「地方で暮らしながら働きたい」と考えたとき、気になるのが仕事の問題です。
都会と地方では、求人の数や給与水準だけでなく、通勤時間、仕事の進め方、人間関係、キャリアの考え方などにも違いがあります。
地方企業への転職は、都会での働き方をそのまま地方へ移すことではありません。
今回は、地方企業への転職で感じやすい都会との違いを、給与・仕事・通勤・人間関係などの面から解説します。
地方転職で感じる「都会との違い」

地方企業へ転職すると、これまで当たり前だと思っていた働き方が変わることがあります。
給与は地方のほうが低くなる?
地方企業への転職を考えるとき、多くの人が気になるのが給与です。
マイナビ転職が2025年に調査した「地方移住転職・Uターン転職の年収変化と満足度調査」によると、地方移住転職・Uターン転職者の平均年収は413.4万円という結果になっています。
転職前の496.3万円と比べると、平均で約80万円下がっているということになります。
一方で、すべての人の年収が下がったわけではありません。
調査では、年収が下がった人もいる一方で、約4割が転職後に年収が上がったと回答しています。
スキルを評価されたり、企業の中核人材として採用されたりしたケースでは、年収アップにつながることもあります。
つまり、地方企業への転職では「地方だから年収が下がる」と一括りにするのではなく、これまでの経験や転職先の業種、役職などによって変わると考えたほうがよいでしょう。
また、年収だけでなく、住居費や通勤費などを含めた生活全体の支出も合わせて考えることが大切です。
仕事の選択肢は都会より少ない?
地方企業への転職で感じやすいもうひとつの違いが、仕事の選択肢です。
東京などの都市部には、さまざまな業種・職種の企業が集まっています。
特定のスキルを活かせる求人や、キャリアアップを前提としたポジションも探しやすいでしょう。
一方、地方では地域によって企業数や業種に偏りがあります。
厚生労働省の「LO活 就職先決定調査アンケート2025」でも、地方で就職しなかった理由として、「やりたい仕事や働きたい会社が東京圏・大阪圏にしかなかったため」が18.4%で最も多くなっています。
ただし、地方に魅力的な企業が少ないという意味ではありません。
地方には、地域に根付いた中小企業や、特定の分野で高い技術を持つ企業など、都市部では見つけにくい会社もあります。
重要なのは、都市部と同じ条件で求人を探すのではなく、「その地域だからこそできる仕事」に目を向けることです。
通勤時間はどう変わる?
地方へ転職すると、通勤環境が大きく変わることがあります。
都市部では電車やバスを使った通勤が一般的ですが、地方では車通勤としているところが多いです。
一方で、職場と自宅の距離が近くなり、満員電車に乗る必要がなくなるケースもあります。
毎日の通勤時間が短くなれば、その分だけ自由に使える時間が増えるでしょう。
ただし、地方なら必ず通勤が楽になるとは限りません。
車が必要になる地域では、ガソリン代や車の維持費が発生するため、勤務地だけでなく住む場所と交通手段まで含めて考える必要があります。
職場の人間関係は都会と違う?
「地方企業は人間関係が濃い」というイメージを持っている人もいるかもしれません。
確かに、地域に根付いた企業では、社員同士の距離が近かったり、地域とのつながりを大切にしていたりするケースがあります。
一方で、これは地方企業すべてに当てはまるわけではありません。
企業規模や社風によって違いは大きく、地方にも都市部と変わらない職場はあります。
むしろ、地方企業への転職では「地方だから人間関係が濃い」と決めつけず、実際の職場の雰囲気を確認することが重要です。
可能であれば、面接だけでなく職場見学や社員との面談などを通して、入社後の働き方をイメージしておくとよいでしょう。
仕事とプライベートのバランスは変わる?
地方企業への転職では、仕事以外の時間の過ごし方が変わることもあります。
都市部では、通勤や仕事終わりの付き合いなどで時間を使うことがありますが、地方では職場から自宅までの距離が短くなったり、自然の近くで過ごせたりすることがあります。
マイナビの調査でも、地方移住転職・Uターン転職後に良くなったものとして「毎日の幸福感(44.8%)」が最多となっています。
仕事だけでなく、暮らしそのものを重視したい人にとっては、地方への転職が働き方を見直すきっかけになる可能性があります。
地方転職で「良かった」と感じること

地方への転職には、給与やキャリア面だけでは測れないメリットがあります。
ワークライフバランスがとれる
満員電車を使った長時間通勤から、車や徒歩での短時間通勤に変わるだけでも、毎日の負担は大きく変わります。
また、通勤時間が短くなれば、その分を家族との時間や趣味、運動などに使えるため、ワークライフバランスがとりやすいと言えるでしょう。
自然の近くで暮らせる
地方では、都市部よりも自然を身近に感じられる地域があります。
仕事が終わった後に海へ出かけたり、休日にアウトドアを楽しんだりと、暮らしと余暇の距離が近くなることも地方暮らしの魅力です。
地域とのつながりが生まれる
地方企業で働くことで、仕事を通じて地域の人や事業者と知り合う機会も増えます。
単に「地方に住む」のではなく、「地域の一員として働く」という感覚を持ちやすくなるでしょう。
生活と仕事の距離が近くなる
地方企業では、地域の課題や産業と仕事が直接つながっているケースもあります。
自分の仕事が地域の役に立っていることを実感しやすい点は、都市部の大企業とは違った魅力です。
地方転職で「後悔しやすい」ポイント

一方で、地方への転職には注意点もあります。
希望する仕事が見つからない
地方では、都市部と比べて企業や求人の数が限られるため、なかなか希望の仕事が見つからないということがあるでしょう。
特に専門性の高い職種や、特定の業界でキャリアを積みたい場合は、求人がないという可能性もあります。
LO活の2025年調査でも、地方就職を選ばなかった理由の1位は、「やりたい仕事や働きたい会社が東京圏・大阪圏にしかなかったため」でした。
給与が下がる可能性がある
前述の通り、マイナビ転職の調査では地方移住転職・Uターン転職で平均年収が約80万円下がったという結果が出ています。
そのため、転職前に「最低限いくら必要なのか」を考えておくことが大切です。
地方では住居費などが抑えられる場合もありますが、車が必要になるなど、新たな支出が発生することもあります。
車が必要になることが多い
地方では、通勤だけでなく買い物や通院、レジャーなどにも車が必要になる地域があります。
その場合、車両費やガソリン代、保険、車検などの維持費も生活費として考えなければなりません。
「地方は生活費が安い」とだけ考えず、現在の生活と具体的に比較することが重要です。
都会と同じ感覚で転職先を探すと苦戦する
都市部では求人サイトで条件を指定すれば、多くの求人を比較できます。
一方、地方では自治体や地域の就職支援サービス、ハローワークなどを通じて求人を探すことで、思わぬ企業に出会えることがあります。
地方転職のイベントや自治体主催の転職支援、移住窓口での斡旋なども活用することで、
地方企業への転職で失敗しないために

地方への転職を成功させるには、求人票の条件だけで判断しないことが大切です。
転職前後の年収を比較する
まず確認したいのが、転職前後の年収です。
基本給だけでなく、賞与や手当、通勤費なども含めて比較しましょう。
さらに、転職後の住居費や交通費、車の維持費なども加えて、実際の手取りと生活費をシミュレーションしておくと安心です。
求人票だけでなく仕事内容を確認する
同じ職種名でも、企業によって仕事内容は大きく異なります。
「営業」「企画」「管理」などの名称だけで判断せず、実際にどのような業務を担当するのか、どこまで裁量があるのかを確認しましょう。
キャリアアップの可能性を確認する
地方企業への転職では、入社時の条件だけでなく、その後のキャリアも確認しておきたいところです。
管理職への昇進、専門性を高める機会、資格取得支援など、自分が将来目指したい働き方ができるかを確認しておきましょう。
テレワークや副業の可否を確認する
地方企業への転職を検討するなら、テレワークや副業が可能かどうかも確認しておくとよいでしょう。
働き方の選択肢が多ければ、将来的に二拠点生活や複業へ発展させることもできます。
「転職」だけが地方で働く方法ではない

地方で働きたいからといって、必ずしも今の会社を辞める必要はありません。
都市部の会社に勤めながら二拠点ワーク
テレワークが可能な会社であれば、都市部の会社に所属したまま地方で仕事をする方法があります。
完全な移住ではなく、週末や月の一部を地方で過ごす二拠点生活なら、現在のキャリアを維持しながら地方との関わりを作れます。
地方企業で副業する
地方企業の仕事を副業として請け負う方法もあります。
Web制作やライティング、SNS運用、Webシステム構築など、都市部で身につけたスキルが地方企業で活かせることも多くあります。
いきなり転職ではなく、まずは副業から地方企業に関わることで、地域との相性やキャリアアップの可能性を確かめることができるでしょう。
▼二拠点生活をしながら地方と関わる副業については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

地域おこし協力隊という選択肢
地方で地域づくりに関わりながら働きたい人なら、地域おこし協力隊も選択肢になります。
自治体によって仕事内容や活動内容が異なるため、興味のある地域の募集内容を確認してみましょう。
▼地域おこし協力隊について詳しく知りたい方は、仕事内容や給料、任期後の働き方についても確認しておきましょう。

二拠点生活で地方との相性を確かめるのも◎

「地方で働いてみたいけれど、転職までは決められない」という人には、二拠点生活という方法があります。
都市部での仕事を続けながら、週末や一定期間を地方で過ごしてみることで、仕事と暮らしの両方から地域との相性を確認できます。
地方企業への転職は、仕事だけでなく住む場所まで変える大きな決断です。
だからこそ、いきなり転職するのではなく、まずは二拠点生活や副業など、今の働き方を維持したまま地方との接点を作る方法も検討してみるとよいでしょう。

まとめ
- 地方転職では通勤やワーク・ライフ・バランスが改善するという意見が多数
- 転職前に給与・仕事内容・キャリア・生活費まで具体的に比較することが大切
- 地方で働く方法は転職だけではなく、二拠点ワークや副業から始める選択肢も

