会社から離れたリゾート地などで休暇を取りながら、必要に応じて仕事をするワーケーション。
世間では認知されてきたとは言え、まだまだ積極的に活用されているという状況ではないようです。
しかし、自治体や旅行会社、ポータルサイト運営会社がワーケーションに特化したサービスを打ち出しています。
企業にとっても、働く人にとってもメリットの多いワーケーション。
今回はワーケーションをする際のおすすめサービスと自治体の補助金についてご紹介します。
ワーケーションとは

ワーケーションとは、「ワーク(Work)=仕事」と「バケーション(Vacation)=休暇」を組み合わせた造語で、たとえば自宅以外の場所、観光地や帰省などの休暇先でテレワークを行うことをいいます。
テレワークとの違いは、自宅やカフェではなく、旅行先で仕事をするという点です。
2021年3月に厚生労働省が公表した「テレワークガイドライン(テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン)」では、ワーケーションをテレワークの一形態として位置づけています。
ワーケーションが注目されているワケ
ワーケーションは、ノートPCやインターネットが急速に浸透した2000年代に、働く人の有給休暇の取得率を向上する目的でアメリカで始まりました。
日本でワーケーションという考え方が登場したのは、2017年頃と言われています。
日本は労働基準法によって年次有給休暇の取得が保障されているものの、有給休暇取得率が低いことが長年課題とされていました。
そうした状況を受け、2018年に成立した働き方改革関連法案で、企業は従業員に対して年5日間の有給休暇を取得させることが義務となりました。
これにより、法令・制度の面でワーケーションを促進しやすい環境になってきたと言えます。
コロナ禍でテレワークが急速に普及
昨今の新型コロナウイルス感染症が爆発的に流行したことで、国内企業でテレワークが急速に普及しました。
また一方で、コロナ禍の外出自粛やインバウンド需要減少などの影響で、観光業界は大打撃を受けました。
そうした中で、観光業の活性化や移住者誘致の取り組みを積極的に行う自治体が増えつつあります。
国内企業にテレワークという働き方が浸透したこと、そして自治体の観光客・移住者誘致のニーズが高まったことにより、ワーケーションへの注目度が高まりつつあります。
ワーケーションのメリット

ワーケーションには、実施する企業・従業員、そして受け入れる地域にとっても多くのメリットがあります。
企業・従業員・地域の3つの観点からワーケーションのメリットをご紹介します。
企業にとってのメリット
企業にとってのメリット
- 有給休暇の取得促進
- 人材確保・定着率向上
- 企業価値の向上
- 地方創生への寄与
ワーケーション促進の大きなメリットのひとつに従業員の有給休暇取得促進があります。
2018年に成立した「働き方改革関連法案」によって、企業はすべての労働者に対して年5日間の有給休暇を取得をさせることが義務付けられています。
ワーケーションを取り入れることで、長期休暇が取りにくい日本の企業環境において、休暇とテレワークによる業務日を合わせることで、滞在先で仕事の日があるにせよ遠出の旅行も計画しやすくなります。

さらに、多様性のある働き方や、地方創生への姿勢は、企業イメージの向上につながり、人材獲得や離職防止の点でも効果が期待できます。
従業員にとってのメリット
従業員にとってのメリット
- 長期休暇の取得促進
- ストレス軽減・リフレッシュ効果
- 業務効率・モチベーションの向上
- 新たなアイデアの創出
ワーケーションの導入によって、従業員は長期休暇を取得しやすくなります。(前述の画像資料の通り)
また、オフィスとは違った環境でリフレッシュすることで、精神的・肉体的なストレスが軽減され、業務効率やモチベーション向上にも効果が期待できます。
地域にとってのメリット
地域にとってのメリット
- 平日の旅行需要創出
- 交流人口および関係人口の増加
- 関連事業の活性化および雇用創出
- 遊休施設の有効活用
ワーケーションを誘致することで、地域経済や地域ビジネスの活性化が期待できます。
また、交流人口・関係人口の増加により、雇用創出や遊休施設の有効活用といった地域の課題解決につながる可能性も期待できます。

ワーケーションサービスにはどんな種類がある?

続いては、具体的にどのようなサービスがあるのかワーケーションサービスの種類について説明します。
長期滞在できるサービス
ホテルや旅館などの宿泊施設によっては、ワーケーション向けの専用のプランが用意されていることがあります。
1週間など長期にわたって滞在するケースが多いワーケーションでは、宿泊費用が大きな負担になってしまうことも珍しくありません。
ワーケーション専用プランなら、通常よりも1泊あたりの宿泊費が安く抑えられているので、宿泊費用の負担を軽減することができるでしょう。
仕事に活用できるサービス
ワーケーション中、ホテルや旅館など宿泊施設の個室で仕事をすることもできますが、せっかくなら専用の作業場が欲しいという方も多いでしょう。
宿泊施設によってはワーケーション滞在者向けのコワーキングスペースが用意されていることもあります。
Wi-Fi設備やデスクなど、仕事をするための環境が整えられているので、快適に作業することができるでしょう。
また、宿泊施設の近くにコワーキングスペースやレンタルスペースがないか探してみるのもおすすめです。
自治体のサービスや補助金
過疎化が進んでいる自治体の中には、関係人口の創出のためにワーケーション誘致の力を入れているところも珍しくありません。
無料Wi-Fiを整備して、自治体内のカフェなどで作業しやすい環境を整えていたり、ワーケーションに適した施設をポータルサイトで紹介したりと、自治体によってサービスの内容はさまざまです。
中には、ワーケーション滞在者の宿泊費用の一部を負担するなど、補助金制度を実施している自治体もあります。
補助金制度を行っている自治体については、本記事でもご紹介しています。
滞在者向けアクティビティサービス
ワーケーションには、仕事(ワーク)だけでなく休暇(バケーション)の要素も欠かせません。
そのため、ワーケーション滞在者向けのアクティビティを用意している自治体や民間企業も多数あります。
例えば、海沿いのリゾート地でのワーケーションではシュノーケリングなどのマリンスポーツを楽しむことができ、農業が盛んな地域でのワーケーションでは農業体験に参加することもできるでしょう。
アクティビティのサービスはインターネットから事前予約できることも多いので、滞在先が決まったら調べてみることをおすすめします。
おすすめワーケーション施設・サービス

Otell
ワーケーション×湯治
平日2泊3日や3泊4日などのプランをお得な料金で利用でき、仕事の環境が整った部屋を検索できるワーケーション宿泊サイトです。
温泉やサウナなどを備えたホテルや旅館もラインナップし、リフレッシュ重視の方におすすめです。
日光市ワーケーション助成金を使って更にお得に泊まれるプランもあります。
ワーケーションズ
ワーケーション×仕事に最適なホテル
滞在先のエリアや種類、タグなどで施設を検索でき、あなたに合った施設を見つけやすいのが特徴の宿泊検索サイトです。
宿泊施設はホテル以外にも、コテージやキャンプ場等様々な施設が探せます。
また、地域・企業・団体が実施しているワーケーションプロジェクト、ワーケーション先でのワークスペースなども探すことができます。

ワーケーションポータル
ワーケーション×リゾート地
ワーケーションに特化した宿泊施設を紹介し、サイト上で予約もできるポータルサイトです。
軽井沢や伊豆など、人気のワーケーションスポットの施設を中心に、温泉やホテル、ログハウスなど施設の種類でも検索が可能。
オフィス貸し出しプランやオンライン教育プランなど、ビジネスマン向けプランを用意しているのも特徴です。
スペースマーケット
ワーケーション×レンタルスペース
スペースマーケットは全国のレンタルスペースを検索できるサービスです。
ワーケーション先での仕事は宿泊施設ではなく、専用の環境がいいという方にはレンタルスペースもおすすめです。
テレワークスペースだけでなくパーティー、撮影、会議などさまざまなスペースを15分単位から、利用することが可能。
スマホアプリで簡単に予約でき、メッセージでホストと気軽にやりとりできます。

活用したいワーケーション補助金

ワーケーション補助金とは、ワーケーションをした際に受けられる助成金のことです。
ここではは、ワーケーションを導入している5つの自治体をご紹介します。
(2023年12月現在の情報のため、最新情報は各自治体専用ページでご確認ください。)
①北海道 富良野市
北海道の富良野市では、「ワーケーション実証費用助成金」を導入しています。
■助成要件
- 富良野市内に4泊以上滞在すること
- レンタカー利用時には、富良野市内または旭川空港・新千歳空港の営業所で借りること
- ゼロカーボンの推進に向けて、市内事業者などが実施する体験プログラムに参加すること
- ワーケーション実証期間中における精算額は、積算・算出すること
- 期間中に同じ企業に所属する社員は、10名以内であること
- 同じ社員が年度内に実証できるのは2回まで
- 同じ企業の社員が年度内に実証できる人数は、合計20名以内であること
- 滞在期間中はワーケーションの実施をSNSで紹介して、魅力を拡散すること
- ワーケーション終了後は、体験した出来事や関連する画像などを本市に提出すること
- 滞在期間中は、本市の関係者と1回以上、情報交換もしくは交流会に参加すること
対象となる経費 | 限度額 |
---|---|
宿泊費 通常期 (1月、2月、6月、12月) | 3,000円/1泊(1名からの場合) 7,000円/1泊(5名からの場合) |
宿泊費 重点期 (3月、4月、5月、10月、11月) | 5,000円/1泊(1名からの場合) 1万円/1泊(5名からの場合) |
レンタカー利用料 | 2,500円/1泊 |
※宿泊費は限度日数7泊、レンタカーは限度日数8泊まで
②福島県
福島県では、2つのコースに分かれた「テレワーク支援補助金制度」を導入しています。
長期コースの滞在期間は1〜3ヶ月間ですが、短期コースは2泊3日〜5泊6日となっています。
■助成要件
<ふくしま“ロング・テレワーク”体験コース【長期コース】>
- 本県への移住、もしくは2地域の居住を希望する者であること
- 実施期間は1〜3ヶ月以内として、実施期間中における勤務日は業務の都合を除き、すべて本県でテレワークを実施すること
- 滞在期間中のテレワーク勤務時間の合計は、勤務日×5時間以上であること
- 滞在期間中は地域交流を2回以上実施して、結果を報告すること
- 実施期間における勤務日は、原則として1週間のうち4日以上であること
- 本コースについては、毎年1回のみ利用可能
- SNSで県内のテレワーク環境や地域の情報などを発信すること
<ふくしま“ショート・テレワーク”体験コース【短期コース】>
- 本県への移住、もしくは2地域での居住と、本県との継続的な関係づくりを希望する者であること
- 本県に滞在している期間中、滞在日数の半分以上はテレワークを実施すること
- 滞在期間中におけるテレワーク勤務時間の合計は、勤務日×5時間以上であること
- 滞在期間中は地域交流を1回以上実施し、結果を報告すること
- 本コースについては、1年に2回まで利用可能
- SNSで県内のテレワーク環境や地域の情報などを発信すること
対象となる経費 | 限度額 |
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【長期コース】 宿泊費 交通費 コワーキングスペースの利用料 レンタカー代 | 1人につき30万円 |
【短期コース】 宿泊費 交通費 コワーキングスペースの利用料 レンタカー代 | 1人につき1万円/泊 |
③栃木県・日光市
栃木県の日光市では、「日光市ワーケーション実施支援補助金」を導入しています。
■助成要件
- 日光市内の宿泊施設を利用してワーケーションを
- 実施する民間企業又はその社員
- ワーケーションを実施する民間企業又はその社員に宿泊プランを提供する旅行会社
- 日光市内の宿泊施設を利用してワーケーションを実施する事業で、1泊以上の宿泊を伴うもの
- 日光市内の宿泊施設に1泊以上宿泊してワーケーションを実施する宿泊プラン(旅行会社の場合)
対象となる経費 | 限度額 |
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宿泊費 | 5,000円/泊 |
コワーキング施設利用費 | 1,500円/日 |
④長野県・岡谷市
長野県では岡谷市でワーケーション補助金が導入されています。同市にはコワーキングスペースが数ヶ所存在し、ポケットWi-Fiの貸し出しも無料で行っています。
■助成要件
- 市内で2泊3日以上のワーケーション活動を実施すること
- 本市の課題解決における分析や提案・学習などをすること
- 市長が特に必要な人材であると認めること
対象となる経費 | 限度額 |
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宿泊費 | 上限5,000円 |
交通費レンタカー利用料 | 上限1万円 |
⑤広島県・福山市
広島県福山市では、ワーケーションによって地域活性化に取り組む企業や人材に対して補助を実施しています。
■助成要件
- 備後圏域外の企業や人材であって,ワーケーションふくやま推進事業を実施しようとするもの
- 本市に所在する宿泊施設を営む者であって,ワーケーションふくやま推進事業を組み込んだ宿泊プランを造成しようとするもの
- 旅行業者等であって,ワーケーションふくやま推進事業を組み込んだ企画旅行を実施しようとするもの
- その他市長が特に必要があると認める者
対象となる経費 | 限度額 |
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交通費 滞在費 移転費 オフィス利用料 | 50万円 ※対象経費の2分の1以内 |
まとめ
今回は、ワーケーションのおすすめサービスと自治体の補助金についてご紹介しました。
- 自治体や宿泊施設などがワーケーションサービスを始めている
- 長期滞在がお得になるプランや、アクティビティがセットになっているプランも
- 自治体毎に補助金や助成金があるため事前に確認を