今、二拠点生活を始めているのは働き盛り、子育て世代の30~40代が中心と言われています。
少し前までは「定年退職後の話」、「お金持ちだけの話」と思われていた二拠点生活や別荘暮らしも、新型コロナウイルスによる働き方や生活様式の変化によって、
「自然に癒されてのんびりしたい」
「自然災害に備えて、生活拠点を増やしておきたい」
というニーズが増えてきました。
更に、「別荘のサブスク」といった月額固定サービスが出てきたことで、初期費用を抑え、好きな時に好きな場所に滞在できるということで、二拠点生活を始めやすい環境が揃っているとも言えます。
今回は、話題の別荘サブスクについて、メリットや選ぶ方法、おすすめの別荘サブスクサービスをご紹介します。
今、二拠点生活者は増えている

国土交通省は、2022年に18歳以上の男女12万人へ「二地域居住に関するアンケート」をインターネットで実施し、その結果を元に、現在の二拠点生活者は人口の約6.7%と推定されると発表しました。
国土交通省の「社会情勢の変化に応じた二地域居住推進施策に関する検討調査(2012年度)」での二拠点生活者3.8%だったことから、この10年で増加傾向にあるとみられます。
昨今、二拠点生活を後押しする様々サービスが増えるなど、環境が整ってきたことも後押ししていると考えられます。
自治体によっては、移住を視野に入れてもらうために二地域居住を支援する取り組みとして「お試し居住」を行っているところもあります。
希望者はお試し居住や暮らし体験を通じて、気になる地域に足を運ぶことが気軽にできるというメリットがあります。
また、地域によっては、企業が空きスペースを利用したコワーキングスペースやサテライトオフィスなどを開設しているところもあります。
都心のオフィスに行かなくても、地方にあるサテライトオフィスで働けるとなれば、二拠点生活の不便さは軽減されるでしょう。
こうしたサテライトオフィスは、特にデザイン系やIT系などの業種・職種が積極的に行っています。
賃貸とは違う?別荘サブスクとは

最近頻繁に耳にするようになった「サブスク」。
サブスクは、「サブスクリプション」の略語であり、特定の商品やサービスを定期的な支払いによって利用する仕組みのことを言います。
利用者は毎月、または年単位など、一定の間隔で料金を支払い、その代わりに提供されるサービスやコンテンツを利用することができます。
サブスクはさまざまなサービスに応用され、ゲームなどのダウンロードサービスや洋服、家電など多様化しています。
その中で、「別荘サブスク」というものが始まっています。
別荘といえば購入費が高額、維持管理が大変で、高所得者層の贅沢品というイメージがありました。
貸別荘も存在しますが、個別に所有する別荘を一時的に貸し出す形がほとんどでした。
しかし近年は、全国の提携している別荘や宿泊施設、空き家を色々な選択肢から選んで利用できるサブスクのサービスが生まれています。
個人で別荘を所有するのにはさまざまな負担や手間がかかりますが、サブスクを利用することでそれらの負担を軽減しつつ、別荘ならではのゆったりした滞在を愉しむことができます。
借りるのとどう違うの?
サービス提供会社によって違いはありますが、賃貸で借りる別荘との違いとしては以下の通りです。
- 都度、複数の場所を選ぶことができる
- 月額固定料金で利用ができる
- 賃貸住宅よりも初期費用が安価
- 光熱費やWi-Fi料金も含まれている
賃貸では、都度物件ごとに契約を結び、別の場所へ移動するとなると解約手続きや次の場所の契約手続きが発生してしまいます。
また、その都度、初期費用がかかってくる場合がほとんどです。
年間を通して、短期滞在で複数の場所を利用したい場合、購入や賃貸よりも別荘サブスクサービスが適しているということになります。
別荘サブスクのメリット

ここでは別荘サブスクのメリットをご紹介します。
定額料金で好きな場所に移住できる
通常の賃貸の場合、新しい場所に住むためには退去して新規契約というプロセスが必要です。
その度に敷金や仲介手数料の支払いが発生し、手続きも煩雑です。
また、住む土地によって家賃が大きく変わります。
一方、サブスクであれば利用料金を支払うことでその企業が管理する全国の物件に自由に引っ越す事ができます。
また、料金の中に電気・ガス代やインターネット、敷金などの費用がパッケージされており手続きもインターネットで完結するものが多いため、いつでもどこでも気軽に住まいを変えることが可能です。
ライフプランに合わせた移住が可能
会社へ出社する従来の働き方が根強い一方で、リモートワークや田舎への移住といった新しいライフスタイルも広く定着しつつあります。
サブスクで気軽に移住ができることは、ライフスタイルに合った移住を促進させてくれます。
「平日は都内でサラリーマンをし、週末は郊外でゆっくり過ごす」といったライフスタイルが実現できます。
賃貸やホテルよりも安く利用できる
利用サービスやプランによって異なってきますが、サブスクサービスの多くが賃貸やホテルより安く利用できる場合が多いです。
一般的に、賃貸で物件を借りるときには、敷金、礼金、保証金、光熱費、さらにはWi-Fi等の通信費がかかります。
しかし、別荘サブスクサービスではそれらの費用は一切かからないことが多いため、初期費用や利用料金を抑えることができます。
掃除・メンテナンスなどが不要
自己所有であれば発生する毎回の清掃や周辺の草刈り・故障箇所の修理といった手間がかからないのもメリットの一つです。
別荘サブスクのデメリット

定額料金を支払うことで、料金の変動を心配することなく利用できる別荘サブスクですが、思わぬデメリットも存在しますので、利用を検討している方はご自身の状況とあわせて参考にしてください。
希望日に予約が取れるとは限らない
自分の住みたい場所や時期に予約が取れるとは限りません。
また、人気の施設や夏休み期間などは予約が取りづらいこともあります。
他にも、予約可能な日時や連続宿泊の可能日数などの細かな決まりがあるため、入居前にきちんと確認しておく必要があります。
ご家族の都合でどうしても連休や夏休みなどに利用したい場合は、繁忙期は先着順でなく抽選制になっているようなサービスを選ぶという方法もあります。
利用できなくても支払いが必要
サブスクの最大の魅力は、料金が一定であるということ。
対して、仕事が忙しいなどの理由で利用ができなかった場合でも、一定の料金を払わなくてはなりません。
そのため、ある程度、毎月・または年間での利用計画を立てておき、サブスクでの利用が適しているのか、貸別荘やホテルの利用が良いのかを検討すると良いでしょう。
インテリアを楽しめない
別荘サブスクの多くは家具・家電が完備されていて、用意された部屋に一定期間住むことになるので部屋作りは楽しめません。
用意されている設備によっては使いにくさや古さを感じることもあるため、自分の好きなインテリアや家電に囲まれた生活を送りたい人にはデメリットとなります。
また、複数人と一緒の暮らすシェアハウスタイプの場合、他人の荷物が同じ空間に置かれることになります。
一生暮らすわけではなく短期間だけだと割り切れる方には向いていますが、部屋に強いこだわりがある方はストレスに感じるかもしれません。
どうやって選ぶ?別荘サブスク

別荘サブスクを利用する前に、自分に合った別荘やプランを選ぶことが重要です。
ここでは別荘サブスクを利用するにあたってのステップをご説明します。
ステップ1 予算を決める
別荘サブスクの料金はサービス提供会社によって金額の幅があります。
まずは自身の予算を決定し、それに合ったプランを検討しましょう。
月額料金だけでなく、初期費用や追加サービスにも合わせて確認するようにしましょう。
ステップ2 利用頻度を考える
どのくらいの頻度で別荘を利用したいのかを考えます。
週末だけ、季節ごと、年に数回、常時利用など、自身の利用スケジュールに合ったプランがあるか確認しましょう。
ステップ3 場所を選ぶ
別荘サブスクを利用する上で場所は重要です。
山、湖畔、海など、自身の好みや家族と過ごしたい環境に合った地域にサービス拠点があるか確認しましょう。
また、自然環境、アクセス性、周辺施設なども確認すると良いでしょう。
ステップ4 設備やサービスを確認する
別荘サブスクの提供会社ごとに設備やサービスが異なります。
プール、ジム、Wi-Fi、キッチン設備、ベッドルームの数など、必要な設備とサービスを確認しましょう。
また、一棟タイプ・共同建物の個室からドミトリータイプまで部屋の種類も様々なため、事前に確認することをおすすめします。
ステップ5 契約条件を確認する
契約条件やキャンセルポリシーを十分に理解しましょう。
滞在日数の上限や、予約が取れなかった場合の対応方法、解約・更新条件など事前に確認することをおすすめします。
ステップ6お試し滞在を検討する
別荘サブスクサービスの中にはスポット利用やお試し滞在が可能なサービスもあるため、可能であれば体験してみることをおすすめします。
実際に滞在することで、環境や設備についてより具体的なイメージを持つことができます。
おすすめの別荘サブスクサービス5選

①SANU 2nd Home(サヌ セカンドホーム)
「自然の中にもうひとつの家」をコンセプトに、東京からアクセスが良く、自然豊かな場所を選んで、オリジナルのキャビンを別荘として提供しています。
現在は、会員枠完売ということで登録待ちが出ている人気の別荘サブスクサービスです。
八ヶ岳、山中湖、軽井沢という人気の別荘エリアに展開。
現在も続々と拠点を増やしています。
利用料金は、月額¥55,000で、実際に宿泊した場合に別途清掃費として¥3,300がかかります。
また、週末利用の場合、追加で¥5,500が加算されます。
家電や食器、寝具なども必要なものは揃えてあり、食材を持込めば自由に料理を楽しんだり、アウトドアでBBQもOK。
ペレットストーブやプロジェクターなど、普段の生活ではないようなワクワクする設備も揃っています。
②OURoom(アワールーム)
「いつもの居場所がふたつある暮らし」をコンセプトに普段の生活とは違うもうひとつの居場所で、自分らしい理想の暮らしを実現するライフスタイルブランドです。
現在は茨城県大洗にコンテナハウスを展開しており、今後、同エリアに2カ所新たなコンセプトハウスが建設予定となっています。
月額8,000円から、使いたい時に使った分だけの別荘サブスクサービスで、月額¥1,000の月会費と、利用に応じて都度課金されるシステムです。
宿泊をしてもしなくてもかかるサブスクリプション料金は月に¥1,000のみで、宿泊利用をした場合のみ、1泊7,000円~の料金が発生するため、利用頻度があまり高くないという人にもおすすめです。
居住棟の最大定員は2名で、一人でテレワーク利用、カップル利用におすすめの反面、ファミリーでの利用には不向きと言えます。
③ADDress(アドレス)
定額全国住み放題、全国に数百か所ある生活拠点を手軽に利用できる住まいのサブスクサービス。
初期費用なしで月9,800円から手軽に始められ、光熱費すべて込みで、Wi-Fi・家具家電など生活や仕事に必要なものも完備されています。
一軒家・シェアハウス・宿泊施設の個室(電源・デスクチェアあり)を提供しており、自炊可能な家も多く一般的な旅行と比べて食費も抑えることもできます。
「家守(やもり)」と呼ばれるコミュニティマネージャーが、暮らしのサポートや、地域交流の架け橋となり田舎暮らしをより魅力的にしてくれます。
地域交流や地域のさまざまな体験をしたい人にオススメです。
④Hostel Life(ホステルライフ)
月9,000円〜のホステルパスで、全国の宿に泊まったり、住んだりすることができる日本初の宿のサブスクリプションサービスです。
初期費用は無料、家具・家電も完備されています。
また、プランが豊富なため、利用頻度や部屋タイプによって選べるのも嬉しいところです。
無料で事務所登記や住民票を置くことも可能なため、定住先を持たない「アドレスホッパー」というライフスタイルにも向いています。
⑤LivingAnywhereCommns(リビングエニウェアコモンズ)
価値観を同じくする人々が住居を通じてコミュニティを形成する、共同生活の形「コリビング(Co-living)」というシェアハウス型サービス。
北海道から沖縄まで50拠点を展開しています。
1回5,500円のスポット利用から、月額39,600円~で利用無制限のサブスクプランまであります。
全拠点にワークスペースを設けており、テレワークでの仕事も捗ります。
直営のオリジナル拠点と、全国のゲストハウスと連携するパートナー拠点の2種類があり、特色のある施設と、人とのコミュニティを目的としたサービスのため、将来、地方移住を検討する方におすすめです。
まとめ
今回は、別荘サブスクのメリットや選ぶ方法、おすすめの別荘サブスクサービスをご紹介しました。
- 別荘サブスクは色んな場所で楽しみたい人におすすめ
- 賃貸よりも費用を抑えることができる場合も
- サービス提供の施設によって様々な設備やコンセプトハウスがある