「地方移住したいけど、40代でのIターン転職は難しそう」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
「自然が多く、のんびりとした環境で子育てをしたいけど、転職となると年齢が気になる、、、」
「40代の転職って、みんなはどうしてるんだろう」
年齢を重ねるほど、転職に対する心意的なハードルは高くなるものです。
今回は、40代の方がIターン転職を成功させる秘訣を、地方移住の観点でご紹介します。
Iターン転職とは

地方移住で転職を考える際に出てくる「Iターン・Uターン・Jターン」という言葉。
Uターンはよく聞かれる言葉ですが、IターンやJターンって?という方もいるかもしれません。
まず初めにIターンとはどういう意味か、Uターン、Jターンとの違いは何かをご説明します。
Iターン転職とは
首都圏→地方へ転職
Iターン転職とは、生まれ育った場所で働いたのち、出身地ではない場所へ移住して働くことです。
卒業から就職、転職までの動きが一直線であるため、Iターンと呼ばれています。
◎Iターンのメリット
Iターン転職は、通勤に関するストレスや生活コストの軽減、子育てしやすい環境というメリットがあります。
しかし、縁もゆかりもない地域での移住になることが多いため、風習や人間関係に適応しなければなりませんが、自分が理想とする人生を実現できるチャンスもあります。
Uターン転職とは
地元→首都圏→地元へ戻る
Uターン転職とは、生まれ育った場所以外で働いたのち、再び生まれ故郷に戻って働くことを意味します。
地元の高校を卒業して、都市圏の大学へ進学・就職したあと、生まれ育った場所にある企業に転職することがほとんどです。
◎Uターンのメリット
Uターン転職のメリットは、生まれ育った環境で働けることが挙げられます。
慣れ親しんだ環境で働けると、ストレス軽減にも繋がるでしょう。
他にも、物価や家賃などのコストが東京など都市圏と比べると安価な傾向にあるため、ゆとりのある生活を送りやすいでしょう。
また、子育て世代が気になる待機児童も都市部と比べると少なく、子育てしやすい環境にあります。
結婚している人にとってUターンはどちらかの両親の近くに住めるため、身内からのサポートを受けやすいのもメリットです。
Jターン転職とは
地元→首都圏→さらに別の地方へ移住
Jターン転職とは、地方出身者が一度首都圏で就職し、地方に移住・転職することです。
地元から近い都道府県や同じ県内でも異なる市町村に移住する場合は、UターンではなくJターンとされています。
◎Jターンのメリット
Jターン転職も、通勤や生活コストの面でUターン・Iターン転職と同じようなメリットがあります。
「自分の出身県に近い場所へ移住すること」になるため、比較的地元に近い場所で生活可能です。
Uターン・Iターンのいいとこどりができる地方移住のスタイルといえます。
40代でもIターン転職が可能な理由

「地方移住したい」、「二拠点生活をしたいけど、生活基盤を都心から地方に移して仕事をしたい」と考えたとき、気になるのは年齢。
しかし、結論から言うと、40代でもIターン転職は可能です。
その理由を3つ紹介します。
①転職成功者の平均年齢は上昇している
まず1つ目の理由として、現状、転職成功者の平均年齢が上昇していることが挙げられます。
大手転職サイトDODAの2022年調査によると、転職成功者の平均年齢は32.2歳。
また、35歳以上の転職成功率は26.7%と全体の4分の1を上回っています。
・DODA転職成功者の平均年齢調査:https://doda.jp/guide/age/
さらにコロナ禍以降の2019年から2020年にかけて、年齢別の転職者の割合では、29歳以下で減少し、30歳以上で増えています。
これは、多くの業界で景気が後退し、即戦力を求める企業が増えたためです。
このように、転職市場では40代にとっても追い風が吹いています。
②地方は人手不足が深刻
続いての理由ですが、地方の多くは、少子高齢化と都市部への人口流出によって、人手不足が深刻です。
中小企業基盤整備機構が2018年に全国の中小企業経営者に行ったアンケートによると、約7割以上の中小企業が「人手不足を感じている」と答えました。
7割以上の中小企業が「人手不足」を感じている
中小企業アンケート調査「人手不足に関する中小企業への影響と対応状況」(独立行政法人 中小企業基盤整備機構)より
また、有効求人倍率も、地方によって差がありますが概ね1を超えています。
そのような理由から、地方では40代でも転職できる環境があると言えます。
③40代ならではの求められるスキル
3つ目の理由は、企業が40代に求める能力が、20・30代とは異なることです。
40代は即戦力に加え、マネジメント力やリーダーシップが求められます。
このような人材は、地方では貴重な存在です。
このように、20・30代では持っている人が少ないとされるスキルを求めている企業も多く、40代での転職が可能な理由となっています
40代でIターン転職を成功させる4つの秘訣

転職が可能とはいえ、やはり20・30代に比べると、40代のIターン転職は厳しいのが現状です。
ここからは、40代でIターン転職で成功させるための秘訣を4つご紹介します
①自分の強みを明確にする
Iターン転職といっても、通常の転職と同様に自分と企業のマッチングとなります。
重要なのは、自分のスキルや経験がその企業で活かせるか、ということです。
そのため、企業側にはっきりと説明できるように、まずは自分の強みを明確にしておきましょう。
②徹底した情報収集
地方へ転職する場合、情報収集の方法が都市部とは異なってきます。
転職に関する情報サイトや転職業者の多くは都市部に集中しています。
更に、地方の企業は採用コストの面から、積極的にメディア広告を打ち出さないところもあります。
そのためIターン転職では情報収集が難しいと言われています。
しかし、地方転職に強いサイトやハローワークで求人情報を調べ、移住先でどのような業種で人材が不足しているのかをチェックすることも大切です。
また情報収集手段としては、地方自治体の相談窓口に問い合わせたり、現地にいって直接求人が出ていないか調べたりすることも有効な手段です。
③人脈を活用する
40代にもなると、仕事や趣味などで培った人脈を持っている人も多いでしょう。
Iターン転職について知り合いに相談すると、転職先を紹介してもらえることもあります。
実際、地方移住をした人で、リファラルという、先に移住した人や知人から仕事を紹介してもらうケースが多く聞かれます。
思いがけない仕事との出会いがあるかもしれませんので、これまで築いてきた人脈を活用してみましょう。
④生活環境を把握しておく
Iターン転職では、先に移住希望先に足を運ぶことがあると思いますが、その際に生活環境を把握しておきましょう。
具体的なチェックポイントは以下の通りです。
- 職場と家の距離
- 商業施設の場所
- 気候
- 公共交通の利便性
- 学校(子どもがいる方)
必ず、自分が暮らすことをイメージしながら地域を見てください。


Iターンで利用できる補助金

Iターン転職で活用できる補助金には、大きく分けて「起業支援金」と「移住支援金」の2つがあります。
この起業支援金と移住支援金は、2019年度から6年間を目途に、地方公共団体が主体となって実施されており、地方創生移住支援事業の一環として設けられています。
それでは、それぞれの制度について見ていきましょう。
起業支援金
起業支援金とは、地域の課題解決に取り組むための事業を新たに起業する方を対象に、伴走支援と事業費への助成として最大200万円が支給される制度です。
事業は、子育て支援や地域産品を活用する飲食店、買い物弱者支援、まちづくり推進など地域の課題に応じた事業が対象となります。
◎補助金の対象となる人
①新たに起業する場合(次の条件すべてを満たすことが必要)
- 東京圏以外の道府県又は東京圏内の 条件不利地域において社会的事業の起業を行うこと
- 国の交付決定日以降、補助事業期間完了日までに、個人開業届又は法人の設立を行うこと
- 起業地の都道府県内に居住していること、又は居住する予定であること
②事業承継又は第二創業する場合(次の条件すべてを満たすことが必要)
- 東京圏以外の道府県又は東京圏の 条件不利地域において、Society5.0関連業種等の付加価値の高い分野で、社会的事業を 事業承継又は第二創業により実施すること
- 国の交付決定日以降、補助事業期間完了日までに、事業承継又は第二創業を行うもの
- 本事業を行う都道府県内に居住していること、又は居住する予定であること
◎地方創生「起業支援金」:https://www.chisou.go.jp/sousei/kigyou_shienkin.html
移住支援金
東京23区に在住または通勤する方が、東京圏外へ移住し、起業や就業等を行う方に、都道府県・市町村が共同で交付金最大100万円(単身者は最大60万円)が支給される制度です。
◎補助金の対象となる人
①【移住元】東京23区の在住者または東京圏(東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県)から、東京23区へ通勤している方
②【移住先】東京圏以外の移住支援事業実施をしている道府県、又は東京圏の条件不利地域への移住者(且つ、以下のすべてに該当する必要あり)
- 移住支援金の申請が転入後3か月以上1年以内であること
- 申請後5年以上、継続して移住先市町村に居住する意思があること
③【就業等】地域の中小企業等への就業やテレワークにより移住前の業務を継続、地域で社会的起業などを実施(且つ、以下のどれかに該当する必要あり)
- 地域で中小企業等へ就業
- 移住支援金の対象として都道府県のマッチングサイトに掲載されている求人に就業すること
- または、プロフェッショナル人材事業または先導的人材マッチング事業を利用して就業すること
- テレワークによる業務継続
- 自己の意思によって移住し、移住先で移住前の業務を引き続き行うこと
- 市町村ごとの独自要件
- 市町村が地域や地域の人々と関わりがある者(関係人口)として認める要件を満たすこと
- 1年以内に地方創生起業支援金の交付決定を受けていること
◎地方創生「移住支援金」:https://www.chisou.go.jp/sousei/ijyu_shienkin.html
お試し移住や二拠点生活も検討する

Iターン転職で地方移住する場合、補助金を利用できるとはいえ、その土地のことをよく知らずに移住することはあまりおすすめではありません。
地方に移住するということは、想像以上に厳しいことも多いからです。
そこで、Iターン転職をする前に、仕事はそのままでお試し移住体験や二拠点生活から始めて、その土地の雰囲気や住んでいる人々を知るのも良いでしょう。
お試し移住体験や週末の二拠点生活では、実際に地方の生活を体験することができるため、移住後の生活がイメージしやすくなります。
更には、知人を増やすことができ、安心してIターン転職を行いやすくなります。
◎お試し移住体験とは

◎二拠点生活とは

まとめ
今回は、40代の方がIターン転職を成功させる秘訣と、利用できる補助金制度についてご紹介しました。
- 40代の転職は、スキル・強みの棚卸と人脈の活用
- I ターン転職で利用できる補助金を活用しよう
- お試し移住体験や二拠点生活から始めることも検討