政府や企業における働き方改革への取り組みが活発化している中、ワーケーションという働き方が注目を集めています。
「ワーケーションってどんな働き方?」
「なぜ注目を集めているの?」
といった方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、ワーケーションが注目されているワケと、メリットについてご紹介します。
ワーケーションとは?

ワーケーションとは、「ワーク(Work)=仕事」と「バケーション(Vacation)=休暇」を組み合わせた造語で、たとえば自宅以外の場所、観光地や帰省などの休暇先でテレワークを行うことをいいます。
テレワークとの違いは、自宅やカフェではなく、旅行先で仕事をするという点です。
2021年3月に厚生労働省が公表した「テレワークガイドライン(テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン)」では、ワーケーションをテレワークの一形態として位置づけています。
ワーケーションの種類

ワーケーションにはいくつか種類があります。
ここではワーケーションの種類についてご説明します。
休暇型
①福利厚生型
休暇を中心としたワーケーションです。
長期休暇による業務増加等の兼ね合いで、なかなか有給休暇の取得が進まないという課題を抱えている企業に適したスタイルと言えます。
あくまで休暇のため、移動や宿泊費用は個人負担となるものの、休暇中に旅行先からのテレワークを許可し、その分長く休暇を取ることで、結果として有給取得率が向上し、従業員のモチベーションも高まると言ったメリットがあります。
業務型
①サテライトオフィス型
企業が用意しているサテライトオフィスや、一般的なシェアオフィス、コワーキングスペースなどを利用してテレワークを行うワーケーションです。
あくまで業務が中心となりますが、観光地や二拠点先で仕事時間以外に余暇やレジャーを楽しむことができます。
②地域課題解決型
企業の従業員が、地域関係者との交流を通じて共に地域の課題を考え、解決アイデアを出したり、実際に解決に取り組んだりしていくワーケーションです。
地域での課題解決体験を通じた従業員の人材育成、地域との交流による新規事業の創出など、様々な観点から注目されています。
③合宿型
リゾート地など、通常の職場から離れて様々な会議や研修、ワークショップなどを行うワーケーションスタイルです。
体制構築や社内のコミュニケーション活性化、新事業やサービスのアイデア創出など、様々な取り組みがあり、個人によるワーケーションではなく、複数人で実施する点が特徴となります。
ワーケーションが注目されているワケ

ワーケーションは、ノートPCやインターネットが急速に浸透した2000年代に、働く人の有給休暇の取得率を向上する目的でアメリカで始まりました。
日本でワーケーションという考え方が登場したのは、2017年頃と言われています。
日本は労働基準法によって年次有給休暇の取得が保障されているものの、有給休暇取得率が低いことが長年課題とされていました。
そうした状況を受け、2018年に成立した働き方改革関連法案で、企業は従業員に対して年5日間の有給休暇を取得させることが義務となりました。
これにより、法令・制度の面でワーケーションを促進しやすい環境になってきたと言えます。
コロナ禍でテレワークが急速に普及
昨今の新型コロナウイルス感染症が爆発的に流行したことで、国内企業でテレワークが急速に普及しました。
また一方で、コロナ禍の外出自粛やインバウンド需要減少などの影響で、観光業界は大打撃を受けました。
そうした中で、観光業の活性化や移住者誘致の取り組みを積極的に行う自治体が増えつつあります。
国内企業にテレワークという働き方が浸透したこと、そして自治体の観光客・移住者誘致のニーズが高まったことにより、ワーケーションへの注目度が高まりつつあります。
ワーケーションのメリット

ワーケーションには、実施する企業・従業員、そして受け入れる地域にとっても多くのメリットがあります。
企業・従業員・地域の3つの観点からワーケーションのメリットをご紹介します。
企業にとってのメリット
- 有給休暇の取得促進
- 人材確保・定着率向上
- 企業価値の向上
- 地方創生への寄与
ワーケーション促進の大きなメリットのひとつに従業員の有給休暇取得促進があります。
2018年に成立した「働き方改革関連法案」によって、企業はすべての労働者に対して年5日間の有給休暇を取得をさせることが義務付けられています。
ワーケーションを取り入れることで、長期休暇が取りにくい日本の企業環境において、休暇とテレワークによる業務日を合わせることで、滞在先で仕事の日があるにせよ遠出の旅行も計画しやすくなります。

さらに、多様性のある働き方や、地方創生への姿勢は、企業イメージの向上につながり、人材獲得や離職防止の点でも効果が期待できます。
従業員にとってのメリット
- 長期休暇の取得促進
- ストレス軽減・リフレッシュ効果
- 業務効率・モチベーションの向上
- 新たなアイデアの創出
ワーケーションの導入によって、従業員は長期休暇を取得しやすくなります。(前述の画像資料の通り)
また、オフィスとは違った環境でリフレッシュすることで、精神的・肉体的なストレスが軽減され、業務効率やモチベーション向上にも効果が期待できます。
地域にとってのメリット
- 平日の旅行需要創出
- 交流人口および関係人口の増加
- 関連事業の活性化および雇用創出
- 遊休施設の有効活用
ワーケーションを誘致することで、地域経済や地域ビジネスの活性化が期待できます。
また、交流人口・関係人口の増加により、雇用創出や遊休施設の有効活用といった地域の課題解決につながる可能性も期待できます。
二拠点生活とワーケーション
政府の働き方改革におけるテレワークやワーケーションの推進によって、次第に制度として取り入れる企業も増えてきました。
そうした背景から、二拠点生活を始める人も増えてきています。
今までは週末や長期連休のみだった別荘や観光地への来訪も、ワーケーションを活用して訪れることが可能となりました。
最近ではコワーキングスペースや、Wi-Fi、オフィス関連設備の整った施設も多くなっており、ワーケーションはますます注目されていくでしょう。


まとめ
今回は、新しい働き方として注目されているワーケーションについてご紹介しました。
- 国の取り組みでワーケーション推進が注目されている
- 企業・従業員・地域へのメリットが多い
- 二拠点生活とワーケーションは相性◎