です。
主な仕事は、地域ブランドや地場産品の開発・販売、農林水産業、地域行事やイベントの支援、観光資源の発掘やPRなどが挙げられます。
任期中に地域に溶け込みながら、独立・起業を目指す30代も多く、地方での「お試し移住+仕事」として人気です。
参考リンク:地域おこし協力隊ポータルサイト
各自治体の仕事+住まい支援例
【群馬県前橋市】都市圏からの移住支援が充実
前橋市では、東京圏からの移住者を対象に移住支援の他に、空き家対策支援(最大100万円)などがあります。
移住を考えている人の住まいや仕事の相談窓口として「前橋移住コンシェルジュ」が設けられており、不定期に交流イベントも開催されています。
また、「前橋リビングラボ」をはじめとしたコワーキングスペースが5カ所あり、テレワーク環境も整っています。
【長野県上田市】IT・製造業・教育職への就職支援
長野県上田市は、東京から新幹線で約90分というアクセスの良さと、豊富な求人が魅力です。
市が連携する「長野県地域産業振興機構」上田センターでは、製造業・IT企業へのマッチング支援を行い、UIターン希望者の就職をサポートしています。
【茨城県笠間市】創業・副業に強い支援環境
笠間市では、これから起業したい向けに創業支援(最大50万円)があり、カフェ・飲食店や生活サービスに関する開業の後押しをしています。
また、地域おこし協力隊の募集も活発で、観光PRや伝統工芸の販売促進など、スキルを活かせる分野が多くあります。
30代が地方で仕事を探すときの3つのポイント

①収入と生活コストのバランスを見極める
地方では物価や家賃が安い一方で、収入水準が都市より低いケースもあります。
「支出が減る分、生活が豊かになる」と単純に考えず、全体の家計バランスを見直すことが大切です。
特に家族がいる30代では、教育費や住宅費も視野に入れ、無理のない設計を考える必要があります。
②複数の情報源を組み合わせる
求人サイト、移住支援サイト、SNSや地域コミュニティを組み合わせて情報収集することで、より現実的な判断が可能です。
複数の情報を比較し、自分に合った選択肢を見つけましょう。
③現地体験やボランティアで地域理解を深める
お試し住宅や地域活動への参加で、現地での生活や働き方を体験できます。
仕事や生活環境を事前に知ることで、移住後のギャップを減らし、家族との生活も安心してスタートできます。
まとめ
今回は、30代が地方移住で仕事を探すコツやおすすめの仕事、各自治体の支援制度についてご紹介しました。
- 地方移住は、働き方と生活のバランスを見直す絶好の機会
- 自治体支援や求人サイト、地域ネットワークを活用し、情報収集を重ねることが重要
- 生活コスト・家族時間・地域との相性を含めた「働きやすさの総合設計」が、成功への近道

