前回は、多拠点生活の住まいについて、おすすめのサービスをご紹介しました。
しかし、生活をするにはやはり収入が必要です。
地方移住するということであれば、その土地で職を見つける方法がいいですが、多拠点生活のようにいろんな場所で生活をしたい人には、なかなか難しいですよね。
また、現在の仕事を辞めたいというわけではない人も多いかと思います。
2018年以降、国が「副業・兼業の促進」を掲げていることもあり、副業の対応を進める企業も多くなってきました。
そこで今回は、多拠点生活におすすめの仕事に関するサービスをご紹介します。
多拠点生活とは?

多拠点生活とは、二拠点以上の住居地をもち、それぞれの拠点で生活をすることを言います。
ワークスタイルやライフスタイルが多様化した昨今では、平日は会社近くの都市部で生活をし、週末はのんびりと田舎暮らしや、アウトドア等の趣味を満喫する「二拠点生活」を始める人が増えました。
更にコロナ禍の影響により大きな打撃を受けたホテル業界では、サブスクリプション型の長期滞在プランを発表し、ホテルのネットワークを活かした全国各地の拠点を活用してもらう動きも出てきています。
そのようなサービスが増えたことにより、従来の二拠点生活ではなく、拠点を2つ以上もつ「多拠点生活」という新たなライフスタイルが出てきました。
若い世代にも広がる二拠点生活・多拠点生活
2020年にBIGLOBEが行った調査で「今後在宅勤務が続く前提となった場合、移住を検討するか(20~50代対象)」というアンケートに対し、20代が36.7%、30代が35.3%と4割近くの人が「検討したい」「やや検討したい」と回答しており、全体の30.9%を上回ってます。
また、BIGLOBEの同調査で、ワーケーションを「してみたい」は全体で6割、20代と30代は7割弱が希望しているということから、若い世代で新しいライフスタイルへの関心が広まっていると言えます。
参照:BIGLOBE「ニューノーマルの働き方に関する調査」
そうした傾向と、昨今の多拠点生活向けサブスクサービスが広がりを見せたことにより、20代~30代を中心に利用者が増えてきています。
加速する副業促進

厚生労働省は、副業や兼業について定めた指針を2022年7月に改定しました。
企業に対して、従業員に副業を認める条件などの公表を求め、副業を制限する場合はその理由を含めて開示するよう促しました。
以前より、この指針は全ての企業に対して、原則として社員の副業を認めるよう促してましたが、傾向として大企業ほど社員の副業に対して制限的だということで、政府としても問題視していたようです。
政府は副業のメリットとして、
「副業を通じた起業は失敗する確率が低くなる」
「副業をすると失業の確率が低くなる」
「副業を受け入れた企業からは人材不足を解消できた、といった肯定的な声が大きい」
といったことを挙げています。
さらに2020年からコロナウイルス感染症拡大の影響で在宅勤務が増加したことで、労働者の副業への関心も高まってきました。
こうしたことから、今後は企業側の副業解禁も促されると予想されます。
多拠点生活におすすめの仕事支援サービス7選

多拠点生活先での仕事スタイルは色々ありますが、ここでは「現在の仕事は続けたいという」方におすすめな、副業をメインとした支援サービスをご紹介します。
①ふるさと兼業
ふるさと兼業は、愛する地域や共感する事業にプロジェクト単位でコミットできる兼業プラットフォームです。
「誰」と「何」を「いつまで」やるのかはっきりしている「プロジェクト型」のお仕事を掲載しています。
スキマ時間を活用したリモートワーク、二拠点で活動するWワーク、期間限定での参画、また兼業禁止の企業勤務であってもプロボノとして参画できる、など、応募者の状況や希望する生活スタイルに合わせて、プロジェクトを選ぶことが可能となっています。
②Skill Shift(スキルシフト)
マーケティングや販売促進、商品企画、経営企画など、事業の拡大を図る上流工程を担う人材を探している地方の企業は多いのですが、そういった人材は都市部に集中しています。
Skill Shiftは、地域貢献副業プロジェクトという名の、地域であなたのスキルを活かせる副業を探すマッチングサイトです。
月に1回程度の現地MTG+平日のスキマ時間を活用するスタイルで、現地中小企業の業務改善サポーターになれます。
③SMOUT(スマウト)
SMOUTは、移住したい人、新しい暮らしをしたい人、地域と関わりたい人におすすめの、地方・地域からスカウトが届く移住スカウトサービスです。
会員登録して、 プロフィールを入れると、あなたが活躍できる地域やあなたが楽しく暮らせる地域からスカウトが届きます。
仕事内容は、短期集中の仕事や体験(研修)のように1週間以下で完了する体験ものや、数ヶ月のワーキングホリデー、オンラインセミナーなどさまざまです。
また、地域の人に移住相談をすることもできます。

④Nativ.media(ネイティブメディア)
Nativ.mediaは、地方に関わる生き方を考える人たちと、「関係人口創出」を目指す地域を繋ぐ、国内最大規模の地方創生プラットフォームです。
月間最大21万人のアクセス、大都市圏在住の即戦力世代(24~44歳)が70%以上を占めることから、若年層が注目をしているサイトです。
仕事内容は「地域おこし協力隊」を中心に、幅広い求人を掲載しています。

⑤HiPro Direct(ハイプロダイレクト)
HiProは、リモート案件が90%以上を占める、地方企業の新規事業、IT、DX化における課題解決をメインとした副業マッチングプラットフォームです。
地方ではIT系の技術者やコンサル人材が不足しているため、都会でのノウハウを求める企業が多くあります。
求められるスキルは専門性が高い傾向にありますが、自身のスキルを地方の課題解決に生かせるため、やりがいのある仕事を求めている人におすすめです。

⑥Glocal Mission Jobs(グローカルミッションジョブズ)
Glocal Mission Jobsは、地方企業の幹部候補の紹介事業(転職)を中心に、副業求人も紹介しています。
求める人物像は、「経営課題に向き合える人材」としており、「オーナーの右腕人材」「経営幹部候補人材」が求められております。
都市部の大企業のように、社内調整や社内政治にパワーを使うのではなく、相当な権限と責任をもち、経営への直接的な参画でもって、企業の成長に大きく貢献したいという人におすすめです。

⑦Any+Times(エニタイムズ)
ANYTIMESは、日常のちょっとした用事を依頼したい人と、 空き時間などに仕事をしたい人をつなげるスキルシェアサービスです。
家の掃除から家具組み立て、料理代行、語学レッスンなど日常のちょっとしたことからスキルシェアが可能です。
仕事に応募する方法の他に、「サービス」として登録することで、空いた時間を活用してあなたが得意なことを仕事にすることができます。

▼多拠点生活の住まいにおすすめのサービス

副業の注意点

会社員が副業を行う場合に、注意点があります。
具体的にどんなことに注意をしなくてはいけないのかを見ていきましょう。
勤め先の就業規則を確認
まず、副業を始める前には、勤めている会社が副業を許可しているか、就業規則を確認しなければなりません。
もし、就業規則によって「副業禁止」が定められているにも関わらず、無断で副業を行っていた場合は、戒告や減給、解雇などの重い処分が下されてしまう可能性があります。
まずは就業規則で副業が許可されているか、事前の申告や申請などが必要かをしっかりと確認するようにしましょう。
本業に支障のない範囲で
もし、副業が許可されていたとしても、無制限に副業をして良いというわけではありません。
本業の仕事と並行して他の仕事を行う際には、時間や体力に注意が必要です。
たとえば、本業が終わった後に深夜労働をする、休日を返上して副業をするなどをした場合、体調などの面で本業に支障が出てしまう可能性もあります。
副業を始める場合には、しっかりと本業との兼ね合いを考え、まずは短時間で負担の少ない労働から始めるようにしましょう。
社会保険料が増える場合がある
会社員として副業をし、本業とは別の収入を得ている際、場合によっては社会保険料が増えてしまうことがあります。
特に、アルバイトやパートとして同時に複数の事業所に勤務している場合は、被保険者が管轄する年金事務所に「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を提出する必要があります。
本業と副業を合わせた社会保険料を支払うため、保険料の負担が増加することとなります。
増えた収入が課税対象となる
副業をして収入が増えた場合には、その金額に応じた税金として所得税を支払う必要があります。
本業と副業を合わせた課税対象となる所得に対して、累進課税制度に従った所得税が課せられます。
確定申告の必要がある
副業での収入が20万円を超えている場合は、確定申告が必要です。
また、2ヶ所以上の事業所から給与を受け取っている場合(アルバイト・パート等)も、給与所得に加えてさらなる所得税が課せられます。
経費精算の科目を把握する
副業の場合、その所得区分によっては経費が認められる場合があります。
会社員が副業をし、その経費が認められるのは、事業所得・不動産所得・雑所得の3つです。(アルバイトやパートの場合は“給与所得”となるため、経費は認められません)
その中でも、以下に該当する金額は経費として計上することができます。
- 総収入金額に対応する売上原価、その他その総収入金額を得るために直接要した費用
- その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用
例えば、販売する商品の仕入れや広告費、副業に関する備品や通信費(インターネット・携帯など)は、基本的に経費として認められています。
しかし、プライベートで使ったお金は経費として計上されません。
まとめ
今回は、多拠点生活のお仕事に関するサービスをご紹介しました。
- 副業・複業の促進はこれからどんどん進む
- 普段やっていることが、地方企業にとって必要なスキルということも
- 様々なプラットフォームの登場で、仕事の創出も可能に