自然豊かな別荘地や地方のセカンドハウスでは、鳥にとって安全で居心地の良い環境が整っているため、鳥の巣が作られることがあります。
ヒナ鳥を間近で見られるのは癒しにもなりますが、鳥の巣は建物へのダメージや衛生リスクあるため気になるところです。
別荘やセカンドハウスは不在期間が多いため、巣の発見が遅れやすく、鳥の巣撤去の知識とタイミングが重要です。
敷地内だからと言って勝手に撤去すると、法令違反となる場合もあります。
今回は、別荘・セカンドハウスに鳥の巣を作られた場合の撤去タイミングや防止対策について解説します。
別荘に鳥の巣が!建物や健康へのリスクは?

別荘やセカンドハウスは長期間空けることが多く、鳥にとって静かで安全な巣作りの環境となります。
軒下や雨樋、屋根裏の隙間など、人の目が届きにくい場所に鳥の巣が作られやすく、発見が遅れると被害が拡大するため注意が必要です。
建物への被害
鳥の巣やフンは外壁や塗装の腐食、雨樋の詰まり、換気口への侵入など、建物劣化の原因となります。
特に別荘は夏~秋のシーズンだけといった限定的な使い方をしていることも多いため、気づかないうちに被害が大きくなるケースが多く見られます。
衛生・健康リスク
巣材にはダニやノミ、菌類が潜むことがあり、感染症やアレルギーリスクを高めます。
鳥の巣を放置していることで病原菌の温床となり、健康被害が及ぶ可能性があります。
騒音・生活ストレス
巣立ち前後の鳴き声や糞の飛散は、滞在中のストレスとなる可能性があります。
鳥のさえずりは心地良いものですが、家のすぐ近くでヒナの鳴き声がし続ける環境は落ち着かないということも多いでしょう。
再発の可能性
一度巣を作られた場所は鳥が学習し、再び同じ場所に巣を作る傾向があります。
そのため、定期的な点検と予防策が重要です。
注意!鳥の巣は撤去すると法令違反になることも

野生の鳥は「鳥獣保護法」で保護されている
日本では多くの鳥が保護されており、卵やヒナがいる鳥の巣を無断で撤去することは違法です。
卵やヒナがいる鳥の巣を撤去した場合、「鳥獣保護管理法違反」となり、1年以下の懲役または100万円以下の罰金いずれかの刑罰が課される可能性があります。
これは、たとえ自分の敷地内であっても法的責任が問われます。
撤去が可能な条件とは
卵やヒナがいない巣作り最中やヒナが完全に巣立った「空き巣」の場合や、自治体の許可を取得した場合に限り撤去が可能です。
卵やヒナがいる状態で撤去する場合は、捕獲を許可する権限が鳥の種類によって環境大臣、都道府県知事、市町村長に分かれています。
卵やヒナがいる鳥の巣を撤去する場合は、まずは建物の所在地がある市町村へ手続き方法を確認しましょう。
【鳥の種類別】巣の特徴と注意点
家に巣を作る鳥はいくつか種類があり、それぞれ特徴や対策が異なります。
ここでは関東地域で多い鳥の巣の特徴と注意点を紹介します。
ツバメ(巣作り時期:3月~7月頃)

巣の場所
玄関先、軒下、駐車場の天井など、人の出入りが多い場所
巣の特徴
泥と枯草を唾液で固めて作ったお椀型の巣
問題点
巣の下にフンが大量に落ち、悪臭や衛生問題を引き起こす
対策のポイント
巣作りを始める前に、壁にガムテープやビニールを貼り、泥が付着しないようすると良いでしょう。
巣を作られた後は、フンの被害を防ぐため、巣の真下に段ボールや板などで「フン受け」を設置するのが効果的。
ムクドリ(巣作り時期:3月〜7月頃)

巣の場所
屋根の軒下、換気口、ベランダの手すり
巣の特徴
枝、草、紙などを混ぜた簡易的な巣。集団で作ることが多く、密集するとフン害が大きくなる
問題点
フン害による衛生問題や、建物や外壁の汚損リスクがあります。
対策のポイント
巣を作りやすい軒下や換気口に防鳥ネットで対策するのがメインとなります。
網目が細かく、強度が強いネットがおすすめです。
他に、室外機やベランダの手すりにバードスパイクを設置して、飛来しにくくするという方法もあります。
スズメ(巣作り時期:3月~8月頃)

巣の場所
屋根瓦の隙間、雨戸の戸袋、換気扇ダクトの中など、狭い隙間を好む
巣の特徴
枯草やビニール紐などを大量に集めて作る、雑然とした見た目の巣
問題点
ダクトや排気口を塞いでしまい、換気扇の故障や火災の原因になることがあります。
また、巣材にダニが大量発生しやすいです。
対策のポイント
スズメの侵入を防ぐには、物理的に隙間を塞ぐのが最も効果的です。
瓦の隙間、換気口、壁のひび割れなどを、金網や補修材で塞ぐ必要があります。
ハクセキレイ(巣作り時期:5月〜7月頃)

巣の場所
屋根の隙間、窓枠、雨樋の裏
巣の特徴
小型で簡素な巣。草や糸、紙片を使用し浅く広がる
問題点
小型でもフン害や巣材の蓄積による排水障害があります。
対策のポイント
屋根や雨樋の隙間を金網やパテで塞ぐ、軒下に忌避テープや反射物を設置するなどの対策をとると良いでしょう。
ヒヨドリ(巣作り時期:5月〜9月頃)

巣の場所
庭木の高い枝、軒下、屋根の隙間
巣の特徴
枝や葉を組み合わせたやや大型の巣。丸く密度が高く、見つけにくいこともある
問題点
糞害による衛生リスクや、ヒナの鳴き声による騒音、庭木や屋根の損傷リスクがあります。
対策のポイント
庭木がある場合は定期的な剪定をしましょう。
また、巣を作りやすい軒下や換気口に防鳥ネットで対策すると良いでしょう。
ハト(巣作り時期:ほぼ一年中)

巣の場所
ベランダの室外機の下や裏、太陽光パネルの下、軒下など、雨風がしのげる平らな場所
巣の特徴
数本の小枝を雑に組み合わせただけのような、非常に簡素な巣
問題点
ハトは帰巣本能があるため、一度安全な場所と認識すると戻ってくる性質があります。
また、フンの量が多く、その酸性度の高さから金属やコンクリートを腐食させることがあります。
対策のポイント
ハトはよく見かけるようになった段階で追い払うことが重要です。
巣を作られてしまった場合は、巣を撤去した後もバードスパイクや防鳥ネットを設置し、継続的に対策することをおすすめします。
巣の撤去に適切なタイミングと方法

撤去のタイミング
鳥の巣撤去は、卵やヒナがいない「空き巣」のタイミングに行うのが基本です。
巣作り途中や巣立ち後に作業することで、残留する糞や巣材による二次被害を防げます。
自力で撤去する場合
自力で撤去する場合は、マスク・手袋・ゴーグルなどを着用し、湿らせた巣材を慎重に取り除きます。
作業後は清掃と消毒を行い、廃棄物は二重袋で密封して処理します。
専門業者への依頼
高所や複雑な巣、法的に許可が必要なケースでは専門業者の利用をおすすめします。
別荘やセカンドハウスなど、普段住んでいない場所で業者を探すのが困難な場合は、市区町村の役所に問合せることで業者を紹介してもらえることもあります。
鳥の巣を作らせない環境対策

外壁等の隙間や穴を補修する
小さな隙間や穴をパテや金網で塞ぐことで、侵入経路を減らせます。
巣の素材になるような物は撤去する
枝剪定や餌場・水場管理により、鳥の誘引要素を減らし、巣作りのリスクを低減します。
対策グッズを活用する
軒下や換気口、雨樋に防鳥ネットやバードスパイクを設置することで、鳥が巣を作る場所を制限できます。
また、鏡面反射物や音響装置で鳥を遠ざける方法もあります。
単独では効果が薄れることがあるため、物理的防止策や環境改善と組み合わせて使用すると効果的です。
定期点検と年間管理
春・夏・秋・冬の季節ごとに点検し、早期発見・予防を継続します。
別荘は滞在期間が限定されるため、計画的な年間管理スケジュールの作成が有効です。
まとめ
今回は、別荘・セカンドハウスに鳥の巣を作られた場合の対処や、防止策について解説しました。
- 鳥の巣は、勝手に撤去すると法令違反になることもある
- 撤去する際、高所や複雑な巣は専門業者に依頼する
- 防鳥策を組み合わせ、環境改善で再発を防ぐ