公開日:2026年4月8日
更新日:2026年9月9日
「住んでいるわけではないけれど、何度も訪れている地域がある」
「二拠点生活先の地域ともっと深く関わりたい」
そんな人にとって、これから注目したいのが「ふるさと住民登録制度」です。
ふるさと住民登録制度は、住所地とは別の地域に継続的に関わる「関係人口」を可視化し、地域の担い手確保や地域経済の活性化につなげるために、総務省が進めている新しい仕組みです。
2026年度にはモデル事業が進められており、2026年9月には総務省が制度を紹介する「ふるさと住民登録制度ナビ」も公開されました。
今回は、ふるさと住民登録制度の仕組みや対象となる人、登録することで期待されるメリット、二拠点生活との関係にも触れながら解説します。
ふるさと住民登録制度とは?

そもそも「ふるさと住民登録制度」というのはどんな制度でしょうか。
住民票を移さず地域との関係を見える化
ふるさと住民登録制度は、住民票は移さずに、現在の住所とは別の地域に継続的に関わる人を「ふるさと住民」として登録し、地域とのつながりを見える化する仕組みです。
たとえば、次のような人が対象として考えられます。
- 地方の別荘に定期的に通う人
- 生まれ育った地域に帰省する人
- 地域でボランティアを続ける人
- 地方で副業をしながら都市部で暮らす人
こうした人は「関係人口」と呼ばれます。
制度の目的は、関係人口を把握し、地域の担い手確保や地域経済の活性化につなげることです。
「第2の住民票」ではなく、住民票を移さずに地域との継続的な関係を登録する制度と考えると分かりやすいでしょう。
背景にある「関係人口」という考え方
関係人口とは、移住して暮らす「定住人口」でも、観光で一時的に訪れる人でもなく、特定の地域と継続的に関わる人を指します。
関わり方はさまざまです。
- 同じ地域を何度も訪れる
- 地域の商品を購入する
- ふるさと納税をする
- 地域イベントに参加する
- ボランティアや副業をする
- 二拠点生活をする
ふるさと住民登録制度は、こうした関係人口を見える化するための仕組みです。
なぜ今、必要なのか
地方では、人口減少や高齢化による担い手不足が課題になっています。
一方で、仕事や家族の事情から、移住は難しいものの地方と関わりたい人もいます。
そこで、移住するかどうかにかかわらず、地域活動への参加や仕事の手伝いなどを通じて地域を支える「関係人口」が注目されています。
ふるさと住民登録制度は、こうした人を単なる観光客ではなく、地域と継続的につながる人として捉えるための制度です。
制度はいつから始まる?
ふるさと住民登録制度は、モデル事業やシステム整備が進められており、2026年度内の制度開始に向けて準備が進んでいます。
2026年3月にはモデル事業の対象自治体が決まり、各地で運用方法の検証が行われています。
また、2026年9月1日には総務省が「ふるさと住民登録制度ナビ」を公開しました。
国は、自治体のイベントや担い手募集などの情報を受け取れる共通システムの整備も進めています。
そのため、2026年9月現在は構想段階ではなく、制度の実用化に向けた検証・整備が進んでいる段階といえます。
どんな人が「ふるさと住民」になるの?

総務省の「ふるさと住民登録制度ナビ」では【地域への愛着と主体的な関わり】としています。
具体的に見ていきましょう。
二拠点生活をしている人
まず考えられるのが、二拠点生活をしている人です。
たとえば、
- 平日は東京、週末は地方
- 都市部の自宅と地方の別荘を行き来している
- 夏は地方、冬は都市部など季節によって生活拠点を変えている
といった人です。
二拠点生活では、単に観光で訪れる場合とは違い、地域との接点が長期的に続きます。
そのため、ふるさと住民登録制度との相性が良い層の一つといえるでしょう。
特定の地域に何度も通っている人
二拠点生活まではしていなくても、同じ地域に何度も通っている人もいます。
たとえば、
- 毎年キャンプに行く
- お気に入りの店がある
- 週末になると釣りに通っている
- 地域のイベントに毎回参加している
といった観光で訪れるケースです。
こうした「好きだから何度も行く」という関係も、地域との継続的な接点になります。
地域の仕事や活動に関わっている人
地域で仕事をしたり、ボランティアや地域活動に参加したりする人も対象として考えられます。
副業で地域企業を支援したり、農作業を手伝ったり、地域イベントの運営に参加したりするケースも含まれます。
国土交通省の資料でも、地域の担い手活動やボランティア、副業、自治会への参加など、さまざまな地域との関わり方が示されています。
「移住はしないけれど地域と関わりたい」人
そして、ふるさと住民登録制度が特に注目されるのが、この層です。
- 好きな地域である
- 地方には興味があるけれど、仕事の都合で移住できない
- 子どもがいるので、すぐに生活拠点を変えるのは難しい
- 今の仕事を続けながら地方とも関わりたい
例えば、ふるさと納税を行っている人も対象となります。
そんな人にとって、地域との関わり方を考える新しい選択肢になる可能性があります。
ふるさと住民登録をすると何が変わる?

では、実際にふるさと住民として登録すると、何が変わるのでしょうか。
ポイントは、登録しただけで全国共通の特典や行政サービスを受けられるようになる制度ではないということです。
地域の情報や活動につながりやすくなる
国が構築する共通システムでは、自治体から地域の情報を受け取ったり、地域で行われるイベントや担い手活動などにつながったりする仕組みが想定されています。
たとえば、
「地域でこんなイベントがあります」
「ボランティアを募集しています」
「地域の課題を一緒に解決してくれる人を探しています」
といった情報にアクセスしやすくなれば、これまで「たまに遊びに行くだけ」だった地域との関係を、もう一歩深めるきっかけになるでしょう。
一方で、登録したからといって、すべての自治体の情報やサービスを同じように利用できるとは限りません。
制度の具体的な運用については、今後の制度設計や自治体ごとの取り組みによって違いが出る可能性があります。
自治体独自のサポートを受けられる
ふるさと住民登録制度では、自治体からの情報提供だけでなく、地域との関わりを深めるためのさまざまな官民のサポートも想定されています。(2026年9月現在)
ただし、具体的なサービス内容は自治体によって異なる可能性があります。
そのため、
「登録すれば全国どこでも公共施設が住民料金になる」
「登録すれば行政サービスを住民と同じように利用できる」
などと一律に考えることはできません。
ふるさと住民登録制度そのものと、自治体が独自に用意するサービスは分けて考える必要があります。
全国一律の「特典」がある制度ではない
ふるさと住民登録制度は、ポイントや割引をもらうための会員制度ではありません。
制度の大きな目的は、地域との関係を可視化し、地域の担い手確保や地域経済の活性化につなげることです。
そのため、「どんな特典がもらえるのか」だけを見るのではなく、
登録した地域と、どんな関係をつくっていくのか
という視点で考えると、制度の意味が分かりやすくなります。
また、ふるさと住民登録をしても、住民票が移るわけではありません。
あくまで現在の住所とは別に、継続的な関係を持つ地域とのつながりを登録する仕組みです。
制度の内容は今後変わる可能性もある
ふるさと住民登録制度は、2026年度にモデル事業が進められている段階です。
そのため、現時点で示されている仕組みや自治体での取り組みが、今後そのまま全国共通になるとは限りません。
制度について調べる際は、総務省が公開している「ふるさと住民登録制度ナビ」など、最新の情報を確認することが大切です。
自治体にとってのメリットは?

ふるさと住民登録制度は、登録する側だけでなく、自治体にとっても意味があります。
関係人口を把握しやすくなる
これまで自治体にとって、「地域に関心を持っている人」がどれくらいいるのかを正確に把握することは簡単ではありませんでした。
観光客、ふるさと納税をした人、イベント参加者、二拠点生活者、ボランティアなど、地域との関わり方がバラバラだからです。
ふるさと住民登録制度では、こうした関係人口を登録・可視化することで、地域とつながっている人を把握しやすくすることが期待されています。
地域活動の担い手につながる
「地域のイベントを手伝ってくれる人が足りない」
「地域の仕事を手伝ってくれる人を探したい」
地方では、このような人材不足が課題になることがあります。
一方、地域の外には「何か地域の役に立ちたい」と考える人もいます。
ふるさと住民登録制度によって両者をつなぐことができれば、地域外にいる人材が地域活動に参加するきっかけをつくれます。

継続的な交流や地域経済につながる
関係人口が増えることで、地域を訪れる人が増えたり、地域の商品を購入したり、地域で仕事をしたりするなど、さまざまな交流が生まれる可能性があります。
つまり、ふるさと住民登録制度は「人を移住させる」だけではなく、地域の外にいる人とも継続的な関係をつくりながら地域を支えるという発想の制度なのです。
二拠点生活者とふるさと住民登録の関係

ふるさと住民登録制度は、二拠点生活をしている人にとっても気になる仕組みです。
二拠点生活は「暮らし方」、ふるさと住民登録は「地域との関係を登録する仕組み」
二拠点生活とは、2つの地域を生活拠点として行き来する暮らし方です。
一方、ふるさと住民登録制度は、住所地以外の地域と継続的に関わる人を登録し、地域との関係を可視化する仕組みです。
つまり、
二拠点生活=どのように暮らすか
ふるさと住民登録=地域とどのようにつながるか
という違いがあります。
そのため、二拠点生活をしていなくても、ふるさと住民になることは可能です。
反対に、二拠点生活をしている人にとっては、自分が暮らしているもう一つの地域との関係をより深めるきっかけとして活用できる可能性があります。
二拠点先との関係を深めるきっかけになる
別荘やセカンドハウスを持っていると、最初は「休日を過ごす場所」として地域を訪れることが多いでしょう。
しかし、何度も通っているうちに、
「近所の人と顔見知りになった」
「地域のお祭りに参加するようになった」
「地域の人から仕事を頼まれるようになった」
など、少しずつ関係が変わっていくことがあります。
ふるさと住民登録制度は、こうした「訪れるだけではない地域との関わり」をさらに広げるきっかけになる可能性があります。
将来の移住や二拠点生活を考えるきっかけに
地域との関わりが深くなると、「ここに住んでみたい」と感じることもあるでしょう。
訪れる → 地域と関わる → 地域を知る → 暮らしを考える
という段階を踏むことで、いきなり移住するよりも自分に合った地域かどうかを判断しやすくなります。
「移住する前に、その地域ともう少し深く関わってみたい」という人にとっても、今後注目したい制度です。

ふるさと住民登録制度で
地方との関わり方はどう変わる?

ふるさと住民登録制度が注目されている理由は、単に新しい「登録制度」ができるからではありません。
その背景には、地方との関わり方そのものを変えていこうという考え方があります。
「移住する・しない」以外の選択肢が広がる
これまで地方との関わり方というと、
- 観光に行く
- 移住する
という2つの間にある選択肢が、見えにくい部分がありました。
しかし実際には、
- 趣味で年に何度も訪れる
- 別荘を利用する
- 二拠点生活をする
- 地域で副業する
- ボランティアに参加する
- 地域の商品を購入する
- 毎年イベントに参加する
など、さまざまな関わり方があります。
ふるさと住民登録制度は、こうした「住んでいないけれど地域と関わっている人」にも目を向ける仕組みです。

「遊びに行く地域」から「関わる地域」へ
たとえば、別荘を持っている地域を考えてみましょう。
最初は、「週末に自然の中で過ごしたい」という理由で訪れていたとしても、何年も通っているうちに地域への愛着が生まれることがあります。
地元のお店を利用したり、近所の人と交流したり、地域のイベントに参加したりするうちに、その場所が「遊びに行く場所」から「自分にとって大切な居場所」へと変わっていくこともあります。
ふるさと住民登録制度は、こうした関係を社会的にも見える形にしていく取り組みの一つといえるでしょう。
二拠点生活は地域の担い手にもなり得る
二拠点生活者は、地域の外から来る人である一方、地域に継続的に関わることができる存在でもあります。
毎週、毎月、あるいは季節ごとに通うことで、地域との接点が生まれます。
そこから、
- イベントを手伝う
- 地域の仕事をする
- 自分のスキルを地域で生かす
といった関係に発展することもあります。
二拠点生活は「都会と地方の両方で暮らす」という個人のライフスタイルですが、見方を変えれば、都市と地方をつなぐ人になる暮らし方でもあります。
ふるさと住民登録制度は、そんな人たちと地域をつなぐ仕組みとして、今後さらに活用されていく可能性があります。
まとめ
今回は、ふるさと住民登録制度の仕組みや対象となる人、登録することで期待されるメリット、二拠点生活との関係について解説しました。
- ふるさと住民登録制度は、住民票を移さず地域との関係を可視化する仕組み
- 二拠点生活者など、移住せず地域と関わりたい人も対象
- 2026年度はモデル事業やシステム整備が進められている

秩父のログハウス・山小屋販売
都心から90分、「遊び小屋」を持つ暮らし


